第二話 暁はいつか来る

 時雨は地下鉄駅まで走り続ける、二度と振り返ることをしない


「どうせ同級生なの、毎日会うだろう、また機会があればちゃんと実情を伝おうか。こんな弱気な私が」


 苦悩頭脳ながら、時雨はどうしょうもないと思って、家方向のホームへ移動していく。

 夕暮れの通勤ラッシュの地下鉄北府学駅は、通勤客と通学の生徒たちが混ぜ合わせて、春なのに蒸し暑くなるぐらいの焦燥感がする。放課退勤の時間、一日の疲労感の頂上、ハッピータイムの始まり。時雨にとって気まずい時間だ。

「まもなく、二番線に、快速多西長浜行きが参ります、黄色線にお下がりください」

 電車の発車メロディーが流れ、大勢で無愛想な通勤客が電車に入り込む。


 🎶一番星になれ、世界の果てまで🎶


 時雨はノイズキャンセルイヤホンをつけて、外の騒ぎを構わずに音楽の泉を楽しもうとする。

「びゅっー、誰かのメッセージが入ってるの、あっ、墨白ちゃんか」

「時雨ちゃん、今暇があるかい。スタジオに来てくれない?えっと、その、わたしたちのバンド、ライブをするよ。よかったら是非来てよね。」

 時雨の幼馴染、雛鶴墨白ひなつるすみしろは、浜海都の名高校「国立浜海大学附属学校こくりつひんかいだいがくふぞくがっこう」の三年生で、帝国一の大学「国立浜海大学」の推薦を貰い、誰でも羨ましい学力で正真正銘の天才だが、裏側はアイドルグループのリーダーだ。三年以来のアイドル生涯はうまくいかなくて落ちこぼれの状況が続いていく。二人は子供ごろから一緒に遊ぶ仲良しだが、中学校以来がっこうがばらばらしていて、SNSの連絡ぐらいしか維持していない状況だ。SNSで墨白がバンドをやってることを知った。


「そうよね、今行く」


 墨白と会うのは2年ぶりだった。いきなりのメッセージが入って、時雨はわくわく、墨白との再会を期待している。

 浜海都徳安市華府区にある音楽スタジオ「彗星」は、墨白のグループがライブをよくやる場所だ。上江高校から電車で約30分かかる、付近は団地だらけ、人が少ない場所だ。


「えっ、ここだなあ、間に合うかな」


 街のそばにある店、冴えなく、誰も気づかない


「アンコール、アンコール」


 外の静かな割に、スタジオはかなり賑やかだ。狭い空間なのに、数十人が集まり、大声でライブを応援している

 ボーカル位、そしてセンターに立ち、桃色の長い巻き髪、チェリーの髪飾りをつけ、翠玉の瞳、カウボーイスタイルの靴と上着、グレンチェックのピンク色のスカート、可愛いと知性両全の女の子は、雛鶴墨白だ。後ろに立つのは、四人のチームメンバーだ。バンドみたいな仕組みなのだ。


「じゃ、最後の一曲、お聞きください。」


 🎶彩の世界 君とともに歩もう 今の私は もう弱くない🎶


 ボーカルの墨白は、小鳥みたいな歌声で、メンバーの和声と楽器音とあわせて、誰でも感動させる歌だ。


「おっおっ、スターズ、スターズ」

「墨白ちゃんの歌、大好き」


 歌が歌い終わってから、雷鳴如く拍手が出る。


「ええええ、このパフォーマンス、最高じゃない。流石墨白ちゃん、昔よく歌を聞かせてもらったから。でも、こんな素晴らしい歌声なのに、なぜ落ちこぼれなの」


 時雨は墨白たちの演出を感心する。後で墨白と話し合おうと思う。


「ありがとうございました。また今度ね。」

「墨白ちゃん、あのう。。。ごめんなさい、わたしたち、これからの道はバラバラになって、最近の受験勉強も厳しくなって。えええっと、バンド、解散したいと思って。。。ずっと黙っていてごめんね」

「えええ、いきなりどうしたの、あなたたち、都内進学でしょう。だったら、活動を一旦中止、受験が終わって、また活動を再開したらどう、ね。」

「えっと、すみません、すみません。この三年間のアイドル生涯、墨白ちゃんのことばかり頼っていて、若しくは、わたしたち、墨白ちゃんの邪魔者になるよ。私たちの演奏、墨白ちゃんの歌声と相応しくないよ。えっ、解散させてもらえない。墨白ちゃんの歌声は、私たちの演奏がなくても、きっとみんなに愛されるはずだよ。」

「お世話になった。墨白ちゃん」

「みんな、何かあったの、急にそんなことを言って、私何か悪いことをしたの」

「ごめんなさい、ごめんなさい」「行こう」


 メンバーたちは舞台の裏側からこっそりと逃げ出して、墨白を一人置いていく。


「ええ、どういう状況なの、喧嘩なの」

「分かない」


 観客もお騒ぎになって、雰囲気が気まずくなる。


「えっ、何それ、どうしてみんな、ううう」


 墨白はドッキリした顔をして、涙も零れてしまって止まらない。


「墨白ちゃん、今泣いてる、慰めなきゃ」


 観客が散り去る。時雨は舞台に上がって、墨白を慰めようとする


「墨白ちゃん、時雨だよ、何年ぶりの再会だったっけ。どうしたの、泣かないで、ほら、先のパフォーマンス、素晴らしかったよ。墨白ちゃんの歌声、天使みたいに感動させちゃうよ。どんなことがあっても、墨白ちゃんのこと、応援してるよ」

「時雨ちゃんか、来てくれてありがとう、こんな不器用な私、見られちゃったね。だってだって、私、何も悪いことをしてないもん、いつも真面目に、毎回のライブをちゃんと準備しとくのに、どうして急にバンドをやめるって、そんなの、いやだもん、うううう」

 墨白の鳴き声が大きくなって、時雨は更なるどうしようもないと思う。

「ええ、泣かないで、泣かないで、そうなると、わたしも、ううううう」

「私とともに泣かないで、私、お姉ちゃんだもん、ないちゃだめ、泣いちゃダメ」

「時雨ちゃん、最近の学校生活、どうだったか。確か、上江高校に入学したよね」

「私、逃げちゃったの」

「ええ、もしかして、不登校なの?不良少女になるの?」

「いええええ、違うの、ある有名人が私の学校に転校したの、それに、私に声をかけたの。恥ずかしいから、わたし、他人のふりで逃げ出したの。不器用な私 うううう」

「ははは、時雨ちゃんは、昔のままだよね、相変わらず弱気な女の子だもんね」


 ついてに、墨白は時雨の頭を撫でる。


「よしよし」

「別にそんなんわけじゃ、こら、頭を撫でないで、もう子供じゃないから、もう」

「ははは、相変わらずね」


 雰囲気が明るくなる。時雨と墨白が過去の思い出を話し合い、はしゃぎあう。


「ねぇねぇ、時雨ちゃん今、ピアノを弾いてる」

「そうなんだけど、どうしたの」

「時雨ちゃんのピアノ、聞きたい!」

「ええええええ、人前でピアノを弾くなんて、無理無理無理。」

「まあまあ、そんなことないわ。じゃ、私の協力者にしてくれる。私、ボーカルをつけるから。こう扱い、いいわね」

「強いて言えば、別にいいけど、どんな曲を聞きたい?」

「えっと、じゃ、あれだよ、昔よく歌った曲、その、⟨木漏れ日の丘⟩、どうかな」

「いいよ」


 時雨は舞台のそばの電子ピアノの前に座って、メトロノームに合わせて、弾き始める。


 🎶そよ風がふく 日が差す とっておきの物語 続けるよ🎶


 墨白の歌声が時雨の悠久なピアノ音にのせて、天堂へのドアを叩く。


「あっ、時雨ちゃんのピアノ、相変わらず上手だわね、子供の頃、思い出したわ」

「そんなことないよ。だって、わたしたち、いいパートナーだよね、永遠の仲良しだもんね」

「仲良し仲良し、また今度、一緒に歌ってみないか?」

「墨白ちゃんと一緒に歌えば、その、別にいいけど。」

 

 二人の笑い声が雰囲気をもう一度転換する


「この2人、相応しい人選ですよね」


 

 当日深夜 時雨の家 浜海都大都会区ある高級住宅地

 

 宿題が終わった後、時雨はネット動画サイトを開け、のんびりと時間を過ごそうとする。

「臆病のあなたも参加できる、夢へのアクセス、さあ、プロトロに応募してみないか」

「全国にかけて天使の声を募集中、誰でも応募できる、憧れのアイドルになれるよ。さあ、プロトロに応募してみないか?」

「夢は叶える、未来は無限大、さあ、プロトロに応募してみないか?」

 同じのcm映像が何回も出てくる。

「えっ、何それ、アイドルなんて、憧れだけど、こんな弱気な私、なれるもんか」

 時雨はこういう映像を気にせず、寝る前に動画でひまを潰す。

「でも、わたし、人前で自分をアピールしたい、弱気な私を消滅したい、それと、墨白ちゃんと一緒に歌いたい!心乃ちゃんにわたしの声を届けたい!じゃ、このプロジェクト、応募、しようかな」

 時雨は速やかにサイトを開く。

「えっ、出身不問、年齢不問、自分は自分の声に自信がある、それでいいの」

「これでよし、どうかな、できるかな」

 テーブルを書いたら、時雨は暁を待ってよく寝る。


 或る日 トロ星 海洋連合帝国 浜海都能川郡 フォロチーク島

「ようやくついた、あぶなかった、きっと、宝が俺たちを待つよね」

 冒険者チームが霧に包まれている無人島であるフォロチーク島に上陸した。

 千百年以来、ここは誰でも接近できない、数え切れない行方不明の通報が出つつある、ミステリーな地域である。正に、鬼の巣である。

「謎ずくめであればあるほど、探索の価値があるでしょう」

「ほら見て、洞穴を見つけた」

 冒険者たちは、宝蔵の誘惑に引っ張られて、暗闇が怖じけずに、振り返ることなく、洞の方へ歩き続ける。

「フォロチーク島、数千年以前の天災により、海の底から水面に浮かび上がるそうだなあ、神様の仕業かもね。」

「そんな無根拠な発言をやめよう、普通な火山活動だけだ、宝蔵はあるかもしれないが、神の仕業、ふざけないで」

「まあまあ、どうもあれ、宝蔵を貰う、それでいい」

「でも、この洞穴、嫌かんがするわ、地面は緑の怪しい粘液だらけ」

「ほら見ろ、光が前に、進もう」

 冒険者は光にある神殿らしいな部屋に潜入、目の前に一つの、まぶしく、青い真珠が目に映る。

「これが宝蔵か、金銀ではなくただの真珠?がっかりしたわ」

「いい金額で売れるだろう」

「重い真珠わね、出来だぞ」

「ああああ、地面が、崩れている」

「逃げろ」

 地面が崩れ、海水が湧いてくる、神殿がたおれている

 前兆がなく、フォロチーク島が、地図から消え去る。

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