第12話
「とりあえずは体をほぐすことからね」
動きやすい格好に着替えた第二王女が僕に告げる。
「ん」
僕は前世でやっているようなストレッチをこなしていく。魔力とか魔法とかあるとはいえ、怪我はしないにこしたことはない。
「面白いわね。それ」
第二王女はそう言って僕の動きを真似し始める。
この世界でも一応体をほぐしたほうがいいという価値観くらいはある。しかし、そのやり方は決まっていなくてそれぞれが好きなようにやっている。
何だったらストレッチのやり方を一族秘伝の奥義としているような貴族の家まであるくらいだ。
まぁ剣術とか魔法とかを一族秘伝にするのは難しいけど、ストレッチなら簡単に作れるもんね。
ある程度のストレッチを終えた僕は手に持っている模擬戦用に刃を潰した剣を構える。
第二王女も僕と同じように剣を構える。
今、僕はリーエとして剣を握っていた。
めでたく第二王女の配下となった僕は第二王女と一緒に模擬戦をすることになったのだ。
僕達を囲むように第二王女の配下の人たちが集まって、僕と第二王女の模擬戦を見ている。
これは僕が第二王女の配下としてふさわしいかどうかの試験。
僕が強かろうか、弱かろうか、平民を自分の配下とするその事実に意味があるので、正直な話僕が強かろうが、弱かろうが関係ないのだが、周りの人間はそんな簡単に認められない。
いきなり平民を味方にするとか言い出したのだ。他の人からしてみれば意味わかんねぇ。何言ってんだこいつ!?ってなるのが落ちなのだ。
戦略的価値がわかるような人を残念ながら配下に持っていなかったようだ。
「行くわよ?」
第二王女が希望に満ちた視線を向けてくる。
ここで僕が負ければすべてがパァなのだ。
そんな視線もするだろう。
まぁ僕もそこそこ真面目にやるつもりだ。
「はい!」
僕は元気よく頷いた。
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