あとがき2
鏡映しの文字も打ちおわりました〜*\(^o^)/**\(^o^)/*
これで、この巻は完全完結ですね。次は巻をわけて再開です。
今回はセイレーン姫が10万字、鏡映しが3万字の計13万字でしたが、次回作は長いんですよ……。
以前に書いた話は清書ずみのもの全部プリントアウトしてあるんですが、セイレーン姫が108ページ、鏡映しが32ページの140ページであるのに対し、次回の『ゆがんだ恋人』は、なんと! 205ページなんですよね……。
65ページも多い。計算してみたら46%増しです。つまり、おそらくは19万字ていどらしい。これってアントリオンと同じ長さです。だいぶ長いなぁ。いつもの二冊ぶんをポチポチしないといけない。
なんでこんなに長くなったかというと、じつは砦シリーズのなかで、初めてミステリーを書こうと思ったからなんですよね。砦のなかで連続殺人事件が起こるという、いつもとは少し違った内容になってます。
ほかの話も謎解きがないわけではないんですが、殺人事件と魔物の謎を解くのでは、ちょっと違う気がする。本人、ミステリーのつもりで書いてなかったし。ただ単にプロットの練習として、複雑な構成を書きたかっただけ。
なので、僕が初めて本格的なミステリーを書いた記念すべき作品と言えます。
ただこれ、リア友に読ませたら、犯人が出てきた瞬間に「なんとなく、勘で」犯人だとわかったと言ったので、その後、改稿し犯人を代えました。だから、こんなに長く……ブツブツw
このことがトラウマになって、その後はとにかくミスリードを駆使して、読者の皆さんをだます方向にシフトチェンジしていくわけですが、この話では、まだその点が未熟かもしれませんね。
ミステリーで、ヒントが皆無でミスリードばっかり出てくるのは、本格ミステリーとは言えません。それはただのサスペンス。なんとなくミステリー風味というやつです。最近流行りのミステリーを謳ってるドラマとか、ほとんどはサスペンス。重要なヒントが謎解きで初めて明かされるとか、ありがち。
なので、なるべく僕はしっかりヒントを出しながら、なおかつ、ちゃんとミスリードがきいてくるように気をつけてるんですけどね。
あっ、鏡映しのあとがきなのに次回作の話ばっかりしてる。
鏡映しについては、なんだか幕間の夢オチ短編のように見えて、じつはすごくシリーズ全体として大事な話です。むしろ、鏡写し全体がラストへの伏線と言ってもいいんですが。
『墜落のシリウス〜輪廻のはてに死をこえる愛の物語〜』を読まれたかたは、鏡写しを読んでる途中で「ああー!」と思ったかもしれません。
そうです。アンドソウルがワレスさんのこと、たびたび「シリウス」と呼んでいる。むこうのあとがきには書きましたが、アンドソウルはワレスさんが前世でかかわりのあった人物……というか、魔神です。そっちでも最終的には悪役になっちゃいましたが、本来は知的で穏やかで人柄(悪魔柄)は悪くないんですよ? ただ生きていくために生贄が必要なだけ……だけってw
で、こっちの砦シリーズでは、『過去を見る瞳』と鏡映し。まだ書いてないシリーズラストあたりの一、二話に出てくるんじゃないかと思います。
鏡映しを読んで、「あれ?」と思ったかたは、そうとうこのシリーズを読みこんでるかたですね。
今回、ワレスさんが人型の姿に透かして金色の円形のものが見えると言ってます。
これって、過去瞳のなかで『イージスの占い玉』として問題になってた宝石です。ラストあたりで魔物の目玉だと判明した。そう。あれって、アンドソウルの目なんです。
アンドソウルは古代にシリウスの攻撃を受けて、全身が四散してます。今回もちょろっとそれらしきことを言ってますが。
なので、アンドソウルの本体は現在、回復のため眠りについてます。
彼自身の話はずいぶん前に考えたんですが、けっきょく今の自分には書ききれんと思って文章にはしてないですね。
これも墜落のシリウスを読んでもらえればわかるんですが、アンドソウル自身もより高次の世界の人間です。彼の世界は三重恒星によって昼と夜の気温が激烈に異なる厳しい環境。そのなかで文明というよりは、獣のハーレム的な社会を築いています。ライオン社会と言えばわかりやすい。
その世界は生存がとても厳しいため、群れのどの位置に自分がいるかがとても重要。極悪な自然を乗りきるための習慣が儀礼化されていて、それから少しでも逸脱したことをすると蔑視される。そういう社会。
当然、子どもの数も少ないので、同性愛は忌むべきものとされている。そのなかで、アンドソウルは自分で否定しようとしてはいたんだけど、異父兄にあたる人に恋情をいだいてしまう。
くわしく言うと、彼の母親は以前、異父兄の父にあたる人物と夫婦だったが、その夫が襲撃で殺され、息子は群れから追放された。で、夫を殺した人物と再婚。それがアンドソウルの父。とても強い。
が、母は以前の優しい夫のことも愛していて、二人のあいだの息子をじつはひそかに岩屋に隠して育てていた。栄養不足のため、異父兄は成長が遅く貧弱。アンドソウルは母の行動に疑念を持ち、こっそりつけていって、異父兄の存在を知る。自分の地位をおびやかしかねない異父兄を最初は殺そうとするものの、あまりにも弱いので、ライバルにはなりえないと判断し生かしておく。
その後、母が兄の育成を放棄した(兄がどうやっても強い戦士に成長しないと理解した。この世界はこういうちょっとシビアなとこがある)ため、母の代わりに兄の面倒を見る。
同情が愛情に変わるやつですね。そのあと、アンドソウルは慣習どおり婚約したりするんだけど、婚約者に愛情を持てない。そのうち、なんか兄貴といるとドキドキする……みたいな流れがあって、兄がこっそり自分の婚約者を寝取ってたとわかり、怒り狂って殺してしまう。
その世界には「地獄へ通じている」と言い伝えられる洞窟があり、その穴に身を投じたアンドソウルは、下位の世界へ落ちてしまう。その世界(つまり、ワレスさんたちの世界)では、アンドソウルの存在は高次すぎるため、星より巨大で、人間として存在できない。それを意思の力で圧縮し、人形をとることができるようになり、うんぬん。
そこからさきは、グローリアの母親にあたる女神(と言っても両性具有で外見は少年)との恋愛のもつれがあったのが、シリウスと出会う少し前(千年くらいかなぁ? 五百年くらいかなぁ?)
その後、グローリアの母はグローリアの父(人間)と出会って、グローリアを身ごもる、という関係なので、いろいろややこしい。
と、そのような、じつはかなり因縁の深い魔神です。
体が四散しても、もともと存在の大きさが巨大なので、死にはしない。体の密度を自在に変化できるため、とっさに膨張させて直撃をさけた。
そんなわけなので、砦シリーズの最後のほうに、また出てきます。
この砦シリーズのタイトルが『墜落のシリウス』になってることからもわかるように、じつは、シリーズ全体のメインストーリーは、ワレスさんが自分のなかに眠る半神の力に目覚めていくことなんですよね。魔法使いたちとかかわることで、じょじょにその力を知り、この世界のありかたや前世の記憶をとりもどしていく。
ジゴロ探偵が人間の世界の日常の話なら、もう一つの本編シリーズ(レリスが主役のやつ)の半神の物語とのはざまに位置する。人間と神の世界をつなぐ話なんですね。
このあと、だんだん、砦シリーズは魔法や古代の謎などが重要になっていきます。
それが『ヘヴン』という大長編なんですが、これは四冊ぶん書いてエタってる……いつか、続き書きたいです。いつも言ってるけど。
ではでは、また、このシリーズでお会いしましょう。
2022/08/30
墜落のシリウス第六話、七話『セイレーン姫の恋』他 涼森巳王(東堂薫) @kaoru-todo
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