第9話 13年という間
私が成長して、自分で言うのもなんだが、たくましくなっている間に世界は大きく変わっていった。
まず、私の国である波流が赤旗の灼炎の国に滅ぼされたのをきっかけとして、波流と同盟関係にある遼源は灼炎に攻め入ることとした。
もし、そうしなければ、これから先に自分の国と同盟を結んでも、守ってくれないなら他の国にとっては同盟を結ぶ意味がないので、攻めなければならないのだ。
だが、あくまで完全に潰しあいをするわけではなく、周りの国に示しをつけるだけであった。つまり、本気で戦ったというよりは、手を抜いて、軽く戦ったら、相手の国とは休戦協定を結ぶという形であった。
この2ヶ国と比べたら、周りの他の国は小国であるから、何か手を打たないと、実際に波流の国が潰されているわけであるから、国の存亡の危機であった。
ただ、それ以外にも小国にはデメリットがある。
例えば、小さい国にはその分人も少ないため、優秀な人間がいる可能性もその分低いのである。
だから、先ほどの2ヶ国のようにできるだけ被害を起こさないような行動を取るわけではなく、他の国を制圧し、その国の臣下を自分の配下に加えることで、国を大きくしようという戦略であった。
ここで、なぜ同盟を結ばないのかと、疑問に思う人もいることだろう。
あくまで私の推察だが、まず第一に、他の国の人の言うことなんか信じられないからということである。
遼源のように大きい国であれば、余裕もあるから、仮に裏切られても被害は最小限に抑えられるだろう。しかし、小さい国ではその少しの被害であっても、大きいのだ。だから、同盟を組まないと私は思う。
また第二に、野心が強すぎるからである。みんな、子供の頃は絶対に自分が日本を統一したい。という夢を見て、それに忠実に従うからである。
同盟なんかを組んでしまっては、自分一人の天下ではなくなってしまうから、同盟を組まないのである。
(波流の国が遼源に同盟のようなものを結んだのは、そうしないとすぐに潰される可能性が高いくらい国が小さいからである。)
そして、中部地方とかつて呼ばれていたところには、波流の国があった頃は8ヶ国くらいあったが、今は遼源、灼炎、寅牙、閃拳、隼翔の5つとなってしまった。
特に灼炎の国が波流の国をはじめ、いろんな国を侵略したことで、ここまで国の数が減ってしまった。
中部地方の配置は、北は遼源、中央と西は灼炎、東は隼翔、南西が寅牙、南東が閃拳という感じだ。
ちなみに、私達が今いるのは、山梨とか長野辺りだから、隼翔の国の領地ではある。
そして、隼翔の国は関東地方とも近いが、関東はもともと12ヵ国あり、それぞれ小国ばかりだった。
しかし、灼炎が動き出したのに共鳴したのか、それとも単純に小国のままではやられるからなのか、統一の動きがあり、7ヵ国ほどまでに減少した。
一応、今私達がいる隼翔の国に近い国でいうと、隼翔から見て、北の群馬県あたりにある、爽呪の国。
隼翔から見て、北東の群馬県と埼玉県の間らへんにある、鳩銘の国。隼翔から見て東の東京あたりにある、渇辣の国。
あとは、南東の神奈川県の北半分あたりの瞬刹の国。それに、神奈川県の南半分あたりの黒洋の国。まあ、隼翔周辺はそれくらいだ。
それ以外の関東の国は、栃木県と茨城県あたりの筑焚の国と千葉県あたりの銚潮の国。その7ヵ国だ。
一応、この13年間でどれくらい情勢が変化したのかまとめたのが下の表だ。左の数字が13年前の国の数で右の数字が今の国の数だ。
東北 5→5
関東 12→7
中部 8→5
近畿 4→4
中国 6→5
四国 3→2
九州 8→6
合計 46→34
まあ、明らかにこの13年間で戦乱が多くなって、一個一個の戦乱が大きくなっているだろうということが分かる。
ただ、慶護達が所属していた山賊集団の結巾も、この国々とは別のベクトルでまた存在しているのもたしかである。
慶護達が50人で私達を攻めてきたから、たいして結巾の人数はいないんじゃないかと思われるかもしれないが、実は結巾の人数はとんでもなくいるらしい。
単純にあの時に小川村の近くに結巾の人がいなかったからなのか、50人しかこなかったが、全国各地に結巾に所属している人がいるらしく、総勢20万人くらいいるといわれている。それに、どこかにアジトがあるんじゃないかともいわれている。
そんな感じで結巾の情報は、はっきりとしたものがないので本当かは分からない。
とにかく、これがこの13年間の動きだ。
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