4
いいや、彼女と僕は同じものだった。今も僕さえ許せば同じものになる。
元に戻ろう。僕はそうなりたかった。
精神が分かれていることはおかしいですか。
物質として一つのものであっても、別の心があることはきっと不思議なことではないでしょう。心のそれぞれに名前がつくほどになっても、きっとおかしいと言うほどではないでしょう。
では、この物質に近いほうに動こうとしている心はおかしいですか。
それだっておかしいと言うほどではないかもしれません。
どうしてですか。
私には言い切るほどのことはできません。私はあなたではありません。私は他の人ではありません。誰かをこの言い切ること一つで傷つけるわけにはいかないのです。
私はどうすればよかったのでしょうか。彼も彼女もそこにいてほしかった、ただそれだけだったのに。
一つの可能性としては、対話を許さないことでその場所にとどまった可能性はあるでしょう。
私はどうすればよかったのでしょう。ただ第三者の目をもって自分とその否定を見てみたかっただけなのに。
私の頭は一つで、あの場所から抜け出せないようにもう全てととのえられている。
私はそれが嫌だったわけではない。それでも、それ以外を見てみたかった。同じものしか見えない環境は、それだけは好きではないから。
彼女と僕と 虫十無 @musitomu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます