第158話 フェロモンを振り撒くエロカワ彼女
夏だ、海だ、水着だーっ!
て、ダメだダメだ…。
また、ボクは何てことを考えてるんだ…。
2日目の午前中は海で遊里さんと二人海水浴を楽しむ予定にしていた。
燦燦と照り付ける太陽がじりじりと肌を焼こうと必死だ。
ボクは、ハーフパンツ風な水着にラッシュガードを付けて、日焼け防止に努めている。
遊里さんは「着替えていくから先に行ってて~」と言ってた。
でも、一人にして大丈夫なんだろうか…。
あんなエロカワいい女の子が悩殺水着(あくまでも妄想)を着て、ここに来るまでにすでに声を掛けられていそうで怖い…。
遊里さんはそういうのに対して、気にせずにこちらに向かってくるタイプだけれど、男の力を舐めてはいけないわけで…。
ああ、遅いなぁ遅いなぁ…。
ちょっとボクの中で不安になってしまう。
ボクは自ずと、きょろきょろと周囲を見渡し、遊里さんがまだかを探し始めてしまう。
周囲から見たら、きょろきょろとしている単なる不審者だ。
「遊里、まだかなぁ…」
ビーチパラソルの下にレジャーシートを敷いて、荷物を載せて待つ。
もちろん、日焼け止めなどの準備もしてきた。
あとは本日の主役である彼女を待つだけだ。
「あ、隼~~!」
聞きなれた彼女の声がボクの後方からする。
ボクが振り向くと白のラッシュガードを着た遊里さんが手を振りながら走ってくる。
て、すっごくタユンタユンしてる!
いや、何がって…アレよ…。
周囲の人たちの視線が集中してて目立ってるよ!
てか、鼻の下伸ばした彼氏を
あと、ウチの彼女がはしたないお胸でごめんなさい…。
「はぁ…待った?」
「ううん。そんなに待ってないよ」
「ふふ、嘘ね。だって、道路から見てたもの。隼がキョロキョロと不安そうに周囲を見ている姿を」
この子は実は小悪魔なんじゃないだろうか…。
いや、転生前が小悪魔という説も捨てきれない…。
「うふふ。何をブツブツ言ってるのよ! まあ、そのおかげで早めに隼を見つけることができたけれどね」
「それはどうも…。遊里がエロカワだから、どっかの男に声を掛けられたりしてないかなぁ…って」
「ゲボカワみたいにエロカワって言葉使うのやめない? こういう人前だとちょっと恥ずかしいんだけれど…」
「ああ…ごめん」
「声は…まあ、何人かには掛けられたかな? 最高齢は90歳くらいのおじいちゃん。『いい乳してんなぁ~! 彼氏は幸せ者じゃけ~!』って言われてサムズアップされた。ちょっとほっこりした」
さぞかしや、おじいちゃんにとっても目の保養になっただろうねぇ…。
「他にも外国の人に声かけられたの!」
「何て言われたの?」
「俺らと一緒にヤらないか…って。Youtubeで見た替え歌が頭に浮かんで笑いをこらえるの大変だったよ」
「ええっ!? そっち? 普通にヤバい目じゃないか!」
「でも、彼氏のがフィッティングが最高だから、あなたたちのは興味がないって英語で言ったら、何だか落ち込んで去っていったわ」
「えらく素直だね…。てか、ボクのアレのフィット感を敢えて、外国人に伝えなくていいよ!」
「いや、まあ、事実を述べただけなので…」
遊里さんは手をひらひらさせながら、「あはは…」と笑っていた。
「あと、最後がすっごくしっかりした筋肉質な男性の人だった…。『僕と一緒にハメ撮りしないか?』って言われたけど、さすがにAV興味なさ過ぎて、あ~、彼氏ので間に合ってますって言ったら、『彼氏と一緒に出てくれないかぁ~』って涙目で訴えてきたから、走って逃げてきちゃった。私の身体が魅力的なのはわかるけど、私には気持ちもアレも繋がりあえる彼氏がいるから、最初のおじいちゃんが可愛かったなぁってくらいしか感想がないなぁ…」
いや、ナンパに感想いらないから。て、ひとつだけ明らかにスカウトだな…。
て、何か今のセリフの中にさらっと凄いこと言ってるんだけど…。
「ま、とにかく私には隼がいるから、他に男なんていらな~い!」
そりゃ、逆一夫多妻制じゃないんだから、そうであってほしい。
そんなの認められたらボクにとっては不安でしかないよ。
「そもそも浮気をするっていうのをよくワイドショーで出てたりするじゃない? あれ、理解できないもん!」
腕を組んで、ぷんぷんと怒る遊里さん。
いや、胸が押しつぶされてエロくなってます…。
「何で浮気するんだろうね…」
「うーん。お互いが飽き始めるのかな…」
「ええっ!? 飽きちゃうの?」
「うん。食事のあれと一緒じゃない? 毎日美味しいものを食べ続けると、たとえそれが高級品であっても、飽きてきて、たまには牛丼が食べたくなるとか…」
「その論理だと浮気されてる人ってすごく惨めだね…。激安お買い得品みたいな扱い…」
「う…。今の牛丼は例えだからね…。あくまで例えです」
「じゃあ、隼も私に飽きちゃうことなんてあるの?」
「断じてない!」
「早っ! 即答じゃない」
「あはは…。そもそも遊里のことを嫌う要素がないし、飽きることもないな…。いつも一緒にいて、楽しいし、可愛いし、ボクに対してとても親身になってくれるし、ちょっぴりエロいし…」
「最後の何それ? でも、私も一緒かな…。隼って本当に私のことすごく大事にしてくれてるのが伝わってくるの…。あ、一途に愛を注いでくれてるって」
「だって、大好きだから仕方ないかな」
「だから、好きってことばを急に言うの無し! キュンて来ちゃうんだから!」
ボクの心も遊里さんの頬をほんのり赤らめた上目遣いにグッサリと刺される。
もう、これをキュン死というのだろうか…。
でも、今日のために水着買ってたけど、どんなデザインのを買ったんだろう…。
「んふふ。水着、見たい?」
遊里さんは意地悪く微笑み、ボクの頬を人差し指でツンツンと指してきたのであった。
もう、本当に小悪魔じゃなくて実は、サキュバスなんじゃないかな…。
ボクのエロカワ彼女は————。
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