第1話
アトリンテア大陸の中央部に位置する一つの巨大帝国『ローオス帝国』
300年前に行われたアトリンテア大陸全土での大戦争に勝利した『ローオス帝国』は多くの領土を獲得し、長きにわたる平和を獲得した。
それから、ローオス帝国はアトリンテア大陸最大の帝国として繁栄を続けた。
そんな黄金期から300年後。
『ローオス帝国』は今、動乱の中にいた。
他国の肥大化と他国の持つ『ローオス帝国』の領土への野心。
汚職、賄賂などが横行し、腐敗していていく政治。
賢帝と呼ばれ、長い間皇帝と呼ばれた人の病気による昏睡。
そして、次期皇帝を決めるための王子たちの権力闘争。
今巻き起こっている権力闘争など『ローオス帝国』の公爵家から男爵家までほとんどの貴族が王子たちの権力闘争に巻き込まれ、大戦争以来の血みどろのモノへと成り果てていた。
そんな中一切の権力闘争に巻き込まれず、あいも変わらず平和な領地、平和な統治を続ける貴族が存在していた。
その貴族の名はイグニス。
『ローオス帝国』の四大公爵家に数えられる名門中の名門家であるイグニス公爵家はその権力闘争に巻き込まれていなかった。
その理由はイグニス公爵家の長男がどうしようもないほどの無能であるからである。
この世は長男優遇。
どんなに無能であろうとも長男が家を継ぐの世の習い。
無能な味方など御免被る。
足を引っ張られても困るのである。
それ故の公爵家という強大な戦力なのにも関わらず権力闘争に巻き込まれていなかった。
■■■■■
ローオス帝国 イグニス公爵領 イグニス公爵家屋敷
豪華な調達品が飾られた一室のベッドに一人の男が寝そべっていた。
その男の名前はガイア。
ガイア・イグニス。
無能と名高いイグニス公爵家の長男であった。
「はぇー」
ガイアは無能の名に相応しきアホ面を晒しながらぼーっとしていた。
「スキア様」
ガイア以外誰もいなかった一室にて一人の女性の声がその場に響く。
いつの間にかガイアの腰掛けるベッドの近くに跪く一人の女性がそこにいた。
ガイアはゆっくりと体を起こす。
「何?」
その瞬間。
雰囲気が変貌する。
ガイアの雰囲気が別ものへと変化した。
見るものすべてを魅了する絶対のオーラをまとい、悠然とベッドに腰掛ける一人の王がそこにいた。
そこにいた。
「準備が整いました」
「うむ。よかろう」
一人の王は、無能とはかけ離れた王が、ガイアが、スキアが立ち上がる。
「行こうか」
「はい。スキア様」
消える。
その場から。
二人の姿がその場から忽然と彼方へ消えた。
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