第9話
サラサラで綺麗な銀髪の髪をしたローオス帝国、王族特有の翠眼を持った綺麗な女性。その見た目には気品とオーラがあり、ただ立っているだけで絶大の存在感を放っていた。
「なっ……」
僕は驚愕する。空いた口が塞がらない。
なんで?なんで?なんで?
どうしてここにいる。僕に話しかけてくる。
ローオス帝国第二王女、スシャーナがッ……!
僕は警戒心を最大限に引き上げる。
いつでも逃げれるように。
なんだ?……僕のことが知られた?……どこまでだ。どこまで知られている?
ローオス帝国第二王女、スシャーナ・ローオス。心の中に野心というイチモツを抱えた曲者。
非常に有能なやつで、能力だけで言うのなら未だに王位につけていない無能な王子たちよりも遥かに優れているだろう。
この世界が男尊女卑の世界ではなかったらこの人が早々に王位につき、今のローオス帝国の混乱はなかっただろう。女にさえ生まれていなかったら自らの野望である王位につくことが出来ただろう。
……この人が裏で動いていたの知っているけど……僕の存在にたどり着くまでだというのか?
「「「ぶえぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええ!」」」
僕の隣に座っていた二人が第二王女の姿を見て信じられないと言わんばかりに目を瞠り、大きな声で叫び声を上げる。
そのせいで食堂にいた全員の注目を集めることになる。
……二人のおかげで冷静になれた。
まだ第二王女が僕の正体に気づいたと決まったわけではない。
こいつはまだ僕にはなしかけてきただけ。まだ最悪の状態というわけではない。
必要以上に悲観的になる必要はない。
「聞こえていなかったかしら?」
「え、……あ、ごめんなさい!僕がリーエ、です」
困惑。
当然第二王女様に困惑するただの一般生徒Aを演じて言葉を告げる。
「そう。ありがと。では少しだけ私に付き合ってはくれないかしら?」
「え、え、え!?僕がですか!?」
意味がわからないと言わんばかりに僕は叫び、狼狽する。
「えぇ、そうよ。突然のことで困惑しているかもしれないけれど、私は今あなたの力を借りたいのよ。いいかしら?」
「は、はい!」
僕は叫び、席を立つ。
「ではついてきてもらっていいかしら?」
「は、はい」
僕はくるりと回転し、食堂の出口に向かって歩き出した第二王女を追いかけて歩き出した。
……護衛は今の所なし。
目的地とやらにどれほどの護衛がいるか……。
まぁいい。
どうせ僕に勝てるような人間はこの国にいないのだから。
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