第二章 少女が見たもの
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「ごめんなさい。本当に……ごめんなさい……」
長谷川さんのお葬式が終わったあと、私を叩いた先生が謝りに来ました。
玄関先で、パパとママがとても怒っているのを見て、私は先生がとてもかわいそうに思えたんです。
だって、私が長谷川さんが隣にいるって言ったせいですから。
それが悪かったんだろうなって……
最近気がついたんですけど、私、幽霊とかそういうのが見えるようなんです。
それも、それが人間なのか幽霊なのか区別がつかないくらいはっきりと。
きっと、先生は私がふざけていると思ったんだと思います。
死んだ人で遊ぶなって、そういう風に言ったんだと思います。
叩かれたせいで、聞こえなかったけど、先生は私にそう言ったんだと……
だから、私、もういいよ……って、先生を許してあげました。
叩かれたのは痛かったけど、私も悪かったですって、謝りました。
いつまでも、玄関先で泣かれていても、先生の声は高くて耳障りなだけだし。
でも、先生はその次の日、別の学校に行ってしまいました。
担任の先生が急に変わって、みんな驚いたけど、生徒を叩くような先生は嫌だってみんな喜んでました。
それから半月くらい経って、校内キャンプがありました。
学校のグラウンドにテントを張って、みんなでカレーを作ったり、ゲームをするんです。
一年生から四年生の子達は、カレーを食べたら帰っちゃうんですけど、五・六年生はテントに泊まるので、最後に肝試しで、校舎をまわるんです。
私はお化け役で驚かす係だったので、一階にある大きな鏡の近くに隠れていました。
ここは夜中にのぞきこむと幽霊が見えるっていう怪談があるところだったので、ちょうどいいかなって思って。
上手に驚かすことができるかとても心配でした。
だって、もう一つ有名なこの学校の怪談の一つのあのうさぎ小屋の前を通った人たちの悲鳴が、校舎内にいる私にも聞こえてきていたんですから。
私も全力で驚かさなくちゃって……
でも、変なんですよね…………
肝試しが終わって、テントに戻る途中で同じ係の子に聞いたんですけど————
「誰があのうさぎ小屋の前にいたのか知ってる?」
「え……うさぎ 小屋? あそこは、隠れるの大変だからやめておこうって話になったじゃない」
そう言われたんですよ。
別の子にも同じことを言われました。
おかしいですよね。
それじゃぁ、私が聞いたあの悲鳴って、一体なんだったんでしょうか?
もしかして、また本物の幽霊だったんでしょうか?
区別がつかないので、大変です。
また間違えないように、気をつけなきゃ。
そう思いました。
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