Re‣2人目 魔女の気まぐれ


僕はいつも一人だった。


親は僕なんて見てもくれない…そりゃあ仕事で忙しいからなのかもしれない…でも僕がテストでいい点を取っても作文で表彰されても何も言ってくれなかった…ひどいときは僕がとったテストをゴミ箱に置かれたこともあった…


僕ははっきりいってこの家に住んでいること自体嫌だったのかもしれない…


その心のスキが今を生んだのかもしれない。



「はぁ…」


バイトから帰って誰もいない食卓でご飯を食べる、


そして布団に横になって毛布を体にかける。


この毛布だけが僕を温めてくれると思った。


人よりものに温めてもらえるなんてなんて皮肉なことなんだろう。


現実からそむけるように目を閉じる。


意識はだんだん遠く離れていく…その時誰かが笑った音が聞こえたのは気のせいだろうか…


すると身体がぐわんとなった気がした。


(この不快感…なんだろう…)


そう思った僕は目を開ける。


「ここは…?」


僕はさっきいた部屋ではなく森にいた…


夢だろうと思ってほっぺをつねっても辺りは何も変わらない。


変わったのはほっぺがひりひりするだけ。


「いてっ…はあ…ここはどこなんだ…」


辺りを散策すると見たことない植物や動物がたくさんいた。


ここは元居た場所からかなり離れているかそもそも地球ですらないところなのか…


「なんだこれ…すごいな…」


少し興奮しながらも辺りに何か家や人がいないか探して歩く。


動物に触れながら…おいしそうな果実を食べながら進んでいった。


_____________________________________


「ここは…なんだ?」


数十分歩いたところに小さくて古そうな小屋みたいなものを見つけた。


「誰かいないかな…」


扉をこんこん叩く。


「ごめんくださーい!!誰かいませんかぁ~?」


少しして扉がガチャっと開いて少女が出てきた。


その少女は僕と歳が近そうだ…まぁ…なんていうんだろう…ヨーロッパの人に似ていて可愛いな。


少女は何か言っているが言語が違うのかわからない。


とりあえず頑張ってわからない仕草をすると少女は杖を僕に向けて何かつぶやいた。


するとほわぁ...と体が光に包まれると同時に言っていることが分かるようになってきた。


「こんにちは...あなたは誰?ここの人ではないね。」


「こんにちは。なんかいろいろあって気づいたらここにいました。」


「いろいろという部分が気になるけどとりあえずここで話すのもなんだし中に入って。」


「ありがとうございます。」


彼女の親切に甘えて家に入らさせてもらう。


「でもさっきの語源魔法は言葉が話せない子供向けに使う魔法だけどそこまでペラペラとしゃべれるものじゃないのよ?...でも一瞬でそこまでしゃべれるようになったね...謎だわ...」


彼女は不思議そうに言っていた。


「ぼ、僕もわからないけど...まぁコミュニケーションとれるならいいな...」


「コミュニケーション?...何それ?」


「言葉とかで相手にいいたいことが伝えれられる能力みたいな?...それをコミュニケーションっていうんだけど...そんなことはいいよ。ここはどこ?」


「えっと...ここはリーシャ村の外れだよ。」


「え、どこ?...」


思わず声に出てしまった。


「君もしかして異世界から来た感じ?」


「そうかもね...急なことで理解が追いつかないけど...」


「そっか...とりあえずは帰れるまではここにいなよ。」


彼女はにこっとしたように言った…彼女は神か何かなのか?


「えっ...いいの?!」


「いいよ...私も一人だし...」


「ちなみにあなたは...?」


「あぁ...私はナーリャ。魔女さ。」


「魔女...すごい!!初めて見た!魔女なんておとぎ話だけだと思った!!」


本当に本だけで読んだだけで詳しくはわからないがさっきのやつといいすごい人なんだろう…


「ほぉ?君の世界にも魔女なんているのかい?」


「見たことはないというかおとぎ話の世界でね?」


「なるほどねぇ...あ、そうだ君の名前はなんていうんだい?」


「伊藤 竜也っていうよ!よろしくね!」


「よろしくね!…あ、そうだリューヤ...疲れてるだろうしお風呂入ってきなよ!」


「いいの?!...ならお借りしようかな...」


「いいよぉ...家族みたいなものだし...」


彼女は本当に優しいな…


「なんか申し訳ないねぇ...」


僕はあんまり寝てないからというのもあって疲れてしかない…だからそのまま説明されたお風呂の方に向かう。


「いいよいいよ!ほら入ってきな!!」


遠くからナーリャの声が聞こえてくる…彼女はこれからどうするんだろう…


でもその時の僕はナーリャが悪の魔女の笑みを浮かべていることに気づけなかった。


湯舟に入る


ゆずに似た柑橘系の果物が湯舟に浮かんでいてとてもさわやかなにおいがしていた。


「ふぁぁぁぁあ...」


情けない声が出てしまった。


優しい香りや暖かいお湯は体にとても沁みた。


「おーい...君の着替え置いといたよ~」


「えっ?着替えなんてあるの?」


「お兄ちゃんのでいい?」


「い、いいの?あ、ありがたい...」


「じゃあごゆっくりぃ…」


足音が聞こえなくなっていく。


「ふぅあぁぁぁ...気持ちいなあ...この湯舟...」


そうして2~3分...このままいるとのぼせそうだから出ることにした。


「気持ちよかったぁ...これか...おぉなんか体にぴったりだ...てか着心地いいなこれ...」


とりあえず用意してくれた服に着替え終わってさっきいた所に戻る。


「お風呂ありがとぉ~」


「ん...ってお兄ちゃんに似てるなぁ...」


「そうなの?」


「うん...事故で死んじゃったけどね...」


「そっか...ごめんね...」


「大丈夫。君がいるからね!」


彼女はとてもうれしそうだった。


「それってどういうこと?」


彼女は何か決心した表情になると


「君がここに来た理由は私があの世界から連れてきたんだ!!」


「えっ?」


信じられないことを笑顔で言うナーリャ。


「ど、どういうこと?」


「私魔女の中でトップクラスに強くてさ...しかも特別で異世界の様子を覗いて一年に一回気になった人を連れてくることができるんだ。」


「えっ...え?......嘘だよね?」


「なんで嘘つくの?...本当だよ!」


「え...んな...え?...な、なんで呼んできたの?」


頭が一瞬で真っ青になる。


「それはねぇ…君が私の兄にとてもそっくりで…異世界でも人に親切そうだったから…初めて君を見てからあなたのことばかりしか考えられなくて…君が欲しくなっちゃって…あっ!そういえばさ…私は君をもうここから出す気はないから…これからもよろしくね❤」


彼女の声は寝ようとしたときに聞いたあの声ととても似ていた。


「い、いやぁっ…」


「あらあら...泣きそうになってる...いくらうれしいからって泣かなくても...」


僕は話を聞かないで震える体のまま扉の方へ走った。


「あ、開かない...なんで!?」


「一応のために鍵はかけといたけど...はぁ......逃げようとしたね?」


彼女の声はさっきより冷たく鋭くなっていた。


「い、いや...いやぁ...」


扉に背中を押し付けて少しでも彼女と距離を取ろうとする。


「...君は私を受け入れてくれないの?」


彼女の顔は悲しそうで…でも興奮していて…表現できないような顔をしていた。


「......」


恐ろしさに対抗しながら無言で首をゆっくり横に振る。


「嫌だけど...はぁ...使うしかないのか...自分から惚れてほしかったな...」


彼女は杖を僕の前に向ける。


「大丈夫だよ❤...君には何にも危害は加えない...なんなら君に大切なことを教えてあげるよ!優しいね私!!…じゃあまた会おうね!!」


彼女の顔は本で読んだ悪い魔女とよく似ていた。


「い、や...いや...やめて...やだ...」


そういって何かを唱えると体の周りに青色の光が現れるとどんどん鼻や耳から体の中に入って行く。


「うぁあぁがぁぁぁぁ...」


怖いけど気持ちがいい...光が入って行けばいくほど考えることができなくなっていく。


光は暖かくて心を温もりに浸してくれているようだった。


「あらあら...目がとろーんってなってそんな気持ちい?」


「あ...うあぁ...」


頭が塗り替えられていく感覚。


でもこれはとても心地がいい…ずっとこのままにしていきたいと思ってしまう自分がいた。


そうして意識が失われていく。


僕は今何がしたくて目の前にいる彼女はどういう関係なのだろうか...さっきまでわかっていたことが分からなくなっていく。


______________________________________


しばらくして


「はい...目を開けて。」


彼女は僕の耳元に囁いて僕は目を開ける。


彼女をちらっと見る…天使のように綺麗で目は彼女に釘付けだった。


さっきまでの記憶は曖昧になっている…でも今僕が分かるのは。


「ナーリャ...僕...は...」


「僕は?」


「ナーリャのものでナーリャのためなら何でもできてナーリャが大好きで愛していてもうナーリャ以外の女なんて考えられないほど愛していて...ナーリャのことを考えてると体がポカポカして気持ちよくて、ナーリャがいない空間なんて僕のいる意味なんてないしナーリャのそばにいるのは僕で僕だけがナーリャの横にいて...」


ずっとナーリャへの愛の言葉を言う…頭の中ではずっと途切れないで彼女の想いが浮かび出てくる。


「あはっ...堕ちた❤...かわいいなぁ...リューヤ...ずっとそばにいてね❤」


「ナーリャ!!ぎゅー!!」


そういってナーリャに抱き着く…心が飛び跳ねて…でも心地よくてこのままでいたくて…


「よしよし...りゅーやは可愛いねぇ...」


「ナーリャも可愛いよ!!僕のお姫様だもん!」


今になって思う。


ナーリャに教えてもらったことは全部正しいのだと。


どうして僕は逃げようと思ったのだろう…


もし僕がナーリャ以外の人と出会っていたら...もう考えるだけで恐ろしい...これからずっとナーリャと一緒に生きよう。


そう決心することに何か不思議なことはあるのだろうか?


______________________________________


遅くなって申し訳ありません…受験勉強のせいです…許して…え?違う小説出すならこれに専念しろ?…


申し訳ございません!!…やる気が起きなかったんです…反省文だけで一つの小説ができちゃいそうです…


あと受験が終わった後多分配信やなんやらで僕忙しくなるので出すペースかなり減ると思います。


気長に忘れられてもいいからお待ちいただけると助かります…失踪はしないつもりです…多分。

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