35人目 愛の料理法
ご飯…
夜…仕事で帰って誰もいない部屋で夕飯なんて何も作る気にならない俺みたいな人でもネットで頼むくらいにはなくてはならないもの。
なんせ人間の三大欲求には食欲というものがあるからだ…欲級というものには抗うことなどできない。
そして人の丹精込めた栄養のバランスが取れているご飯。
それを一度でも食べてしまうともう自分の作ったものでは満足できないというものだ…まぁある意味麻薬に近いものだった。
そんなご飯が俺にとってなくてはならないと気づいたのは今から何年前だろうか
というよりかは彼女がいないといけないと思い始めたのはいつの頃からなのだろうか…
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当時の俺は歳にして22歳だったと思う。
仕事には慣れていったが積み重なっていく仕事によって日々体は負荷を溜めていった。
そんな帰り道のこと。
「あぁ…ちぃかれたぁ…」
時計の針は11の文字を指し周りは暗く月と電灯の光だけが闇を照らしその中を俺は歩いていた。
雰囲気だけはかっこいいが普通に書けば『深夜帯に足をおぼつかせながら22のおっさんが歩いている』…ただそれだけのことだった。
見覚えのある電柱を曲がる…そうして家までの誰もいない道を通る。
「あれ?…ここまだやってるの?」
いつも会社に行くときに見るお弁当屋さんが23時になっても開いていた。
普段の俺だったらそんなこと疲れて見過ごしていたが今回は気になった。
「ここ入ったことないんだよな…」
そういってそのお店の前にいってメニューを見ていた。
「シチューか…今さみいしそれもありだな…ほかに何にしようかな…」
結構真剣に考えているとき、
「あ、あの…お客さん…ですか?」
お店のドアがガラッと開いて出てきたのは俺と同い年かその下くらいの女性の店員さんだった。
「あ…今開いてますか?…明かりついてたものなので…」
こんな時間帯にスーツを着て今にも死にかけの顔をしている奴が店の前に居たらびっくりするよな…
「だ、大丈夫ですよ…さ、寒いので中に…」
そういってお店の中に入る。
…中に入ると食堂みたいになっていた。
レストランのあの感じと町中華のあの感じが混ざったような…でも落ち着ける…そんな場所だった。
「何にしようかな…」
とりあえずぱっぱと決めて家に帰ろうと思っている俺はシチューにあいそうなものを選んだ。
「えぇっと…シチューと…ベーコンのサラダをください。」
とりあえずすらっと食べれそうなのを選ぶ。
「かしこまりました…お客さんお疲れのようですね…」
俺のところに近寄ると「はい」っと言って何かをくれた。
「これは?…」
「これは栄養ドリンクです…いつもお疲れでしょう?…たまにお見掛けするとき死にかけみたいになってますから.........たまには嘘だけど.........」
最後に何か言っていたような気がしたが気のせいだろう。
「そ、そうですか…ありがとうございます…」
そういうと「大丈夫ですよ~」と言ってそのまま厨房に入って行った。
ずっと疲れによる眠気を我慢しながらご飯が来るのを待った。
…
……
………
「…さ……さん」
「んあ…」
何か聞こえてくる…それと同時にだんだん意識が戻ってくる。
「大丈夫ですか?」
そこには店員さんがいた。
「あぁ…大丈夫です…あれ?…ここは?」
辺りは見知らぬ部屋で俺は布団にくるまっていた。
「あぁ…椅子で器用に寝てたので…さすがに何かあるとやばいなって…」
なんて優しいんだ…どのくらい寝たのかは知らないがとりあえずは感謝だな…
「あぁ…ありがとうございました…このお礼は…」
「大丈夫ですよ!!.........これから払ってもらいますし.........」
最後らへんが聞き取りづらかった。
「はい?」
「いえいえ何でもないですよ!!…あっご飯ここで食べますか?」
「えぇ?!」
お布団を借りた挙句にここでご飯を食べる?!…良いのかそこまで…
「大丈夫ですよぉ…もう私の家で寝たなら食べても変わりませんよ」
「あ、あぁ…じゃあいいですか?」
「お、お願いします。」
彼女のお誘いに乗ってそのままご飯を食べた。
…そこからだろうか?まぁそれのおかげで彼女のものになれたというものだ
「あぁ…おいしいですね…」
頼んだシチューとベーコンのサラダを食べる。
ベーコンの心地よい塩加減とシチューの優しい味は身体も疲れを優しく包んでいく。
サラダは時間がたっているはずなのにシャキシャキしていてドレッシングとよく合っている。
「そうでしょう?…どうですか?…食べ終わったら私のところに飛びついていいですよ?」
「え…?」
さらっとすごいことを言ったな…彼女は…え?…そんな知らない人を家に入れてそのあとにご飯まで食べさせていただいてそこから…え?
「お疲れでしょう…これくらいサービスですよ!サービス!!」
「あ、あぁ…良いんですか?」
もう疲れがたまりすぎて普通の思考ができていない…まぁなんとかなるだろう…
「えぇ…さぁ来てください!!」
そういって彼女は手を広げた…なんか彼女嬉しそう…
そういって彼女の胸に飛びつく。
「あぅ...」
彼女の胸に頭をのせたままぼぉっとする。
「どうですか?…気持ちいいですか?」
「うん……」
彼女の落ち着いた声はすぅっと頭に入って行く。
「このままあなたの欲望を出しましょう…私に甘えたいですか?」
「うん…甘えたい…」
「甘えましょう…あなたの欲望に従って…」
彼女の声に従わなくちゃという考えが頭を支配する。
「ぎゅっ…」
彼女を強く抱きしめる。
「えらいえらい…よくできましたね!」
そういって彼女に撫でられる…心地いい…
「うぅ…もう…疲れたよ…お姉ちゃん…」
「あはっ…あぁ…興奮するわぁ…あははっ…大丈夫だよ…お姉ちゃんに体を任せよう❤」
「うん!」
何を言ってるのだろう…まぁでもそんなことはもう自分にとってはどーでもいいことだった…そのままずっと彼女を抱き続ける…
「もう…我慢できないよ…この可愛さ…あぁ…体がぞくぞくする…」
そういうと彼女は僕を押し倒す…
「さっきのご飯の料金は…君でもらうね❤」
「あ…あぁ……」
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…
……
………
「…あれ?…」
目が覚める…なんで俺は裸なのだろう…
「あ…おはよう❤」
彼女もまた裸だった…なんでだっけ…
「あぁ…おはよう…お姉ちゃん❤」
なんかいつもと違う気がするけどいいや…こっちの方がいいから…
「あはっ…やっぱり君は…もう……あははあ…朝から私を…誘ってるんだね!!」
そのまま…
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遅れてすみませんでした!!
改めてkusamotiさん!ありがとうございました!!
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