こんなの、動揺と絶望と混乱しかないだろ

しょう! トイレまだ時間かかるのか?」


 親父の声だ。

 とりあえず、床のうんこをトイレに流そう。

 うん、細長いけれど、立派なうんこだ。


 トイレットペーパーにくるんで、トイレに流す。

 床は、トイレ〇イックルで拭いて綺麗にした。


 完璧だ! 


 問題は、鼻からうんこが出たということだけだ。



 洗面所で、入念に手を洗い、とりあえずはご飯だ。

 腹が減っては、思考が働かない。


「翔、箸が逆さよ! それに、食欲もないみたいだし…… なに? 具合でも悪いの?」

「いいや、大丈夫……」


 心配そうな顔をするおかん。

 おかんに、体の異変を伝えた方がよいのだろうか?

 鼻からうんこがでたって…… 

 いや、やめておこう。頭がおかしくなったと思われるだけだ。


 ご飯を食べて、二階の部屋に行く。今日は日曜日だ。

 ゆっくりと、今、起きていることを検証する。


 あれか! 昨日の宇宙人。きっとあいつのせいだ!! 

 あいつ手をあげて、なんか言ってたなぁ。

 そうか『鼻からうんこ』って言ったんだ。


 そして俺を眠らせて、宇宙船に乗せ、体を改造したに違いない。

 あぁ、改造人間かぁ……。 

 改造するなら、地球を救うヒーローにしてくれよぉ。

 なんだよ、鼻からうんこって……。


 終わった。

 俺の人生、終わったな。

 もう、結婚もできねぇ。彼女もできねぇ。

 死ぬ? 死んじゃう? 


 遺書に、鼻からうんこが出るのが辛くて、悲しくて、絶望しました。

 って、書けるかい‼


 それに死んで、解剖されて『この人の肛門は、鼻の穴です』なんて言われてさ。

 死んでからも辱めにあうってどうよ。


 君なら耐えられる?

 無理でしょ?

 俺も無理。


 いろんなことが頭を駆け巡ったが、俺はあることに気づいた。


 


 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る