第37話 報復に次ぐ報復①
約束の日。
その日は平日で、僕はいつもと同じ時間に起床し、職場に風邪をひいたと休みをもらった。僕は今の会社を約3年務めていて、社長は文句だけは一流で技術は三流整備士の僕を懐深く、可愛がってくれていた。僕もいつか恩返ししようと思い、今まで頑張ってきたつもりだったが、結局は恩を仇で返す結果となってしまった。まさに口酸っぱく『不良とは喧嘩をするな』と言われていたが、実際に不良とやり合えば、どういう結末を迎えるのか。
やられて追い込みをかけられ、殺されるか
金田の小間使いの日々の末端ヤクザになるのか
勝ったとしても、毎日奴らに狙われ続けるのかもしれない
どんな結末でも決してハッピーエンドではないけど、僕は投げやりにどうでもいいと思っていた。そんな日の朝でも、仕事の日と同じ時間に起床してしまい、暇をもて余していた。特別何かをすることもなく、"とりあえず腹が減っては戦はできぬ"といつもより豪華な朝飯を食べた位だった。会社ではいつもAMラジオがかかっていたので、たまにはFMラジオでも聞こうとラジカセの電源を入れ、流行りの歌がかかれば口ずさんだりして、リラックスしていた。
あまりにも時間をあるので、『こうなったら5分前行動でも決めようか』と思ったが、それも可笑しいので、ベッドに寝転びながら、今までの事を思い返したりしてた。気づくと、出発時間になっていたので、いつもと変わりなく家を出て、車のトランクから警棒を取り出し、運転席に乗り込んだ。
エンジンをかけ、音楽を爆音で流し全開でアクセルを踏みこみ、少しずつ気持ちを高めながら、金田の工場に向かった。工場までは約20分。余計な事は考えず、前だけ向いて車を飛ばした。
金田の工場の近くまでたどり着き、工場の様子を見ると、敷地に4台の車が停まっていた。工場のシャッターは、半分開いてる状態だったが、晴天の為、外は明るく工場内は暗く、うっすらと人影が見える程度だった。
パッと見、10人近くいるのがわかり、思った以上に人を集めてくれていた。僕は嬉しくなり、また一人笑っていた。
『不利なときは奇襲に限る。』
僕は静かに工場の前まで車を近づけ、心の中でカウントダウンを唱えた。
『3』
『2』
『1』
・
・
『ゴー』
ゴーの合図で、僕は一気にアクセルを踏みこんだ。『ジャー』と砂利をはね飛ばすようにスタートダッシュをかけた車はシャッターをスレスレで抜け、工場に溜まってる人の塊に目掛けて、僕は車を突っ込んだ。
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