005「激情多動」

僕は生まれつき走る事が好きだった。


走れば、日々の嫌な事や喧騒からも隔離

された様な気分になって、孤独感よりも

幸福感が溢れた様な気分になる。


僕の走る時間は短い。


それはたった6秒間で繰り広げられる

サバイバル。


でも僕には拡散する集中力がなかった。

僕には僕の体を止める事が出来なかった。

僕には君みたいな器用さは無かった。


僕には走る事しか、その存在を確かめる

方法は無かった。


僕には、君みたいな歩き方は出来なかった。


僕以外が、走る事以外の、そのすべてで

僕を置き去りにする。


だから僕は1人で死んだ。

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