エピソード7:目標
優良と沙夜は物音がした家の奥へと見に行くと大きめのテーブルが置いてあり、奥の椅子が倒れていた。
「いったい、何事?」
優良が慎重に椅子のそばまで近づくとそこにはセツが耳を震わせながら立っていた。
『あっぶねぇ~、死ぬかと思った』
彼はしばらく自分の体に異常がないか立って確認をしたあと、ようやくこちらの視線に気づいたようだ。
「大きな物音出しておいて、『どうした?』とは言わせないわよ」
優良は険しい表情でセツを睨みつける。
『いや、あの窓の外に人が……』
耳で窓の方に指を指すが、そこには誰もいなかった。
「怖いこと言わないでよ!」
「この島に私たち以外にいるわけないでしょ!?」
どうやら優良はホラーのコンテンツは無理らしい。
『それより、この家にいいもの残っていたか?』
セツは不思議そうに窓を眺めていたが、そのまま何事もなかったことにして二人の方を振り向いた。
「物置部屋にダンボールいっぱい積まれていたから一つずつ開けて確かめていったら何か入っていそうなんだけどね~。」
沙夜はため息交じりに言った。
すると、隣からお腹が鳴る音がした。
「この島に来てから満足したご飯食べれていないもんね。今からごはん作るからちょっと待っていてね。」
そう言って沙夜は嬉しそうに台所へ向かう。私とセツはソファで待っていることにした。
「そういえば、セツって最初から言葉しゃべれて生まれてきたの?」
「普通のウサギは会話しないと思うんだけど」
ずっと気になっていた優良はセツに聞いた、セツは足で頭をかきながら答えた。
『確かに自分以外のやつで人と話している光景は自分以外に見たことないんだが、同じ仲間と会話する時と同じ感覚でやったらできたって感じだったからそういうものかと』
「じゃ、この島にいる生き物全員、会話できるぐらいの知性があるってこと?」
『全員ってことじゃない。僕の知っている限りだと同じウサギのやつとこの前の蛇のやつとあと猫もいたっけな?』
「えっ、蛇って私を襲おうとしていたやつ?」
優良は驚いた。
『実際は襲うってよりかは足止め程度にしたつもりらしい。そう聞いている。』
「じゃ、次は襲わないように伝えておいてくれたよね?」
優良は食い気味に聞いた。
「ああ、知らないやつ来たら迷わずヤレって言ってあったから。お前と沙夜は対象外って言っておいた。」
「私、あの時本当に殺されかけていたのか…」
「でも、アイツ狩るの下手だからすぐには息の根は止めれんと思う。毒でじわじわと…」
「そっちの方が嫌なんですけど?!」
優良とセツが話していると横から美味しそうな匂いが漂ってくる。
「おまたせ~、できたから一緒に食べよう~。」
沙夜の呼びかけに応じるように一つのテーブルに集まった。
ようやく落ち着いた昼食にありつけることができるといういままでなかった安堵感を優良は感じた。
そしてテーブルにあったのはカレーであった。
「今ある材料だとカレーが限界だったかな。本当はもうちょっと凝った料理作りたかったけど」
沙夜はちょっと自信なさげに言っていた。
「全然、いいよ!美味しそう!」
優良は食前の挨拶を忘れて既に食べてしまっていた。
『まるで獣だな・・』
人参を食べながらセツは優良を見て呟く。
「動物のあんたに言われたくない!」
優良はすぐに言い返すが、セツは気にしなかった。
『それより、今のうちに今後の方針を決めておかないか?』
島に着いてから数日ほどしか経っていない。
この島でどうやって生活していくのか、何も決まっていない。
「冷蔵庫に入っている食材もそんなにないしどこかで調達しなきゃいけないかも」
問題がたくさんあるありどこから手をつければいいのか分からない状態
「とりあえず、優先順位を決めてできるところからやってみたら?」
優良は食べながら提案した。
っていうことで、優先順位を書き出してみる。
-------------------------------------------
1. 島の地形の調査
2. 食料調達(食料があった場合)
2-1. 畑を作る(見つからなかった場合)
3. 小舟作る?
~終~
--------------------------------------------
『もっとほかに優先すべきものあるだろ』
『薬になるものを探すとか、移動が楽になるように通りやすい道を探すとかさ』
セツが優良の無計画さに驚く。
「あるなら言ってよ」
言われた通りに修正して優先順位ver2ができました。
-------------------------------------------
1. 島の地形の調査(食材探し込み)
2. 食料調達(食料があった場合)
2-1. 畑を作る(見つからなかった場合)
3. 薬草を見つける
4. 秘密の抜け道を探す
5. 木造船を作る
~終~
--------------------------------------------
『大して変わってないな』
「最優先事項が明確になれば充分、行動しなければ意味がない。」
そう言って優良はカレーを全て食べ終わり立ち上がった。
「やることが分かったら早速、地形調査行くよ!」
優良は張り切って玄関へと向かった。
『昨日まで野宿していた人とは思えない元気ぶりだな』
「ほら、セツものんびり人参食べてないでさっさと来て!」
玄関から優良が戻ってセツを抱えてもう一度玄関へと向かった。
『あっ、僕の人参がぁ~』
そう言って、玄関の扉が閉まった。
「じゃ、私は食器洗ってから倉庫の掃除でもしようかな」
沙夜は袖を巻いてみんなの食器の片付けを始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます