第5話

結婚するまで

葵は私に指1本触れることはなく

と云っても

キスはしたけどね

それも可愛らしいキスをね

この時の私は

葵に大切にされているのだと思っていたの

何の疑いもなく


葵は私の衣装合わせにも

嫌な顔をひとつもせず

これは楓さんに合うよとか

こちらの方が

顔色良く見えるよなど

まるでお店の人のように

ドレスを選んでくれたわね


結局

式に着たのは

白無垢で

ウェディングドレスは着なかったけどね

あの時は

幸せだったわ

何もかもが

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