第2話

 ほのかな光を灯す蝋燭がゆらゆらと揺らめいている。

 蝋燭に灯されたその部屋は黄金に輝いていた。


「南東にある小さな村が魔物の襲撃にあい壊滅。魔物はすでに冒険者によって倒されていますが、村は壊滅。すでにもう人の住める土地ではないそうです。そのため我々は……」

 

 蝋燭に灯されるのは、人よりも少し長い耳を持った一人の少女。

 碧い綺麗な宝石のような瞳は力強い輝きを放ち、長く綺麗な金髪が光を反射し綺麗に輝く。部屋を飾る黄金よりも遥かな輝きを誇っていた。

 そんな彼女の意見に同意するかのように頷く円卓に座る12人の彼女たち。

 僕はそんな彼女の横顔を眺めながら一人心のなかで愚痴る。

 

 どうしてこうなった?

 

 僕は心のなかで頭を抱える。

 今、みんなが話し合っているのは魔物に壊滅させられた可哀想な村の人たちをどうやって助けてあげるのが一番良いかという話だ。

 村の復興を手伝ってあげようという話から、みんなこの街に移住させて仕事をあげようという話まで様々な案を出し、話し合っている。

 なんで?

 なんでその人達を奴隷にするとかいう話じゃなくて、助けようとしているの?

 ここは悪の組織、秘密結社よ?普通は奴隷にしてどこに売ってやろうか?みたいな話をするところだよ?なんで無償で助けてあげようとしているの?

 それに……なんで円卓のメンバーに女しかおらんの?

 僕は男の方を優先して助けて恩を売り、スカウトしてきたよ?なのになんで女しか来ん?

 なんで男の優秀な人達は『俺の自慢の弟子なんだ』とか言って女を送ってくるの?

 まぁ、彼女たちも優秀だからいいんだけどさ。

 これがご都合主義?転生者である僕には必ず女が配られるの?

 手札が女だけって嫌なんだよ。男の手札も欲しいんだよ。

 男じゃないとスパイできないような場所も多いんだよ!決してハーレムを作りたいわけじゃないし、ハーレムならいくらでも作れるの!


「それだと……」

 

 僕はそんなことを考えている間にも話はドンドン進んでいく。

 トントン拍子で進んでいく。

 なんで君たちは無償で人を助けようとしているの?

 僕はボランティアの慈善団体を作ろうとしたわけじゃないんだけど。

 どんな悪事にも手を染め、動乱したこの国を裏から牛耳るような秘密結社を作ろうとしたんだけど。

 というかこの組織が目立つの困るんだけど。

 目的から外れちゃうんだけど。

 周りからの注目を浴びた段階でチェックメイトされるんだよ?権力闘争に巻き込まれるんだよ?我が家が!

 愚痴が止まらない。

 愚痴は止まらない。

 とどまることを知らない。

 もう一度言おう。

 

 どうしてこうなった?

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