第157話 朝からもアツアツな二人。
まだ、朝の6時。
にしては、外はジリジリと日差しが照り付けていて、今日も暑くなることは予測できる。
ボク達は、まだ布団の中でイチャイチャしていた。
「んふぅん♡ はぁ…。目覚めにこんな激しくキスするなんて、隼ったらエッチなんだから…」
て、言いながら、すっごく満足そうな笑顔してませんか?
何だかお肌のツヤもいつも以上にいいし…。
ボクはそんなことがチラリと頭の端によぎるが、敢えて今は突っ込まずに訊く。
「そ、その…ボクのこと…いつから気づいていたの…?」
「そんなの最初に出会ったときに決まってるじゃない! もうね、同じクラスで隼を見たときに、驚きすぎて声をかけることできなかったもん。だから、まあ、アレが絡んできたっていう厄介なことがあったんだけどね…」
嫌な表情をする遊里さん。
まあ、確かにあれは厄介だった。
「でもね、話しかけたら気づいてくれるかな…と思っていたんだけれど、私もあのころとは髪の毛の色も全然変わっちゃったから気づいてもらえないんだって思ったの…。まあ、でもいつかは気づいてくれるかなって思っていたけど、全然気づいてもらえなくてさ。名前でも気づいてくれないんだもん!」
「あ、ゴメン…。だって、あの時、『ゆり』って名乗ってなかった? い、いやまあ、さっき見た夢の世界での話なんだけれど…」
「あ~、もしかしたらそう名乗ってたかも…。ほら、変質者も多いから本名名乗ったらダメ~みたいな」
「いや、それで分かれって中々酷なこと言うね!」
「でも、そんなに私の顔とか変わってたかな…」
「うん、あの頃は丸かった」
「いきなりのディスは止めてよね…」
あ、怒ってる。
遊里さんはボクをジト目で睨みつけてくる。
「まあ、子どもっぽかったって話でしょ? でも、あの後、小学校からは美人で通っていたんだけどなぁ~。私と茜で黒髪美人姉妹なんて言われたりしたのよ」
確かに妹の茜ちゃんも遊里さんと全くと言っていいくらい同じ顔をして、艶やかな黒髪の持ち主だ。
昔の遊里さんを想像するには彼女を見た方が分かりやすい。
あ、まあ、見つめると…その…遊里さんが怖いんだけれどね…。
「あ、今、茜が頭を
ホラね。
ボクも確かに悪いとは思うんだけれど、想像しちゃうのは仕方ないじゃないか。
「それにしても本当にこれって奇跡だわぁ…って思っちゃった♡ 結婚しようって言ってた彼と一度は離れ離れになって、再び出会ったときはお互いが両想いになってるなんて…」
「うん。本当にそうだよね…。ゴメンね、なかなか気づくことが出来なくて…」
ボクはそう言いながら、遊里さんの頭を撫でる。
遊里さんは猫のようにボクに寄り添ってくる。
「ぬぉっ!?」
ちょ、ちょっと待って!
今、ボクと遊里さんは
「ん? どうかした……の!?」
「あ、あははは……」
ボクは恥ずかしくなり、視線を逸らす。
そりゃそうだ。
遊里さんが寄り添ってくるということは、豊満なお胸がボクの身体と触れ合う。
というよりも、サンドイッチされて、ムギュッと潰れる。
それだけでも大変なんだけれど、今は下着すらつけてないから、感触がダイレクトに肌を通して感じてしまう!
ボクだって男だ!
理性は保てているものの、夜間の動脈の血流に関係して、周期的に起こる生理現象なのだから仕方ない。
「ご、ゴメン…。遊里…」
「こんなんじゃあ、結婚したら朝から毎日、一発してからしかお仕事に行けなくなるね」
いや、そんなことしたら、職場でも想像…いや、妄想が捗ってしまいます!
遊里さんはニヤニヤと意地悪く微笑みながら、「もう、仕方ないなぁ~」と全然仕方なくなさそうな雰囲気で文句を言いながら、
「まだ、朝食までは時間があるから、やっちゃう?」
そう言って、ボクにゴムの箱を振り振りして見せた。
ボクはそんなエロカワいい彼女の提案に、コクリと頷くしかなかった。
「て、言いながら実は私も、隼の匂いにずっと包まれているような感じで、ムラムラしちゃってたんだけどね…」
確かに彼女はボクの匂いが好きな匂いフェチなところがある。
いつも、自宅ではボクの匂いが染み込んだ(汚くはないぞ!)枕に顔を
ホテルの枕ではそんなに匂いがシーツに移ることもないので、直接接種してたのか…。
て、想像するとちょっとエロくない!?
「さあ、今日の朝はどんな感じで気持ちよくさせてくれるのかな…?」
ボクの理性という名のガラスは完全に破壊された…。
遊里さんはハァハァと息を漏らしながら、布団に突っ伏している。
ボクも肩で息をしながら、腰を着いた。
「ねぇ、どうして一回で治まってくれないのよ!」
「あ、あはははは…」
「笑ってる場合じゃないって…。これ、毎日してたら確実にお仕事、遅刻じゃない!?」
「あ、本当だね…。じ、じゃあ、朝起きる時間を早めようか?」
「いや、そういう意味じゃなくて…。私、確実にこんな生活一週間したら、壊れるし、精神的に堕ちて日々の生活に支障をきたすと思うわよ」
「ええ!? そこまで!?」
「まあ、今日は旅行中だから、お互い開放的になりすぎているってこともあるからだろうけれど…。ちょっと私、疲れちゃったんだけれど…」
ボクが時計を見ると、まだ6時半を過ぎたところだ。
朝食は7時からだから、あと30分ほど時間はある。
「少しだけ、お互い休憩してから朝食に行こうか」
「そうさせてもらう~」
そういうと彼女はボクの頬にチュッとキスをして、
「でも、やっぱり隼のことが大好きだよ…」
と言って、掛布団に
ボクは頬をポリポリと掻いて、窓際まで行く。
すでに太陽が海の向こうから登ってきており、気の早いサーファーたちが浜辺へと集まり始めていた。
ボクは冷蔵庫から飲みさしのペットボトルを取り出して、ストレートティーを口に含む。
ボクと彼女の繋がりにとって大切なひとつのピースを埋めることが出来て、ボクはホッとしていた。
でも、まだ知らないところに欠けているピースがあるのかもしれない。
ただ、ボクには遊里さんが一緒にいる。
彼女とともにそれを見つけて嵌めるのも運命だったり奇跡だったりするのかもしれない。
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