第8話

「今日の授業意味わからなかったんだが」


 一人の男の子が机にうなだれ、ボヤく。

 彼の名前はレイ・キリシヤ。キリシヤ男爵家の三男坊だ。一応貴族ではあるものの、男爵とかほとんど平民のようなもの。

 ましてや三男坊ともなればただの平民のようなものである。

 高身長でありスタイルも細長くて遠目から見ればイケメンに見えるような気もする男。おしゃれのセンスは終わり申していて、私服状態の彼を見ればみんながドン引くであろう。

 ちなみに近くで見た人であれば全員がかっこよくないと答えることであろう。


「そうっすね。難しいっすからね。授業。段々と難しくなっていっているっすからね」

 

 そんな彼の言葉に答えるのは一人の男。

 彼の名前はア・サーレス。これまた男爵であるサーレス男爵家の八男坊。八男坊とか三男坊であるレイよりもひどい。扱い的にはもうそこら辺の平民以下である。

 彼の身長は小さく、少しだけゴツい見た目をしている。なんか前世の野球部っぽそうなやつ。

 まぁかっこよくはない。

 

「そうだねー」

 

 僕も彼らに同意するように言葉を告げる。

 この学園でやっている授業など僕からしてみれば酷く簡単で、らくしょーなのだが、大した教育を受けていない彼らにはキツイのだろう。

 彼らとの会話を適当にこなしながら昼食を取る。

 学食はまぁあまり美味しいものではなかった。安いし。

 

「ねぇ。あなたがリーエかしら?」

 

 いきなり僕の偽名が呼ばれる。綺麗な女性の声で。

 そこにいたのは─────

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