第81話 私も隼には勝てない。(神代遊里side)

「おっはよぉ~~~~~!」


 シ―――――――ン………

 まだ明るくなっていない廊下は人の気配すらしない。

 おかしい…。

 おかしすぎないか!?

 私の心のどこかに不安がぎる。

 私は急いで、隼の部屋に突入する!

 そして、私は大きな塊と化した隼のベッドの掛け布団をはがす!


「やっぱり!!」


 掛け布団の下には、隼に抱きつく楓ちゃんの姿が!


「こ、こんの…アホ妹~~~~~~~~!」

「んきゃぁ~~~~~~~!?」


 私はフルパワーで、楓ちゃんを彼氏から引き剥がす!

 私はワナワナと拳を握りしめて、彼氏の間に立つ。

 『私の』彼氏は、スヤスヤと何も気づかずに寝ている。

 私は音をさせずに振り返り、楓ちゃんの前に腕を組んで立つ。

 何も下着すらつけていない楓ちゃんはプルプルと震えている。


「あわわわわわ……」


 楓ちゃんの顔はすでに青ざめていて、プルプルと震えている。

 私は楓ちゃんの傍まで近寄り、肩をトントンと叩く。


「自分のやったことは分かってるよね?」


 私はこれまでにないくらいの微笑んだ顔で話しかけてあげる。

 怒りを面に出すことなく。

 楓ちゃんは涙目をしながら、コクコクと頷く。

 どうやら、自分のやったことを理解はしているようだ。

 隼は私の彼氏であり、楓ちゃんにとってはお兄ちゃんである。

 私はさすがに隼が楓ちゃんとライン越えをすることはないと思っているけど、妹がガンガン攻めてきたらどうなるか分からない。

 とはいえ、楓ちゃんにも瑞希くんという彼氏がいるのだから、さすがに一線を越えることはないと思う。……いや、思いたい!!


「楓ちゃん。一線は超えてないよね?」

「誓って超えてません!」

「そうなんだ。じゃあ、お兄ちゃんの温もりを感じていたのかなぁ?」

「あ、はい…。最近は、あまりお兄ちゃんが私に構ってくれてなくて…。その、ちょっと寂しくなったっていうか…」


 まあ、それは百歩下がって認めてあげよう。

 確かに隼は私と付き合うようになってから、私に勉強を教えてくれる関係で、あまり妹との時間も減っていたようだし…。

 でも、でもである。


「一緒に温もりを感じたのは許すわ。でも、どうして、裸なの?」

「ぬおっ!?」


 楓ちゃんはまるで何かが喉に詰まったかのような声を出して、固まってしまう。

 顔を見てると、冷や汗がダラダラと垂れてきていて面白い。

 ああ、私ってドSなんだなぁ…。


「直接、肌からお兄ちゃんエキスを取り込もうかと…」

「エロ過ぎるわぁ~~~~!」

「あ~~~ん、許してくださいよ~~~。ちょっと…ほんのちょっとお兄ちゃんとこれまでみたいな生活をしたかったの…。ちょっと寂しかったの…。だから…ごめんなさい。ああっ! それと夕食美味しかったです。遊里先輩も一緒に作られたんですよね…。思い出も加味されていましたけど、味は本当に美味しかったです」

「謝る必要なんかないよ…。だって、隼はいつまでも楓ちゃんのお兄ちゃんなのは間違いないもの。それと夕食は私からお願いしただけだから…。一緒に作って色々と技を教えてもらいたくてね」

「遊里先輩…」

「でも、隼エキスを楓ちゃんだけが味わおうとするのは解せないわね…」

「ええっ!?」


 そこで私は近づいてきて、ニヤリと楓ちゃんの前でにやける。

 私はそのままスポーツウェアのままベッドに上がる。ポヨンと私の胸が弾む。

 楓ちゃんがそれを凝視している。


「遊里先輩はズルいですよ! そのスタイルは…。そのスタイルはお兄ちゃんもメロメロにされちゃいますね」

「ふふふ。まあ、伊達に学園一の美少女なんて言われていないわよ」

「で、先輩までベッドに上がって、何するんですか?」

「決まってるじゃない。隼のハーレムよ♪」


 そういうと、私は楓ちゃんの手を引っ張り、ベッドに一緒に潜り込む。


「楓ちゃんは隼の後ろから自分の武器をしっかりと当てるのよ。私は前から押し当てるから♡」

「うわ…。本当にこの構図は本当にエロいですね…」

「えへへ~でしょう~」


 私はこれでもかと隼の顔に押し付ける。

 負けじと楓ちゃんも隼の背中にグニグニと押し付けてくる。


「お、お兄ちゃんに対して、こんなのエッチ過ぎますよ…」

「まあ、私がいてる中でやるんだからいいんじゃない? いない時にやったら、お仕置きだからね」

「んっ! 分かってますよ。あわわ…。お兄ちゃんの背中ってこんなに大きくなっていたんだ…」


 その時、何だか、ムギュってされたような気がする。

 さっきまで余裕を見せていた私は視線を少し下げる。

 すると、そこには隼の手が掴んでいる…て何で!?


「ええっ!? ちょっと……!?」

「ど、どうしたんですか!? 遊里先輩!?」

「隼が寝ぼけて私の胸に……あぅん!?」


 私は身体をピクリと震わせて、甘い吐息を漏らす。

 寝ぼけて、隼が口撃してきてる!?


「遊里先輩、無理矢理、剥がしましょうよ!」

「で、できないの…。隼に足で腰を絡まされちゃって…」

「ええっ!? じゃあ、どうしようもないってことですか!?」

「ああっ!? もう…ダメ…かも……」

「遊里先輩―――――!?」


 私は歯を食いしばって耐えようとする。でも、隼が上手すぎる…。

 身体の力が抜けてちゃう……。


「はあ…きもひよひゃったぁ……」

「遊里先輩、ダメダメじゃないですか…。て、お兄ちゃんも遊里先輩の匂いを感じ取って、そこまでしたくなるって、遊里先輩もどんなフェロモン出してるんですか…。て、まだお兄ちゃん寝てるし!?」

「あはは、ゴメンゴメン…。変なところ見せちゃ……えっ!?」

「ええっ!? どうしたんですか!?」

「まだ、逃がしてもらえないみたい…」


 隼が私を抱きしめる力がさらに増して、顔をうずめてくる。

 ああ、母性本能っていうのかな? すごくキュン! って来ちゃう!

 もう、隼ったら…♡



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作品をお読みいただきありがとうございます!

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