第2話

「ねえ、ふざけて作ってるわけじゃないわよね? わたしをドッキリにかけるために作った激マズドリンクとかじゃないわよね?……」


もし本当に一生懸命作ってくれたのだとしたら申し訳ないから、口に出そうかどうか迷った。


けれど、先日あんなことがあったというのに今日クリスマスパーティーをしようと誘われたこと自体、もしかしたら実果の企画したドッキリか何かではないだろうかと疑っている気持ちがゼロではないので、結局聞いてしまった。


だけど、その言葉を聞いても、実果は純粋な笑顔を紗良に向けたままだった。


「もう、酷いなあ。紗良ちゃんに喜んでもらいたくて、頑張って作ったんだよ! もしマズかったらいっぱい謝るから、騙されたと思って飲んでみてよ」


いたってまじめに、笑顔のままで実果が言うから、困惑しながらも一思いに飲む。


「どう? どう?」


わくわくした目で実果が見つめてくる。


一口目は今まで飲んだことのない味に一瞬拒絶反応が起きた。だけど、飲み込んでみて気が付く、そんなに悪くないかも。いや、悪くないどころか……。


「うん。なんでかはわからないけど、美味しい……」


舌が味に慣れていくにつれてどんどん美味しくなっていく不思議な飲み物を一気に飲み干してしまった。一体この黒みがかった怪しい色のジュースをどうやって美味しく作っているのだろう。


「紗良ちゃんの為に一番美味しくて栄養のある味を考えたんだから!」


実果が胸を張る。


どうしてこの子はそんなことを平然と言えるのだろうか、ほんの一月程前にあんなことがあったというのに。


やっぱりふざけてるのかもしれない。

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