30人目 強いは好きの裏返し


僕は高校1年生。


背は他の人より短い方で力も弱い…脆弱といわれてもおかしくはない。


そんな僕はあんまり人と話すことが好きではない。


理由はいじられるからだ。


身長や力のこと…


でもそんな僕に優しく接してくれる人がいた。


それはクラス委員長の連華れんかというひとだ。


いろいろなことに一生懸命になっていて…


あと本当に美しい...


あの人はいろんな人と良く話してくれるが僕を見ると積極的に話しかけてくれる。


最初は嫌だったけどたくさん話してくうちに楽しくなって今では話すことが楽しく感じてきた。


もちろん連華さんは人気だから僕みたいな人と話しているのは時間がもったいないくらいだけど…でもよく話しかけてくれる。


本当に優しい人なんだよな…


友達的にはとても大好きだよ。


いつかは親友って言えるようになりたいなぁ…


______________________________________


私には愛している人がいる。


背が小さくて…力も弱くて…でも顔は整っていて…優しそうで…私好みの人だった。


クラス委員になったのも彼と話すためになったのだ。


異性が楽しく話していると周りからぐじぐじ言われてめんどくさくなる。


私は良いけど彼には本当に申し訳ない。


だからクラス委員として彼に接している。


クラス委員ならまだ理由が付けられる…嫌だけどね。


私だって彼と対等な関係で話したい。


これじゃあクラス委員だから泣く泣く話してあげているという感じになってしまっている。


違う…そんなことじゃないの…私は彼とそばで話してたいの…


愛しているし…彼のそばに居たい…


この気持ちは日がたつにつれ大きくなっている。


「もう…抑えられないよ…」


教室で人に聞こえないようにボソッというのだった。


______________________________________


授業が終わって清掃もしてもう帰るとき。


3人くらいの男子に囲まれた。


「おい…ちょいと面かせや…」


あぁ…なんか終わった気がする…


弱いせいで逃げることもできないし…ついていくしかない。


そういって3人に連れられて人があまり立ち寄らなさそうな教室に入る。


「なぁ…なんでお前は連華さんにとても話しかけてるんだよ…」


やっぱり…なんかそんな気はしていた。


「ごめんね僕なんかが話してて…もう話さないから…許して。」


話は穏便に…嫌なことだけれども連華さんもほかの人と話したいだろう…ならこれが一番いい手なのではなかろうか。


「おう…わかってんじゃねえか…次話したら…マジで殺す。」


言い方はどうであれ言いたいことはわかる。


彼らも話したいのだろう…だったら僕なんかが話してちゃいけないのだろう。


…つらいけどね。


そうして3人に解放されて一人帰路に就く。


すると


「ねぇ!」


そうして連華さんがやってくる。


いつもは話しながら帰ってたけど今は…


「ごめん…もう話さなくていいかな…」


喉が締め付けられるほど苦しかった。


「えっ…」


彼女は顔を青ざめる。


「なんで?!私は君ととても話したいし君のためだったらなんでもする…だから私を見捨てないでよ!!」


彼女に肩をつかまれる。


「ねぇ…何か言ってよ!…ねぇ!!!」


「…ごめん…そういう約束なんだ…これからは他の人と話して…それの方が絶対良いって。」


そういって帰ろうとすると


「なんで?…ナンで…ナんデ…ナンデナンデナンデ…ユルさ…ない…」


彼女は何かをつぶやくと


「ねぇ…私の家に行こう…」


「えっ…ちょっ…」


彼女に手をつかまれ抵抗ができないまま連れてかれる。


「もう…いいよね…ねぇ…」


僕に何か言ってるのだろうか?…全くわからない…何をやるんだ?


「着いたよ…私の家…」


彼女は僕を逃がさないと左手で体を抱えて右手で器用に鍵をあけて中に入る。


「ただいま…」


そういうと彼女は僕を抱えながら部屋に入る。


「えぇぇ…助けてぇ…」


されるがままになっていた僕の抵抗なんて焼け石に水だった。


するとベットに僕を横にさせる。


「ねぇ…?…私はね…君のことが大好きなんだ…いつか君に伝えたかった…君も私と一緒の気持ちになってくれる時に…でも君は違かった。どうして?…どうして裏切ったの?」


そうして僕の上にまたがるように乗る。


「ねぇ…答えろよ…おい……」


だんだん口調も強くなっていく。


「そ…の…えっと…」


男3人にこれから話すのを止めろって脅されましたなんて言っても信じてくれるだろうか…


「なに?」


彼女はニガサナイと言わんばかりの眼でこちらを見てきた。


とりあえずイチかバチかで放課後にあったことを言った。


「ふーん…なるほどね…じゃあ君はしかたなく了解しちゃったんだね…」


「そう…だね…」


本当は僕もそれには少し賛成だった。


彼女が僕と話す理由なんてない…いや僕なんかと話す時間がもったいないと思っている。


人と話すことに理由なんてなくてもいいと思うが僕のために使う時間なんてないと思っていた。


「ねぇ…本当は君も話さないことを納得してたんじゃないの?」


「えっ…」


事実をつかれて体がビクッてなった。


「あっているの?…ねぇ…」


もう…こうなったら思っていることを全部言うことにした。


僕なんかと話すのはもったいないと…もっと他の人と話して僕をおいていくべきだと。


他にもいろんなことを言った。


すると彼女は


「…じゃあ君にとっての私って何?」


その言葉は冷たくて尖っていた。


「…そ…それは…友達で…」


「そうだったんだ…なら教えてあげるしかないね…君は私のものだろう?」


彼女はそういうと


「ねぇ…君は卑怯だと思わないか?…私をこんな気持ちにさせといて…それで友達って…なぁ…」


彼女は僕に抱き着く。


でもそれはお前を逃がさねえよと言わんばかりだった。


「ずっと我慢してた…でもいいよね…」


すると彼女は僕をひもでぐるぐる巻きにするとノートパソコンと何かの装置を持ってきた。


「ひそかに開発してたんだぁ…人の頭を刺激して思い通りにさせるアプリと装置を…」


そうして動けない頭に装置みたいなのをつけると


「いくよ!」


そういって何かのボタンを押すと


「え?…はぅ…」


頭が…なんか…変な感じがする…


「もうひもはいらないね…」


そういってひもを外される。


「ああっ…うぅ…いりゃ…」


なんだろう…頭が変なんだけど気持ちいい。


「私を抱きしめて。」


「はいっ…あぅっ…」


そういって彼女に抱き着く。


「ふふふ…偉い偉い…」


そういって頭をなでてくれる。


「ひゃう…」


頭を撫でられることだけでもからり気持ちいい。


「気持ちいねぇ…私のことが大好きになっちゃうねぇ…」


「あっ…あぅぅ…」


もう頭がどうにかなりそうだ…


「もう自分を解放しよう…なにも抗う必要なんてない…自分の欲を出そう。」


彼女にそう言われた瞬間…自分の中の何かが消えたような気がした。


「お姉ちゃん!!」


そうしてぎゅーってする。


昔から誰かに甘えたかった。


ずっと…甘えていたかった。


「あぁ…なんてかわいい…」


そうしてお姉ちゃんに頭を撫でられる…幸せ…


「ねぇ…君は私のこと愛してるよね?」


「うん!僕はお姉ちゃんのこと愛してるよ!!」


僕に迷いなんてない。


僕はお姉ちゃんのことがただただ好きだ。


そこに何もつけいるものなんてない。


お姉ちゃんは僕の頭から装置を外すと僕にキスをしてくれた。


「んんっ…おへえひゃん…ひゃいひゅき…」


そうして僕の意識は消えた。


多分幸せだからなのかな…あぁ…もうこんな時間がたくさんあればいいのに…


「あはは…捕まえた…君が…私の愛している君が…私に堕ちた…あぁ…幸せ…このままずっと一緒に居よう…もう逃げないでね…」


彼女の声はきれいで甘かった。


まるで華の甘い蜜のように…

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