第12話 決行
馬車に乗って王と私の二人で、作戦が行われる場所へと向かった。そこは、隼翔の国の東側で、渇辣の国との国境の近くの、もの静かな森の中にある、酔ってしまうほどきれいな滝だ。
山本によると、日本3大秘境らしい。こんなやつとじゃなくて、みんなと一緒に行きたかったなと思ったが、まあ今度行けばいいかと思って、解決した。
私は王にこう言って連れ出した。「前からそこに行きたかったのですが、一緒に行く人がいないと怖くて行けなかったから、王様と一緒に行きたいな。」と。そういうことにして、向かった。
しかも、今日は私の16歳の誕生日ということにしている。本当は、もうとっくに16歳になってるんだけどね。
王はずっとニヤニヤしていて、きっと16歳になったらいいよという約束のせいで、ずっとそのことしか考えていなかったのだろう。まあ、それも含めて作戦のうちだった。やはり、油断してる相手の方がいろいろとやりやすいからだ。
____
そして、目的の場所の近くになった時に馬車の者は帰して、明日になったらまたくるようにと王が言ってくれたので、なおさら良い環境が整った。
ちなみに、この滝のすぐ近くに王が私とのために建てた愛の巣があって動物に襲われる心配もないし、一応ここはこの国の者くらいしか知らない秘境だ。(なぜか山本は知っているけど)
それに、森の周りには警備隊を特別に立たせているので、人に襲われる心配もないということで王は万が一ということも考えていなかった。
しかし、私達の作戦の方がこの厳重警戒された状況よりも勝っていた。
なぜなら、警備隊には私が別の日時を言っていて、今日はいないし、すでに王の建てた家には罠をはっているので、もう王は蜂の巣状態だ。
あとは好きなだけ痛めつけるだけだ。その前に、1つ確認したいことがあったので、王が玄関を開けるとすぐに王を後ろから押した。そして、玄関に事前に設置した、罠のトリモチに王は引っ掛かった。
「うわっ。なんじゃこれ!」
王は脱出を試みるが、トリモチは王を離さない。まるで、今までの農民の怨念でも籠っているようだ。
「トリモチっていってね、なかなかとれないものですよ。なんでこんな状況になっているか分かりますか?」
「お前、裏切ったな。こんなことしてただじゃ済まないことくらい分かっているじゃろ!」
「言葉が分からないのかな?質問に答えてください。」
「こんなトリモチなんかすぐに取って、お前を殺す。」
私は思いっきり安斉の顔面を蹴った。
「立場をわきまえろよ。それに、普通に戦ってもおそらく勝つのは私だが、時間もないもんでね。それで、なんでこんな状況になったのか分からないか。なら、教えてあげよう。
お前は農民を人とも思っていない。農民のおかげで生きてられるのに、それを分かっていない。お前は今まで何人殺した?何人苦しめた?きっと覚えてないだろうな。」
「いきがるなよ。メス豚が!」
もう、こいつを痛めつけるのさえ嫌になってきたので、最後に聞きたかったことを聞くことにした。
「なんで、この国は軍隊も弱いのに他の国に潰されないんだ?何か裏があるのか?」
急にさっきまでと違って顔色が変わり、罵声を浴びせてこなかったので、これは図星だと思い、
「誰がバックにいるんだ?」
「...」
全然話してくれないので、どうしようと考えていると、景泰がやってきた。
「舞衣様。作戦通り、前国王に仕えていた者や、現国王へ不満が溜まっていた者などを集め、先ほど現国王軍との戦いに勝利しました。」
「よくやったぞ景泰。こっちも後はこいつを支援していたやつを吐いてもらうだけだが、なかなか言わなくてな。」
ようやく安斉が口を開いた。
「なんだって!もう、本当にただでは済まなくなったぞ、女。せいぜい貝取様に消されるがいい。あ、。」
「よしっ。ようやく言ったか。もう、言っちゃったなら、全部言った方がいいんじゃない?」
私は笑顔でそう言った。すると、
「言うわけないだろ、バーカ。」
もう、しょうがないから、さっさとこの王を地獄に落とすことにしようと思い、この国を制圧した、元国王軍の人達に安斉を渡した。
この戦いは、元国王軍が現国王軍を破って、隼翔の王位を安斉から奪還することになったから、「復古革命」と呼ばれる。
そして、私達は樹さんに勝利の報告をするためにも、小川村に帰ることにした。
「お帰りなさい。」
「ただいま。あの、樹さんはいる?」
「いらっしゃいますよ。」
樹さんのところに案内された。
「樹さんただいま。安斉を倒してきたよ。それに、国王軍もね。」
「お帰りなさい。舞衣様。さすがです。おめでとうございます。」
「ところで、樹さんってさ、本当は隼翔国の前の王様でしょ?」
「どうしてですか?」
「確証はないんだけど、樹さんが持っている刀の鞘についてた印が、私が隼翔の国で助けて、その後私に協力してくれた元国王軍の人のにもその印がついてたから、そう思ったんだ。」
「まさかここまでばれてしまうとは思いませんでした。」
「やっぱり、そうだったんだ。ならさ、国に戻ってあげなよ。みんな待ってるよ。」
「私は負けた身。それに、みんなが戦っている中、私はただ平和に過ごしているだけでした。ですから、みんなに合わせる顔がありません。」
「でも、みんなにあなたが生きていることを伝えたら、すごく喜んでいて、また国王になってほしいと言っていました。あなた以外にはいないと。」
「そこまで言うなら、とりあえず皆に会うだけ会ってみます。」
こうして、私達はまた隼翔の国へ向かうこととなった。
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