第12話 近所のお姉さんと
~近所のお姉さんと~
ミクちゃんがやろーってゆったゆみへのクリスマスプレゼント……ほんとにやるの? っておもったけど、ミクちゃんがゼッタイゆみよろこぶからってゆーからじゅんびしてみた。
……ほんとにやるの?
「おねぇちゃん♪」
「ミクちゃん……」
ふわふわのまっしろなぽんちょ? ってゆーのをすぽんってかぶったミクちゃん。
サンタさんのプレゼントがはいったふくろみたい。
わたしはおんなじかっこで、あかいろサンタさん。
ミクちゃんはわたしをぎゅってして、いつもみたいにおみみにおくちをちかづける。
ミクちゃんのいきはあつくて、せなかがぞわわってなる。
おなかのところがぽかぽかして、むずむずする。
それがきもちいってゆーことなんだってミクちゃんはゆう。
きもちいはいーことだから、いーんだって。
ゆみになでなでしてもらうときもそうなるから、それならおれいをしなきゃいけないってゆーから、ミクちゃんのくちぐるま?(ゆみがゆってた)にのって、クリスマスプレゼントをよーいした。
「きんちょうしてるんですか、おねぇちゃん♪」
「うん……だって、はずかしいよ……」
「だいじょうぶです。ゆみかちゃんはヘンタイさんなので、たっくさんよろこんでくれますよ♡」
「そうかな……」
ミクちゃんは、いつもゆみを『ヘンタイさん』ってゆう。
それなにってきいてもあんまりわからない。
だって、それならミクちゃんもヘンタイさんだってゆったらちがうってゆーから。
よくわかんない。
でも、よろこんでもらえるなら、がんばろう。
ミクちゃんがそうゆったときって、けっこーゆみうれしそうだから。
たぶんミクちゃんのゆーとーりゆみはヘンタイさんなんだとおもう。
いつかヘンタイさんがなにか、ちゃんとしりたいな。
「―――うふふ♡ きましたよ、おねぇちゃん」
ミクちゃんにゆわれてはっとふりむく。
でもいない……あ、とーくのほうであるいてるの、あれゆみだ。
ほんとだ。
ミクちゃんはいつもすぐゆみにきずくからすごい。
ひみつにしてるけど、きっとゆみのことダイスキなんだなーっておもう。
ミクちゃんのためにも、おねえちゃんのわたしががんばってゆみをよろこばせてあげなきゃ。
□■□■
ヘンタイお姉さんがのんきにこっちに寄って来ます。
いつもみたいにだらしない顔をしていて、やっぱりどうしようもないロリコンヘンタイお姉さんですね。こんな小学生の私たちに釣られてくるだなんて、一度ブタ箱に入ってハンセイしたほうがいいに決まってます。
もし私が優しくなかったら、今頃性犯罪者として前科百犯でしたね。
感謝してほしいものです。
「こんにちはー。ふふ。メリークリスマス。サンタさんだ」
ヘンタイお姉さんはヘンタイなので、さっそくお姉ちゃんの可愛さにでれでれしています。
私のお姉ちゃんを独り占めするなんて気に入りません。
「いもうとちゃんは雪ん子かな?かわいいね」
ヘンタイお姉さんはヘンタイなので、かわいいって
なでなでなんてされても本当はぜんぜんうれしくもなんともないんです。
だってお姉さんはヘンタイさんですから。
小さい子だったらなんでもいいんです。
こんなサイテーなヘンタイさんにプレゼントをあげるって
「ゆみゆみ、わたしたちね、ゆみにプレゼントよーいしたよ!」
「えっ。プレゼント? ホントに?」
「ウソなんてつきませんよ♪ ハズカシイのでさんにんきりでわたしますね♡」
「わぁー、うれしいなぁ。ありがとふたりとも。大好きー!」
にっこりと笑ってむぎゅむぎゅしてくるお姉さん。
やっぱりヘンタイさんです。
こんな小さな子供にプレゼントをもらう気でいるなんてどうかしてます。
いつもいつも大好きって
ママたちは私たちのことが大好きなので、ちゃんとサンタさんに申請書を出してプレゼントを貰ってくれました。ママたちには
まったく、気の利かないヘンタイさんです。
あきれかえりながらも、ヘンタイを秘密の密室に連れ込みます。
公園にある知る人ぞ知る特別スポットです。
実はトイレというものは、トイレ以前に鍵のかかる個室なのです。
しかもこの公園のトイレは学校よりずっとキレイです。
だから三人で入ってカギをかければ、さんにんきりになれます。
中に人がいるかも? と思われても、音のなる機械を鳴らせばごまかせます。秘密にはぴったりの場所です。きっと今のところ私くらいしか知らないでしょう。
個室に入ると、お姉さんは当たり前みたいにふたに座ります。
すっかりゲスト気分です。
なまいきなヘンタイです。
でも私は大人なので、にこにこです。
アイソ笑いです。
「はてさて、なにをくれるのかな」
ヘンタイはそんなことにも気がつかないでわくわくとしています。
のんきなものです。
そんなに欲しいならさっそくあげましょう。
お姉ちゃんと顔を見合わせた私は、それから服に手をかけて―――
「ぁ、」
あ、あれ?
どうしてでしょう。
手が、動きません。
「ちょっ、おねえちゃん?!」
ヘンタイのヘンタイな声が聞こえます。
お姉ちゃんのほうを見ると、もうポンチョを脱いで、その下のワンピースをゆっくりとまくり上げています。
リボンできれいに梱包されたお姉ちゃんのかわいい身体が見えるようになっていきます。
ヘンタイはヘンタイなのでガン見です。
プレゼントは私、というやつです。
ご本に書いてあって、ヘンタイが喜びそうだったから用意してあげました。
私もお姉ちゃんみたいにして、それでデレデレ喜ぶヘンタイをバカにして、それで、それで、
「す、ストップ!」
ヘンタイがお姉ちゃんの手を止めます。
私もびっくりして、ポンチョを脱ごうとしていた手を止めます。
ストップというのは止まれという意味です。
ヘンタイのくせにエイゴも分かるなんて、とっても意外です。
「も、もしかして『プレゼントはわたし……♡』的なことやろうとしてる……?」
「わぁ。やっぱりゆみしってるの? ゆみうれしい?」
「……うれしいうれしくないはさておき良くないね。うん」
うれしいにきまってます。
なにせコイツはヘンタイなんですから。
それなのになんで止めたんでしょう。
ヘンタイのくせに。
「ふたりはほんと、もっと自分の身体を大事にね……? そういうのはこう……もっと大人になってから……いや大人になってやってたらそれはそれで……ともかくダメです。受け取れません」
「えー」
しょんぼりとおねえちゃんがうなだれます。
ヘンタイのくせにプレゼントを拒否するとはナマイキです。
「そんなこといってぇ、ほんとはほしいんですよね、ヘンタイゆみかちゃん……♡」
「怖がってる子から無理やりもらってもうれしくないよ」
「っ」
ヘンタイが私を抱き上げます。
ぎゅってされて。
そんなつもりはないのに、手が勝手にぎゅってしちゃいます。
「多分いもうとちゃん発案だよね。でも、さすがにやりすぎって、ほんとは思ってたんじゃない?」
わかったようなことをヘンタイが言います。
ヘンタイのくせに……
「やりすぎ?」
「うん。おねえちゃんは、そうだなぁ……例えば自分の裸を、いもうとちゃんとかママ以外に見られたらって想像してみて?」
「……!」
急に顔を真っ赤にしたお姉ちゃんが慌ててポンチョを着ます。
やっぱりよくわかってなかったみたいです。
「でも、気が付いたのが用意した後とかで引くに引けなかったとか、かな。ずっと不安だったでしょう? ごめんね。ありがとう」
謝られる理由もお礼を言われる理由もわかりません。
やっぱりヘンタイはヘンタイなのでなに言ってるかわかりません。
それなのに勝手にアイソ笑いしようとするほっぺたを見せたくなくて、ソッポを向きます。
そんな私にヘンタイはくすくす笑って、勝手に髪を触ってきます。
人の髪はとっても大切な場所だから、気安く触っていい場所じゃないんです。
私じゃなかったら悲鳴を上げてましたね。
まったくこれだからヘンタイは……え?
「あ、」
「ふふ。クリスマスプレゼント。実は私も用意してたんだ」
髪を触ると、そこには髪を止めるカチャカチャしたものがあります。
なんだかとげとげしてます。
なんだろうと思っていると、ヘンタイはナマイキにお姉ちゃんの髪にも触ります。
髪留めをつけているみたいです。
ヒイラギ……でしたっけ。
その実みたいな、赤い丸のついた髪留め。
クリスマスらしいのに、クリスマスじゃなくても使えそうなやつです。
私のとは違いそうですけど……
「わぁ! みくちゃんゆきのけっしょうだー!」
「!」
とげとげ。
なるほど、どうやらヘンタイは私にこんなとげとげで冷たいものを付けたみたいです。
まったくセンスがありません。イヤミみたいですね。ほんとに……
「うふ……♡」
「喜んでもらえたみたいでよかった」
「ありがとうございます、ゆみかちゃん♡」
もちろんシャコージレイです。
……えへ。
でもプレゼントを貰ったら、お返ししなければいけません。
ヘンタイロリコンお姉さんがなけなしの理性を振り絞って犯罪行為に手を染めなかったことを少しは評価してあげてもいいですね。
私はスマートホンをたぅたぅと自在に操って、メッセージのアプリからお姉さんに画像を送ってあげました。
かわいいかわいいお姉ちゃんと、そのうえ私まで写ったプレゼントなお写真です。
せっかく準備したんですから、お写真くらいは見せてあげます。
「プレゼントのおれいです♪」
「お礼?」
首を傾げながら確認したお姉さんが、目をくわわっ! と開いて固まってしまいます。
ふふっ、やっぱりどうしようもないヘンタイさんですね。
こんなヘンタイさんと遊んであげているんですから、これからもせいぜいロリコンでいてくださいね……♡
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