第39話 報復に次ぐ報復③
ボロボロになった車と僕。
とりあえず落ち着こうと、何も考えずに自販機でコーヒーを買い、石垣に腰掛け一服した。口の中はあちこち切れていて、唇は腫れ上がり血が滲んでいた。缶コーヒーを持つ手も震えていた。正に満身創痍の状態で手にした缶コーヒーはほとんど飲むことができなかったが、精神面は少し落ち着きを取り戻すことができた。僕は、5分前の出来事を思い返していた。『やることはやった』と少しの達成感を感じた後に、報復の恐怖が頭をよぎった。
これ以上、絶対にあんなやチームの奴らに何かあってはならない。金田の報復を食い止める事ができるのは、1人しか思い当たらなかった。
S組若頭の比山さん。
僕は、電話をかけようと携帯を取り出すと、着信履歴が20件MAXだった。着信はすべて、まさやじゅんや、みのるだった。皆、僕の性格を熟知しているなと僕は少し笑った。僕はみのるへ電話を入れ、安否を知らせた。やることをやった今、これ以上は何かを隠す必要もなく、みのるに拙い言葉ですべてを話した。金田達の報復に気をつけるように伝え、強調するようにあんなには内密に保護を頼んだ。電話を切り、改めて精神的に余裕ができると不思議と体の痛みも和らいだ。
その後すぐに比山さんに電話し『今から話したい』と伝えると、『すぐに事務所に来い』と言われた。その様子から、金田達を止める事は難しいと思ったが、僕は小さな可能性にかけてみる事にした。
車に乗り込み、煙草に火をつけて『まだ行くぞ、この野郎!』と自分に鞭を入れた。比山さんの事務所前に車を停め、飲みかけのコーヒーを飲み干し気合いを入れた。ボロボロの体を引き吊りながら、階段を上がり、事務所のドアの前に着いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます