第51話 ココチヨサ(1)
「今日はお食事とお風呂までお世話になりました」
「また、いつでも来てもいいのよ…。遊里のいないときにもね♡」
「お母さん! 人の彼氏に手を出すの止めれてくれない!?」
うーん。もう0時近くなのに、元気な家族だなぁ…。
いつまでも明るい会話が続けられそうなこの家族は全員陽キャな人たちだな。
勇気くん、頑張れ!!
「じゃあ、また後でね」
今すぐにでもランニングが出来そうなスポーツウェアを着ている遊里さんがウィンクしてくる。
何かを察したのか、早苗さんが口を出す。
「遊里…。もしかして、隼くんのおウチにお邪魔するの? あんまり彼氏を困らせちゃダメよ」
いやいや、風呂上がりの早苗さんの格好の方がやばいでしょ。
キャミソールにショートパンツとか…。上からはブラなしのお胸がこぼれ出てきそうだし、下からはムッチリとした健康的なつやのあるお肌がむき出しだ。
しかも、顔はボクの大好きな遊里さんと瓜二つ…。
夜這いでも掛けられたら理性失って襲ってしまうかもしれない…。て、ダメじゃん。
「困らせるわけじゃないもん! さっきのお風呂で話していた続きを話すの!」
「あはは…。じゃあ、ボクはこの辺で失礼します…。今度はウチでお食事のパーティーが出来ればいいですね。夏になんかできないか考えておきたいと思います」
「あら! 隼くんの手料理が食べられるなんて幸せ~。私と勇気は食べてないから楽しみだわぁ~」
本気で嬉しそうに喜んでくれる早苗さん。
勇気くんも食べられるメニューかぁ…。何がいいかなぁ…。
「では、失礼します」
深夜ということもあるので、ゆっくりと金属製のドアを閉め、音をたてないように配慮する。
足音を極力立てずに、1階下の自分の部屋に到着する。
梅雨が明けて、蒸しっとした暑さが廊下から感じる。
たった1階下に行くだけなのに、じっとりと汗がにじむ。
(これ、絶対に部屋も蒸し風呂みたいになってるパターンじゃないか…)
部屋の前に着くと、鍵を差し込み開錠する。
ドアを開けると、中からムアッとした空気がボクの顔に触れたのに気付く。
遊里さんが来る前に部屋を冷やしておかないと、来て速攻汗だくは可哀想だ。
リビングと自室のエアコンを入れる。
ボクは寝間着替わりに使っているラフな格好に着替える。
文明の利器から吐き出される冷たい風を受けて、ボクはリビングのソファに身を任せる。
何だかこの二日間、濃厚だったなぁ…。
ボクは目を閉じると、色々あったことが脳裏によみがえってくる。
ムニュムニュ……
そう。こんな感じの柔らかい感触もあったよなぁ…。
チュッ!
そう。こんな感じの気持ちのいいキスも出来たなぁ…。
それで二葉さんにバレちゃったんだけどね…。
てか、やけにムニュムニュという柔らかい感触がずっと続くなぁ…。
「て、遊里!? いつの間に!?」
「いやいや、旦那、鍵を開けてリビングに向かうときに、挨拶はしたよ? まあ、こんな時間だからちょっと小声すぎたかもしれないけど…。で、リビングに入ったら、ソファにぶっ倒れている隼がいたから、ちょっと悪戯しちゃったのよ」
舌を出して、テヘペロって可愛すぎかよ!
胸がボイン! ウェストがキュッ! お尻がプリンッ!
それにボクの上に馬乗りのように乗っかかっているから、遊里さんのロケットオッパイがボクの目の前でぷるるんと揺れている。
もうね、目の前に誘惑の対象がいっぱいおっぱいなんですよ…。
「そういえば~」
遊里さんがニヤリと意地悪な微笑みを浮かべながら、妖艶なオーラを出しながら、言い始めた。
「まだ~、罰を与えてなかったよねぇ~。えへへ~」
「え!? ボクにも罰があるんだっけ…?」
「ありゅよぉ~」
あれ? 遊里さん? 何か呂律回ってなくないですか?
それにさっきから、エアコンが聞いている部屋なのに、ちょっと汗ばんでいるし、顔も紅潮している。息も少し弾んできていませんか?
「何だか、熱もあるみたいなんで、ベッドで横になってください!」
「らいじょぶらいじょぶ…えへへ…」
いやいや、見れば見るほど大丈夫じゃないでしょうに。
肩に手を掛けて、ボクの部屋に移動する。
ベッドで横にしようとすると、彼女が力任せにボクを押し倒す。
(え!? 何か力強くない――!?)
遊里さんはボクの上に馬乗りになり、そのままボクを見下ろしている。
顔が火照っていて心拍数が上がっているのか、息が荒い。
今にも襲われそうな、そんな雰囲気を醸し出している。
明らかに、数分前に遊里さんの家で見た彼女とは雰囲気が異なる。
ゆらりと彼女がボクに覆いかぶさるように倒れてくる。
何だか、今日は遊里さんが激しい。
(いやいや…これはさすがにヤバいでしょ…)
いつも以上に遊里さんがエロ過ぎる…。
てか、何で媚薬飲んできてんのよ!?
ボクは早苗さんにLINEでメッセージを送る。
早苗さんからはすぐに返事が来た。
『あの子、私が飲もうと思っていたジュースを飲んじゃったのよ!』
いや、媚薬をジュースに入れたら、間違えて飲むやろがい!
それに何で家で自慰のために媚薬飲もうとしてんの!?
それはそれで頭おかしくない!?
どれだけ激しい自慰タイム過ごしてんの!? てか、欲求不満すぎ!?
ボクはすぐさま媚薬の効能を訊いた。
またも返信はすぐに来た。
『だいたい、私で1時間くらいだから、1時間ほどすれば治まるわ』
え!? 1時間も!?
まだ、始まって10分しか経ってないんだけど!?
10分ですでにボク1回目、終わってしまいそうなんですけど…。
そのノリで行くと、ボク、6回はやらないといけない…。
いや、搾り取られ過ぎて、ボク、
『キャップは絶対に付けといてね! これ使ったときは、付けなかったらマジで孕んじゃうから…。グッドラック!』
早苗さんの不安になる一言の書かれたLINEを見た後、遊里さんに対峙する。
これ、気をぬいた方が負けだよ!
「うあぁぁぁぁ……」
ボクは情けない声を出してしまう。
やっぱりボク、この戦いは無理だと思います!
―――――――――――――――――――――――――――――
作品をお読みいただきありがとうございます!
少しでもいいな、続きが読みたいな、と思っていただけたなら、ブクマよろしくお願いいたします。
評価もお待ちしております。
コメントやレビューを書いていただくと作者、泣いて喜びます!
―――――――――――――――――――――――――――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます