No.47:受験体制
週明けのお昼休み時間。
以前と同じように、仲良し5人組は机を囲んで昼食をとっていた。
聖クラーク高校は3年生になると、理系と文系でクラス分けになる。
俺は唯一の理系クラスとなった。
偶然にも、慎吾と葵が同じクラス。
また雪奈とひなも同じクラスになった。
4人共とても喜んでいた。
昼食は以前と同じように、俺のクラスに4人が集まることになった。
俺のクラスは理系なので、男子生徒が多い。
そんな中、お昼休みに美少女3トップがやってくるわけだ。
以前と変わらず、周りに注目されながらの昼食タイムとなる。
「ところで、なっちゃんはもう学校に慣れた感じか?」
俺は雪奈に聞いた。
「うん、クラスには慣れたと思うよ。私よりずっと社交的だしね。でもやっぱり勉強が難しいって。ナツは結構ギリギリで聖クラークに入ったって感じかもしれないしね」
「なるほどな……それこそ雪奈が教えてあげれば、いいんじゃないか?」
「そうなんだけどね。でも私も、あんまり余裕ないし……」
さすがにこの時期になると、それぞれの進路を本格的に考えないといけなくなる。
俺は東帝大学の理科三類にしぼった。
雪奈も都内の大学を目指している。
これは俺が東大にしぼった影響が大きい。
雪奈は英語が得意なので、語学に強いカソリック系の私学が第一希望だ。
ひなはまだ実力が伴わないが、できれば県内の国公立に行きたいと思っているようだ。
これからかなり頑張らないといけないが、目標は高いほうがいいだろう。
そして慎吾と葵は、どうやら2人で京都の大学を目指しているらしい。
その場合葵は実家から通うことになるので、慎吾がそれについていく形になる。
「じゃあさ浩介、なっちゃんも僕たちの勉強会に参加してもらったらいいんじゃないかな?」
「そうやね。それに今まではコースケ君に試験前の想定問題集を作ってもらってたけど、普段から普通に集まって、勉強会をすればええんとちゃうかな」
慎吾と葵も、前向きな提案だ。
「ひなもそうしてもらうと助かるなー。ちょっと間に合わないかもしれないけど、できることは全部やりたいよー」
「ひなは将来、やりたいこととかあるのか?」
俺はちょっと気になって聞いてみた。
「うーん……まだわかんないんだけどさ。学校の先生とかなれたらいいなぁって」
「あー、ひな子供好きだもんね。絶対いいと思うよ」
雪奈が賛同する。
「うん、子供かわいいよね。でもそうなると教育学部でしょ? もう超ハードル高いんだー」
自分も見た目は子供だけどな、というツッコミは回避する。
「だからひな、バイトはもうシフトに入ってないんだよ。できるだけ勉強時間にあてたいからさー。まあ週末でどうしても忙しい時とかには、入らないといけないかもしれないけどね」
この半年で勉強意欲が一番高まったのは、間違いなくひなだろう。
全教科赤点スレスレだったのが、2年の学期末テストでは全て平均点をオーバーしていた。
「じゃあ、たまには皆で図書館でも行かないか?」
俺がそう言うのには、理由がある。
医学部を目指すと決めてから、これからは医学方面の専門書も読みたいと思ったからだ。
医学書は買うとなると、とんでもなく高価だ。
最新の書籍でなければ、図書館で読むに限る。
「うん。図書館、いいかも」
雪奈も賛成のようだ。
「じゃあ学校の図書室と、図書館をメインに時々勉強会をやろうよ。僕もその方が集中できる気がするよ」
慎吾の言葉に、全員が頷いた。
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