魅力的なキャラクターって? 名前編

 今回のお題は「キャラクター」です。

 またまたツイッターにてお題を頂きましたので、書かせて頂きます。


 筆者の作品の感想でもよく触れられるのが、ズバリこのキャラクターの魅力です。長編だけでなく、短編作品であっても魅力的に映るキャラクターの秘訣、ここに書き記したいと思います。


 キャラクターは物語の核となる部分であり描き方も多方面に渡るので、今回は四話編成でたっぷりと解説する予定です。

 どれから考えるか。といったものは無いので、決めやすい部分から考えて他の要素を本エッセイなどを参考に決めると良いと思います。それでは第一話「名前編」始まります。


 まずキャラクターの設定と言われて浮かぶのは何でしょうか。


 職業、立場、目的、生い立ちなどなど魅力を増すための要素は色々あるかと思いますが、まず最初に必要となるのは「名前」です。

 いかに雄弁な背景や伝説、スキルや長所があろうとも、名前が分からなければ「で、誰?」と読者に常に疑問を抱かせながら読んでもらう事となってしまいます。


(経験談ですが、あらすじにある長編小説で記憶喪失の主人公の名前を知るまでに数話使ったところ、代名詞が多くシンプルに読みにくいと感想を頂いた事があります)


 名前を知る事で、その名前に対しエピソードや能力を紐づけて読者は読み解いて行くので、特に理由が無ければ早々に名前を伝えるようにすると印象に残りやすいでしょう。

 そしてその名前の付け方について。こちらは極論を言えば何でも良いのですが、一つだけ気を付ける事があります。それは、他キャラと見分けがつくかどうか。


 日本人名にしても外国人や異世界人にしても、音や文字の印象が似た名前にしてしまうと何が起こるか。前述した名前とエピソードや能力の紐づけが弱い場合(特に序盤や初登場時)他キャラと混同して読み解かれてしまう場合があります。

 そして混同されるような状況であれば、名前に対する情報が適切に伝わっていないため、読み辛さやキャラに対する印象の薄さを誘発してしまいます。


 では混同されるような名前とは何か。


 例えば日本人名の場合、登場人物を佐藤や田中といった世帯数の多い苗字ばかりにすると苗字で判別するのは難しくなるでしょう。

 この場合はフルネームが分かるように名簿や記入といった要素を登場シーンに使ったり、ニックネームや下の名前を他のキャラに呼んでもらい苗字以外の部分を印象付ける事で、エピソードと名前を紐づける事が出来ると思います。


 反対に、音の響きが良い苗字や印象深い文字を入れた存在しない苗字などを使う場合も注意が必要です。


 上記のような世帯数の多い苗字の中に数人いる。程度なら印象深く残りますが、逆に同じようなかっこいい苗字ばかりが並ぶと、同じく誰が誰だか分からなくなる可能性があります。この場合も上記と同じく、苗字以外の要素を織り交ぜる事で印象付けると名前を覚えて貰えるでしょう。


 また苗字と名前、双方で個性的な名づけを行うと両方の印象が色濃く残ってしまうので、普通の苗字に個性的な名前、またはその逆といった組み合わせにすると、ある程度落ち着きのある印象を与えスムーズに覚えてもらえると思います。


 もちろん両方を個性的にしたり、よく聞く名づけにしても良いです。その場合は前述したように他のキャラと見分けのつくよう調整するか、登場を印象づけるような展開にして、名前負けしないようにキャラを活かすと名前が個性へと変化を遂げます。


 外国人や異世界人についても、似た字面や発音のキャラと被らないように配慮すると、名前は自然と意味を持つようになります。


 以上の話をまとめると、魅力的なキャラクターを考えるにあたり、まず最初に決める事。

 それは、キャラ被りを気にする前に、名前被りを気にしましょうという話でした。


 ここを気にするだけで、ある程度は印象が薄くなる事は避けられると思います。




 続いての名前に関する要素について。そもそも、名前ってどうやって決めたらいいの? と言う方も少なくないと思います。筆者もそのタイプです。


 正直言うと前述通り被らなければ何でも良い。というのが私の意見です。ですが困っている人に突き返すような事を言っても悪いので、私の作品の命名の仕方をお教えしたいと思います。


 あらすじにある自作『この世界には私が眠っている。』の第一章主要キャラ五人について。

 主人公のシキ。ヒロインのネオン。宿の主ミコ。医者のサラ。賞金稼ぎアイヴィ。


 主役二人の場合、設定から逆算して名付けております。


 主人公シキは由来は四季。作中の魔術を扱う元素が四属性である事に由来しています。

 ヒロインのネオンは漢字にすると寝音。喋らないキャラであるため、寝ている音から決めています。また、本作では色が重要な要素であるため、人工的な光であるネオン管との言葉遊びであったりもします。

 他にも様々な伏線になる要素を鑑みて、二人はこの名前となりました。


 続いてミコとサラ。この二人は作中の活躍から決めております。

 ミコの場合は漢字にすると見子。一連の事件を見守る子という意味があったりします。

 サラの場合は白と書いてサラ。ネタバレなので詳細は伏せますが、作中の行方を追えば伝わる名前となっています。


 最後にアイヴィ。こちらは植物のアイビーから取っております。

 彼女の扱う能力であったり、アイビーの花言葉と性格をすり合わせたり。


 私の場合、基本的に作中の活躍から名前を考える事が多いです。

 なので、プロット段階では名無しがほとんどですね。


 プロットを書いて、活躍から名前を決めて、名前から細部の行動や性格を考える。そうすると名前の段階で個性が現れ、名前すらも伏線になったりと複合的にキャラの印象を強める効果を与える事が出来ます。


 なので名前とはキャラの顔となる、重要な要素であったりするのです。


 と言いつつ、名前が決まらない場合は安直な命名をする事も多々あります。

 姐さんキャラにはアネッサとか。紫炎使いには紫の系統色、アランブラとかオーキッドとか。


 要するに、名前の音や字面の雰囲気が被らなかったらOKなのです。

 さらに名前にキャラの要素を含めると、名前と要素双方の印象が紐づいてより覚えられやすいよ。というのが、私の考える名前を使った魅力的なキャラクターの作り方でした。


 今回触れたように、名前を決めるにあたっても様々な要素を考慮していたりします。

 他の要素も解説致しますので、引き続き第二話もお付き合い頂けると嬉しいです。それでは。

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