第2話 序章(2)

「あれ、可笑しい。可笑しいな?」と。


 俺は思わず独り言を漏らしてしまった。


 だって今日から販売……。


 そう、俺が毎年恒例、春夏秋と商い。物品販売の方でお世話になっている観光花園の駐車場へと車を停車──車窓から花園を見て確認をすれば、開園するための門が開いていない。閉まっている状態だから。


 俺は自身の首を傾げてしまう。


 まあ、傾げたと同時に俺は車内に設置している標準装備の時計へと視線を変え凝視してみる。


「う~ん、十時か?」


 すると俺の口から自然とこんな言葉が呟かれ。


(やはり可笑しいな?)と脳裏で思うのだ。


 だって俺が毎年お世話になって商いをさせてもらっているこの花園は、開園時間が御前九時! 九時なのだ!


 だから今俺がこの花園に到着をした時間は遅いくらいでね。


 俺自身も今日からの毎年恒例の商い。販売初めと言うこともあるし。


 今日は平日の中日である木曜日だから俺自身もゆるりと呑気に商い。販売業の方をさせてもらおうとゆっくりとした足取りで花園へと到着した。


 でもね、これがさ、今流行り? 


 そう、只今世界中を震撼、震え慄かせている【コロナウイルス】が猛威を振るっていなかった昨年2019年の春ならば突発! 飛び込み! の大型観光バスや町内会の集いで和気藹々集った商売、御近所仲間様や同窓会。会社の慰安、老人会、介護センターなどのマイクロバスがね。この綺麗、艶やかな花園の各種可愛い花達を見て歩き楽しみながら園内を見て周る。観光しようと立ち寄ってくれることも多々あったから。


 俺自身も早くこの花園へと来園して商い。販売業の準備をしながら。お客さま達の来園をソワソワ、ワクワクとしながら首を長くして心待ちにする。


 でも今は! 今年2020年の春は! 皆も知っている通りでいよいよ。この日本でもね、【コロナウイルス】の感染者が日増しに増えている最悪の状態なのだと。


 テレビの朝昼晩のニュースやインターネットのSNS等でも盛んに取り上げられ。


 この日の本でも国家のお偉いさんや各都道府県、市町村のお偉いさん達も春の大型連休を他国のように自粛規制……。国の民、皆さんは一月ぐらい家族水入らずで、仲良く円満に家で大人しくしてもらってはどうだろうか? と思案されている最中であり。


 その家庭での自粛規制の案と同時に、各都道府県のスーパーマーケット以外のアミューズメント施設は休業等の案も出ていた。


 だから俺はドキドキ、ワクワク、じゃやない。自身の顔色を変えながら仕事のパートナーである停車中のハイエースの扉を開けて下車……。


 恐る恐ると花園の売店と出口へと向かうのだった。


〈ドコトコ〉でなく。


〈ドコドコ〉と。


 俺は重い足取りで向かったよ。


 だってさ、おじさん、この毎年恒例の春の大型連休用に必要な商品……。芋かりんとうや紫芋かりんとう、豆菓子、ドライフルーツと瀬戸内海も近いからとアジやままかり、サヨリ等の小魚味醂干し等の在庫を大漁だねぇ~と、問屋さんや製造元……。


 まあ、企業様達は春のゴールデンウィークは俺のような個人経営者とは違い。春うららの、花のゴールデンウィークはお休みだから毎年春の大型連休、お盆、正月は、毎年の売り上げに対して少しばかり多めに在庫を購入──。


 住居件事務所、倉庫の中……。六畳一間が埋まるくらいの在庫を貯蓄しているのだよとおじさんが説明をしたところで話しが少し変わるのだが。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る