7つのプロフェッショナル
たから聖
第2話フォードの末裔…完結編。
~プロローグ~ とある朝…最後の晩餐をしよう。と7人の研究者達が食したモノは…ゆでて、すりつぶしたジャガイモに岩塩を程よくかけたものだった。 スイスの安楽施設…その場所近郊では…深夜から明朝にかけよく叫び声が頻繁に聞こえていた。7人の研究者達が手掛けていたのは、国賓の暗殺…または、スーパースターの安楽死を難なくこなし続けていた。7人の研究者のうち…両親に会いにいったのは1人だけであった。 実家に無事たどり着けた1人の研究者…名前はC.フォードの末裔シールドであった。 フォードの一件以来…シールド研究者は胸が痛み…良心と極悪非道な毎日という狭間で…こころがおかしくなりつつあった。シールドは実家に着くなり、現実逃避のために、ウイスキーのロックを一気に飲みつくし、フォードの掲載されている古びた新聞記事を、ベロベロに酔いながら、むさぼり読んでは1人で泣いていた。事件が表沙汰になれば成る程、C.フォードの末裔の正体を隠す為に戸籍をも詐称していた。 両親には自分の仕事内容を打ち明けずにいた。両親には… 【俺…将来的には、】といつも言葉を濁していた。そんなシールドの言いづらい理由は…両親は分かりきっていた。父親のピーターはフォードに顔がとてもうり二つで甘いマスクであった。 その為に…病院という病院から通達が回り…研究者達にまで到達してしまったのだ。 【関与人物…7人の今までの経歴…それに渡航歴…さらには事細かに外出先や購入履歴まで警察は調べ尽くしていた。】 7人の研究者達が出した答えは、 【逃げ場が全く無い】 しばらく沈黙したあとに…自分たちの犯した罪を償おう。と…結論を出した。 シールドはベロベロに酔いながら致死量の劇薬物を体に注射していた。 その劇薬物は研究した割には体に合っていた。シールドの開発した劇薬物は…フォードにはかなわなかった。 フォードの天才ぶりをシールドは部屋の片隅で痛感していた。 【確か、カプセル…】 と麻痺し始めた体で、トイレに這いつくばりながら、 空っぽの胃の中にある胃酸の味の苦さを噛み締めては、 吐くたび…吐くたび… シールドはいつしか、夢の中にいた。フォードの初恋の人の姿が見えた、そこで美しい女性は…フォードに刺されていた。 シールドが脂汗をかき…【わぁ!】と飛び起きた。シールドは 部屋の片隅のトイレで目を覚ました。 カプセルらしきものが7粒、紙袋に一粒ずつ分けて入っていた。 そのカプセルは両親が置いていった物なのか?シールドには、分からなかった。 体を引きずって部屋を出ると…両親が逮捕されたニュースが流れているのを、ぼんやりとシールドは見ていた。 シールドはいつしか、フォードの亡骸を握りしめていた。 シールドはフォードの甘いマスクをモノクロの写真で、いつもデスクの上に置いていた。 フォードの亡骸と7粒のカプセルを持ち合わせ…中国人の乗り合いタクシーを利用した。 アルコールが半分飛んだ所で、シールドは思った。 【あぁ、このタクシー会社もダメになるか…】シールドは刻一刻と時間に追われていた。中国人の運転手は訳の分からない言葉を捲し立てていた。 シールドにとっては、疎ましい限りだった。気持ち悪いくらいの荒い運転で中国人運転手はさらにスピードを上げた。 とっさの急ブレーキ!シールドは身を乗り出した。中国人運転手は警官に違反キップを、切られていた。 シールドは慌てて、その乗り合いタクシーから、命からがら逃げていた。シールドは誰が見ても分かりやすい変装しかできなかった。 マスクにサングラス…研究者らしからぬ髪色に変えていたのだ。 中国人運転手の取り調べの時…ポリスは研究者のバッジを見て、目を光らせていた。 シールドは次に樹海に入り身をひそませていた。とその時…残りの6人の研究者に連絡をとった。 【お前のせいだろ!このキチガイ野郎!早くこっちにこい!】 シールドが身動き取れない理由を話した。 シールドはポリスの、切り崩していくやりっぷりに…興奮さえ覚えていた。 残りの6人はシールドに見限りをつけてあきれていた。 【アイツ。いつもフォード、フォードって言いやがる…。何だってんだ!】 【俺らのが上だよな?(笑)まさか…こんな手があるとはよ!】 6人の研究者達が劇薬物のグレードをいとも簡単に上げていた。 シールドは研究者達…6人を道連れにしようと樹海に生えている…猛毒の植物を7つ用意した。 【頭脳戦ならばーフォードの遺伝子を信じてみせよう!】 フォードに程なく似ているシールドが樹海をさ迷い歩いていると…報告がポリスに入った。 フォードの亡骸の入った袋…そして次は、カプセルの中身を慎重に取り出し…シールドの血液型…さらには、地球上の人間の血液型のパターンを頭の中で…いく通りも計算した。そしてシールドは俊敏に、【暗殺フォード薬】を作り上げた。 もちろんフォードを称え亡骸入りだった。 シールドは6粒のカプセルをバイクで伝言を伝え走らせた。 樹海で即席の暗殺薬を樹液で強引に口に流し込みシールドは自ら人体実験をしたのであった。 その頃…6人の研究者達は【シールドなんて成り上がりだろ?(笑)しゃくに触るよな…】とぶつぶつぼやき、人間の致死量を調べながら、実験代はシールドにしようぜ!と盛り上がっていた。 と…その時、バイク便が届き、ベルがなった。窓口の担当が名前を確認した。 【宛先不明のマイク】とだけ書いてあった。 研究者達にとっては、【宛先不明のマイク】の便箋は必ず開けろ!と司令があったのである…。 宛先不明のマイク? 久々の手応えだな? 6人のうちの1人は…タイミングが合致したので…シールドだ!と感づいていた。 数名が便箋を開けると…可愛らしい包みが出てきた。 【お?これは何だ?バカなやり方をやるもんだな?】とみなで高笑いをしていた。 【お菓子在中6粒の奇跡…】とだけ書いてあった。 ~エピローグ~ 残りの1人の研究者…その人物は慎重に中身を調べていた。 【まさかな…?】 シールドが樹海で変死のニュースが流れた次に…研究者5名軒並み逮捕、猛毒が体内から検出。とだけ、一瞬誰か分からないニュースのテロップが画面にのった。 とっさの判断力…フォードの末裔シールド… 1人で最後…研究施設に鍵をかけ自首したのは…シールドを育てあげた、 マイクだった。 ~END~
7つのプロフェッショナル たから聖 @342224
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