2—5
「ところで、ナギちゃん……例の————ヒロコママって占い師の居場所はわかったの?」
「いえ、それがまだ……」
結局、儀式についても神代についても聞き出せなかった。
それなら、やはり最初に神代とミクを引き合わせた占い師のヒロコママを探ろうと、友野は思った。
実は渚が昨日ジュリに聞いたヒロコママのいたというマンションの場所を一度訪ねたが、高級マンションのため、アポなしで気軽に入ることもできなかったのだ。
それに、今の時代ネットで調べれば何かしら情報があってもいいものなのだが、ヒロコママやタロット占いで調べてもそれらしきものがヒットしないのだ。
タロットについて書かれた書籍の著者の名前でヒットしたものもあったが下の名前がひろこというだけで、判断できなかった。
「ここまで何も出てこないのは、逆に怪しい。有名な占い師じゃないなら、そんな高級マンションに一体どうやって住めるんだろうね」
友野は占い師として活動するようになってからまだ数年だ。
有名な占い師の名前くらないなら聞いたことがあるが、ヒロコママといわれてもわからなかった。
それにモテるために占い師を名乗っているため、占いの勉強も大体は片っ端からそれっぽい本を買って、ちらっと読んで満足しただけで知識としてもあまり……というエセ占い師だ。
師匠なんてものもいないし、縦のつながりも横のつながりもほとんどないのである。
そもそも信じていないのだ。
占い師や霊能力者、霊媒師を名乗ってる人間はほとんどが詐欺師だということを、見える友野は知っている。
「そうですよ、やっと有名になってきた先生ですら、あんな雑居ビルに寝泊まりして、彼女の一人もできないのに」
「ナギちゃん、それは余計なお世話だから……ジュリさんから他に情報ないの?」
「それが詳しい調査のためにミクさんのスマホは警察が持ってるらしくて……ほら、例のストーカーがまだ捕まってないから自殺と断定できないみたいで…………あったはずの遺書もなくなってますしね」
「うーん……仕方ない、東警部補に聞いてみるか」
「あー……それは……ちょっと」
「え?」
渚が東警部補の名前を出した途端、とても気まずそうな表情になった。
「どうかした?」
「その……多分、無理だと思います。珠莉亜ちゃんから話を聞いた後、私、南川刑事に連絡したんですよ、ちょっと連絡先を知りたいだけだからスマホ見せてもらえないかって……————でも、捜査させてもらえないらしくて……」
友野は渚から理由を聞いて、呆れてしまった。
いくら推しが亡くなったとはいえ、そんな態度じゃ外されて当たり前だ。
「それならどうしようね……神代のこともヒロコママのこともわからないままじゃ、呪いを解く方法の探りようが————」
「————……ヒロコママが、なんだって?」
突然話しかけられて、声がした方を向くとそこには噂をすればなんとやら……東と南川がいた。
「東警部補……!? どうして、ここに!?」
「聞きたいのはこっちだ。お前たち、ヒロコママを知っているのか?」
「いや、知っていると言うか……というか、そちらこそなんで?」
調査のために防犯カメラのあったコンビニから歩いてきた東たちとばったり出くわしたのである。
「今、俺たちが探している容疑者が、そう呼ばれていたんだ。詐欺師の女だよ。何か知っているのか……?」
この刑事たちが調べていたのは、ヒロコママという名前で占い師をしていた——本名を、
南川にその女の顔写真を見せられた友野は、目を見開いた。
「これ、あの老人ホームの————!!」
それは、老人ホーム『ほほえみ』の三階フロアであったあの婦人とよく似ていた——————
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