第7話

 かつて、大きな大戦があった。

 アトリンテア大陸全土を巻き込む大戦争。


 ローオス王国は戦争当初。

 劣勢に陥っていた。

 敗走に敗走を重ねていたかつてのローオス王国の王様、貴族はこの状況を打破するために完全に協力することに決めた。

 魔法。

 それは貴族たち、王族たちが代々受け継いできた一子相伝のもの。

 本来ならば他者に教えることなどありえないはずのそれ。

 当時のローオス王国の人間はそれらの知識を全員で共有することにしたのだ。

 そこそこの大国であったローオス王国すべての王族、貴族たち全員の持っている魔法の知識はかなりのものだった。

 当時天才と言われていた魔道士だったローオス王国の王子はそれら魔法の知識を元に誰でも簡単に使える魔法、魔術を完成させた。

 今までは王族、貴族しか使えなかった奇跡を誰でもお気楽に使うことの出来る魔術を当時の王子は作り出したのだ。

 

 それからのローオス王国の快進撃は凄まじかった。

 一つ、二つの魔法しか使えない一部の貴族と何も使えない一般兵士の軍。

 全員が多種多様の魔術を使える軍。

 どちらが強いかそんなの火を見るよりも明らかだった。

 たった一週間で劣勢を覆したローオス王国は反転攻勢を開始。

 アトリンテア大陸の大地を踏み鳴らした。

 

 かくして、ローオス王国は世界最大の国となり、名前もローオス帝国に代わった。

 その歴史は長い年月が経った今でもしっかりと残っている。

 

 テレジア魔術学園。

 魔術の祖たる王子の名前を受け継いだ学園。

 ローオス帝国すべての王族、貴族が12歳から18歳までの間に入学しなくてはいけないアトリンテア大陸最大の学園。

 テレジア魔術学園は生徒に知識を、魔術を教えるのとともに、中央よりの教育を施す。子供を人質とする。

 

 当然公爵家である僕もテレジア魔術学園に入学している。

 しかし、登校はしていなかった面倒という理由で。

 最初は絶対に登校しなくてはいけなかったこの学園も今や何処へ。

 位の高い貴族であれば別にそこへ登校しなくても良い。

 そんなものへとなっていた。

 なので、当然僕は行っていない。

 イグニス公爵家長男ガイアとして学園に通っても良いことはない。

 色々と面倒事に巻き込めれて終わりだろう。

 

 だが、テレジア魔術学園に入学しないなんてありえない。

 テレジア魔術学園には多くの貴族が集まり、数多くの謀略が繰り広げられている。情報の宝庫なんだ。

 それ故。

 それ故に僕は平民として。

 不遇な扱いではあるものの、自由に情報を集められる平民としてテレジア魔術学園に通っていた。

 

 

 

 ちょっと早いけど。

 あけおめ、ことよろ。

 新年も今作をよろしくお願いします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る