第7話
「プレゼントはわたしってそれ、恋人とか、そういう愛する人にするものだと思うけど、どういうつもりなの? わたしのことバカにしてるの?」
実果がそんな酷いことをするような人だなんて思わなかった。ふった相手を2人きりの場所で小ばかにするなんて……。
紗良の目にだんだん涙が溜まってくる。
「紗良ちゃん、わたしはふざけてなんかないよ。本当に紗良ちゃんのことが好きなの」
「好きって、友達とかそういうことでしょ?――」
紗良が言い終わるのとほとんど同時に、唇にほんの一瞬だけ柔らかいものが触れた。とても優しくて甘いその感触は、紗良の気持ちをあたたかさで満たしていく。
「ちょっと、いきなり何!?」
北海道の冬は寒いはずなのに、紗良の体が火照って熱くなる。顔を真っ赤にしながら元々大きな目をさらに見開いて実果に問いただす。
「ほんとうにどういうつもりなのよ! あなたいつから友達とキスなんてするようになったのよ!」
実果がゆっくりと首を横に振る。
「ううん、友達にはしないよ。わたしは紗良ちゃんと友達以上の何かになりたいから、したの」
「友達以上の何かって……。実果はわたしの告白を断ったじゃないのよ!」
紗良の質問に実果がううん、とゆっくり首を横に振ってから寂しそうな顔をして答える。
「わたしね、紗良ちゃんに告白してもらってすごく嬉しかったんだ。わたしも紗良ちゃんのこと大好きだから……。紗良ちゃんと恋人関係になれたらとても幸せだなって思うよ。だから本当はあの時すぐにでも付き合いたかったんだよね」
「じゃあ、なんであのときオッケーしてくれなかったのよ……!」
紗良が実果のことをキッと睨みつけた。実果は少しの間黙って。悩んだような困ったような顔をしてから、覚悟を決めて話し出した。
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