人魚姫〜もしも二重人格だったなら〜

レイド

〜人魚姫〜

ここは、何処かの海の中、魚達が泳ぎ回っている場所でもある。

これは、一人の人魚姫のお話である。

ある所に、下半身が魚で上半身が人間の人魚と呼ばれる者達がいるのでした。

その仲間達の中で権力のある者がいました……

それは、人魚姫と呼ばれていたのでした。


「う~み~は、ひ~ろ~い~な、お~お~き~い~なですね~」



海の歌を歌っている一人の人魚がいました。

その名前は、人魚姫と言って、美しく可憐であるのだけど、彼女は色々な意味で凄い人魚なのでした。

それは……



「はっはっは!今日で二十人切りだぜ!どうだ!」



「やめて下さい!人魚姫様!」



「何~?俺に逆らうのか~?」



「そうじゃなくて!もうやめてください!」



ちなみに今の状況は、人魚姫が敵対しているシャチ族と喧嘩をして二十人切りしたそうです。

この人魚姫……どうやら性格が変わるようです。



「今日も……疲れたぜ……俺は寝る」



「人魚姫様……この性格じゃなければ人気あるのに……」



人魚姫は、疲れて寝ちゃったのでした……

人魚姫の父親、王様が言うには



「人魚姫ももうちょっと大人しくしてれば、良いのに……」



王様は、いつもそう思っているのでした……

そんなある日、海上に一隻の船がやって来たのでした。



「……あれは……何でしょう?」



今の人魚姫は、優しいモードのようです。

人魚姫は、性格が変わるので、周りの皆からは表モードと裏モードと名づける事にしたのでした。



「今の人魚姫なら、いいんだけど……」



人魚姫の下僕?の魚人は、ため息をついてそう言ったのでした。



「ちょっと行って見ましょ……」



人魚姫は、船が浮かんでいる地上へと泳いだのでした。

その頃

地上では、こんな事が起こっていたのでした。



「王子、この海域は幻の人魚がいると言われてますぜ!」



「おお、誠か?なら……その人魚、釣り上げて見せる!」



王子は、いきなり何処からか釣り竿を取り出し、釣り針に針を付けそのまま海に放り投げたのでした。

まさか、こんな行動に出るなんて、王子も大分性格変わってるのでした。



「人魚姫様……」



「どうしました?」



「何か背中が痛いんですけど、解りますか?」



「どうしたの?ちょっと見せて?」



人魚姫が、魚人の背中を見てみると、背中に釣り針らしき針が刺さっていたのでした。



「ん?これは……」



その頃



「お!掛かったぞ!」



王子は、当たりが来たと思い、思いっきりリールを巻いたのでした。




「うわ!人魚姫様!」



魚人は、ぐいぐい引っ張られ、地上に上がって行くのが解ったのでした。



「魚人~!」



人魚姫は、魚人の跡を追いかけたのでした。

一方地上では



「お、何か釣れたぞ!これは……」



王子は釣れた物を見て驚いたのでした。



「これは、幻の人魚ですぜ?まさか本当にいるなんて……」



その時、もう一匹の人魚が現れたのでした。



「貴方達が、この下僕を釣ったんだな!」



「え?私って下僕だったの……」



魚人は、凄く落ち込んだのでした。



「また、人魚が現れましたぜ!王子様!これは捕まえるチャンスです!」



「……良し、この雑魚はいらん!こっちの人魚だけ貰い受ける!」



王子は、人魚姫の方を指差して言ったのでした。



「私……今度は雑魚扱い!?」



魚人は、また凄く落ち込んだのでありました。



「俺を貰い受けるだと?笑わせてくれる!」



人魚姫は、どうやら裏モードになっているようです。



「勝負方法を決める!」



「は?」



王子は勝手に指示をして、勝負方法を言うのでした。



「まず、これを持って私と闘う」



王子は、懐からサーベルらしき物を取り出し、人魚姫に投げました。



「え?」



「それでやりあって勝ったら、お前は私の物だ!負けたらいざぎよく諦めよう!」



「王子?何言ってるんすか?」



人魚姫は、一旦考えてこう言うのでした。



「いいだろう!この勝負受けて立つ!」



「なんか話の展開が変に……と言うか私……存在感薄!」



魚人は、ぶつぶつと文句をいいながら、とりあえず今の光景を眺めてみる事にしたのでした。


「さあ、勝負だ!」



「おうよ!」



こうして王子様と人魚姫は剣で戦いました。

けど結果はすぐにつきました、それはなぜかというと……



「い、息が……ガク……」



「ひ、姫様~!うぐ……」


人魚姫と魚人は一応魚なので、地上に出た途端

息が出来なくなって、気を失ったのでした。



「王子様……どうしやす?」



「う、うむ……そうだな……とりあえず海に返すか……おい、手伝え」



「はい、解りました」



王子は、人魚姫と魚人を海に投げ込みました。

それから王子はというと



「何か気分がそれたな、城に戻る、しかし……綺麗な娘だったな……」



そう言って、城へと帰って行ったのでした。

それから人魚姫はどうなったのかというと



「おい、魚人!」



「は、はい?何でしょう?人魚姫様」



「俺は地上に出ることに決めたぞ!」



「な、何ですって!?正気ですか!?考え直して下さい!」



「いや、あの王子との決着付けてないからな?負けたままじゃ悔しいんだよ!だから地上でも平気な方法を教えてくれ!」



「だ~め~で~す!王様にも言われてるんです

人魚姫が地上に出たら大変な事になるって」



「ん~?それはどういう意味で言ってんだ?コラ!」



「ひ、ひぃぃぃ!」



「ち、しょーがねぇ!自分で地上でも大丈夫な方法探してやるぜ」



「あ、待って下さい!人魚姫様!」



人魚姫は、自分で地上でも大丈夫な方法を探したようです。

そして、人魚姫は、ある海の底にすんでる魔女から地上に出る方法を脅して聞き出すことに成功したのでした。

人魚姫は、地上に出るために人間に化けて地上に出る事にしたのでした。

人間に化けた副作用か?人魚姫は海の中にいた記憶を忘れていたのです。

一方王子のお城がある陸地では



「私は……誰?」


地上に出た人魚姫は人間になれたけど、何もかも記憶を失っているのでした。

何をしようか迷っていると、王子様がやってきました



「ん?お前は?何所かで見たことある顔だが……?」


「わ、私の事知ってるんですか!?お、教えて下さい!私が一体誰なのかとか」



「い、いやそんな事言われても……うむ、困った、もしかして記憶喪失という奴か?」



「はい、どうやらそうみたいです……」



「なら行くとこがないなら、私の城に来るか?」



人魚姫は、しばらく考えた後、こう言いました。



「そうですね……もしかしたら私の記憶も戻るかもしれませんし、是非、お願いします……」



そう言って人魚姫は、王子の城に暮らす事になったのでした。

一方その頃海のそこでは


「王様!大変です!」



「何だ、そうぞうしい、一体どうしたのだ?魚人」



「人魚姫様が行方不明です!もしかしたら地上に行ったのかもしれません!」



「何だど!すぐに人魚姫の捜索を命じる!血眼になって探してくるのだ!」


「は、はいぃぃ!」



王様は、海の中のメンバーを召集して、人魚姫の捜索をする事にしたのでした。

一方人魚姫はというと



「え~と……王子様?」



「ん?何だね」



「なんでこんな豪華な服装や髪飾りを用意してくださるんですか?」



「嫌いか?君に似合いそうなのを選んだのだが……?」



「い、いえ……こんな豪華な物を貰いましても……一体私に何を求めているのですか?」



「求めているも何も私は,貴方に惚れたのだ!だから妻に迎えようとおもってるのだが?」



「え、ええ!?」


人魚姫は、驚いたのでした。



「駄目か……?」



「え、えっと……ちょっと一人になって考えさせて下さい!」



そう言って、人魚姫はお城から抜け出したのでした。



「あ、ちょっと待ちたまえ!」



王子は、その後を追いかけたみたいです。ら



(まさか……記憶喪失の私にプロポーズするなんて……どうしましょう……この申し出、受けようかしら……)



人魚姫は、浜辺に着いてそう悩んでいると

海の中から、何か出てきました。


「見つけました!人魚姫様!」



「???あ、貴方は?それに私のこと、人魚姫って……」



「わ、忘れたのですか?貴方の下僕の魚人ですよ!人魚姫がそう言ったのではないですか!」



「え、そ、そうなのですか……すいません

全然身に覚えが……」



「ひ、酷いです!、ところで……人魚姫様!その足は一体……」



「あ、足?別に普通ではないですか?」



「ふむ……どうやら、人間の足を貰うかわりに記憶をなくしたと言う事か……」



「あ、王様、やっぱりそうだと私も思います……」



「仕方が無い……これだけは使いたくなかったが・・・」



王様は、懐から何かを取り出すと人魚姫めがけて思いっきり振り下ろしました。



「うおりゃあ!」



「キャ!う……」



人魚姫は、その一撃を喰らって気絶してしまいました。



「お、王様!?一体何を……?」



「もう足は私の力でも元には戻せることが出来ないから、せめて記憶だけを復元させたのだ、む、誰かくるな?隠れるぞ」



「あ、はい!」



人魚姫と王様は、海の中へと隠れると同時に、浜辺に王子様がやって来たのでした。


「お、いた、おい大丈夫か!」


王子は、人魚姫を抱き上げました



「う……っは!」



「気がついたか……ぐお!」



王子は、いきなりの人魚姫の攻撃をまともに食らいました。



「い、いきなり何をする!」



「また会ったな!王子!前回のようには行かないぜ!」



「その口調…てもしかして、前に出会った人魚か!?」



「忘れた訳じゃなかったようだな!じゃあ覚悟!」



どうやら再び裏モードになったようです。


「よかろう!この勝負受けて立つ!」



こうして再び人魚姫と王子のバトルに入ったのでした。

それを見ていた王様と魚人はというと



「あの~……王様?とめなくてよろしいのですか?」



「もう私は知らん……好きにやらせておけ……魚人、帰るぞ……」



「あ、はい、判りました」



王様と魚人は、海の中へと姿を消したのでした

その後、どうなったのかというと、王子と人魚姫の対戦は結局勝負がつかずいつの間にか意気投合して、一緒に暮らす事になったのでありましとさ

めでたしめでたし~



「これでよかったのですか?人魚姫様」

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