第2話 Reincarnation

 ここで、一旦今の世の中の情勢を見ておこう。


*****


 西暦2100年に事件は起こった。この世紀末の年に地球では第三次世界大戦が勃発。



 21世紀は様々な問題が浮き彫りになったものの、20世紀のような悲惨な戦争は再び起きないと皆が信じていた。



 だが、21世紀末に核兵器を持ったテロリストが現れ、ある国を占領。そして、全世界に対して宣戦布告をした。


 その頃、追い討ちをかけるように世界恐慌が起きた。そのため、民衆が経済的に困ってしまい、各国内では混乱が起こっており、テロリストなんかに構っている余裕なんかなかった。



 みんな自分のことばかり。だから、緊張が走る世界に、手を取り合う者は出てこず、ただただ時を無駄に過ごしてしまった。




 そしてある時、勃発してしまった。


 始まってからは誰にも止めることはできず、全人類の99%以上が死んだ。


 奇跡的に生き残った人は、アフリカの山岳地帯にいる部族。ちょうど、その周辺には核兵器が飛んでこなかったせいか生き残ったそうだ。


 でも、その部族は21世紀になっても原始的な生活をしていた。それはその部族には伝統を重んじるという文化があったため、なかなか山からは出ていくことはなかったのだ。


 そして、1975万年の時にようやく世界では今で言う中世や近世のような時代を迎えた。



 その頃の日本ではいわゆる戦国時代といわれるような状況になっており、日本全国で、国が50弱あったため、いまだに全国制覇は前人未到である。


 争いの絶えない状況下では、平和を続けていける国も少ない。やらなければやられる時代だからである。小国は、近くの大国に仕える形でなんとか生き残っているというのも珍しくはなかった。




 そして、50近くある国の中でも特に有力だと言われている国が7つあり、7大国と呼ばれている。


 7大国は北から順に、東北地方の「霊冥」、北陸地方の「遼源」、中央高地の「灼炎」、近畿地方の「蒼天」、中国地方の「雷轟」、四国地方の「聖龍」、九州地方の「鋭美」の7ヵ国だ。


 ちなみに、関東地方には7大国のような国はない。その代わりに小さい国が多く、12カ国ほどある。




 そして、7大国の名前を見たら分かる通り、漢字の文化は続いている。


 それは、第三次世界大戦の前、先ほどの部族のもとに中国人と日本人のカップルがたまたま迷いこんで来てしまい、そこで生活を共にするようになった。その際に、そのカップルが書いていた手紙を見て、そこの部族の人達は物珍しさで、漢字を覚えていった。そして、子孫に漢字を伝えていったのである。


 さすがに日本語という形で今まで残ってるわけではないが、それでも漢字は人を通して語り継がれたのだ。


*****



 そして、私が次に目覚めた時、私はどこかの室内にいた。それと、見覚えのない人達に囲まれている。


 もしかしてさっきの女の子が私を助けるように集落の人に言ってくれたのだろうか。あの時はもうダメだと思っていたが、なんとか助かった。


 ただ、なぜか体を起こすことができない。それと、声も上手く出せない。まあ、それくらいまだ重症なのか。

 最初はそう思っていた。というか、そう考えるしか理論的に無理だ。



 だが、私の予想は大きく外れていた。なぜなら、よく見ると、私の体は明らかに小さくなっていて、しかも周りにいる人々は、集落の人のわりには、やけに筋肉質だからだ。まさにスポーツ選手のような感じである。



 そして、相変わらずみんなが何を言っているのかは、分からないままだったが、だいたいの今の状況はこうだ。


 私は一度死んでいて、その後、転生して今の体に入った。そして、知らない人達に囲まれているのが今の状況。

 近くにいるきれいな女性はおそらく私の母親。私の父親は誰か分からないが、周りの者はきっと誰かの従者で、そのうちの1人がきっと私の父親なのだろう。それか、今はどっかに行っているとかだろう。


 とりあえずは、今のこの生活に慣れて、言葉も理解しなければいけない。というか、1回お時間もらってもいいですか?


「えぇ!!!!!私、転生してる!!!」


 あくまで、心の声だけど、びっくりせずにはいられなかった。物語でのファンタジーだけかと思っていたが、本当に転生するんだということに驚いた。



 そして、私の新生活は始まったのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る