第45話 愛を再確認した社会見学ー奈良ー

 長い間、ボクと遊里さんは二人でシングルのベッドを見つめていた…。

 すごく無駄な時間なんだけどね…。


「こ、こういうのって普通に寝れば大丈夫なんじゃないかな?」

「そ、そうですね…。意識しすぎるから…その、パニックになっているだけですね」

「で、でも、一緒に布団に入っちゃうとどうしても肌が触れ合っちゃうよね…。これ、ダブルじゃないから…」


 こんなやり取りを30分ほどしている。

 こっちも出来れば早く寝たい…。いや、でもいつも通りで行くとベッドに一緒に寝るのは、エッチなことしか思い浮かばない…。

 ボクらって変態だったんだ…。今思うと…。

 ベッド一つだからって、正常な精神の状態だとこんなにあたふたできるんだから…。


「まあ、そんなこと言っていても何も始まらないし、寝なかったら寝なかったで、明日に差し支えるんで、さっさと寝てしまいましょう…。では、おやすみなさ~い…」

「隼って時々鋼のメンタルな時があるわよね…。何だか、白けちゃった…。私も寝ようっと」


 遊里さんはボクの反対側からベッドに入ってくる。

 別にこうやってベッドで背中合わせで寝ることくらいよくある。

 遊里さんがボクの家にお泊まりしに来るのは、遊里さんのお母さんである早苗さんも公認の話だし…。

 ただ、早く孫の顔が見たいと娘に言いまくっているのはどうかと思うけど…。

 とはいえ、やはり二人はいるとベッドはやや熱い…。

 遊里さんとボクの体温がいい感じで上質な掛布団が熱を逃がさないでいる。

 ちょっと暑いなぁ…と思い、遊里さんに話しかける。


「ねえ、ちょっと熱くない?」

「う、うん…暑いね……」

「下着一枚になってもいいかな…」

「え!? 本気で!? 見つかったらやばいよ」

「まあ、2人でいてる状態が見つかればどの道やばいよ。暑くてちょっとでも涼しくなりたい…」

「わ、私もその下着状態になってもいいかな…」

「別にいいんじゃないかなぁ…。暑いんだから…」


 お互いに来ていたジャージを脱ぎ捨て、下着姿になる。

 かなりクールダウンできた。そりゃもう、全然違う!


「これでゆっくり寝れそうだね…」

「ホント、全然違うね…」


 ボクたちは暑さが落ちつき、心身ともに就寝できる準備が出来た。

 ボクの意識レベルも段々と落ちてきて、睡魔とともに闇に引きずり込まれ………なかった。

 ボクの肌に温かい肌がぴたりとくっ付いてきた。

 振り返ると、ボクの顔の目の前に火照った顔の遊里さんがいました…。

 原因はあんたかい!?


「ねえ、さっきはあんなこと言ったけど…。やっぱり寂しいよぉ…」


 そう言いながら、ボクの腕を抱きしめてくる。

 ボクの鼓動も跳ね上がる。

 だって、目の前に火照って蕩けそうな表情をした美少女がいるんだぞ!

 しかも、目の前の美少女は自分の彼女だから、寝取ってるわけでもないから倫理上の問題も何もない!

 あるとすれば、社会見学のルールを著しく違反しているってこと。

 まあ、それが一番アウトなんだけどね…。


「ねえ、キスだけでもいいから…。そ、そのセックスはまた帰ってからでいいから…ね?」

「え…うん……(ゴクリ)」


 て、ウチの彼女はどれだけエロイんですか…。

 やっぱりキス魔だよ。キス大好きなんだよねぇ…。しかも、ベロチューが。

 お互いの口内で舌を絡めあうことで、お互いの口を犯しているようなそんな意識でやってるのかね…。

 遊里さんはボクの肩に両手を絡ませてくる。

 もう、吐息が聞こえそうな距離間だ。


「キス…してもいい?」


 少し首をかしげながら、上目遣いにボクにお願いをしてくる。

 クソッ! 可愛いな!!

 家だったら、間違いなくキス+前戯+本番×∞コースだぞ!

 ボクの答えは決まってる!


「ダメ…」

「え!? な、何でよ……。今までで一番、可愛くお願いしたつもりなのに…」


 自分から可愛くとかいうな!

 こっちは可愛すぎて、すでに下半身がヤバいことになってるんだよ!

 爆発暴走しそうな下半身にどうどう…と抑制させて、


「ボクからするから……んちゅ……」


 ボクは彼女を引き寄せると、そのまま唇を奪った。

 遊里さんが舌を絡める前に、ボクから舌を絡め始める。

 奈良町で中途半端にキスを終わらされたボクらは欲求不満状態だ。


「「…んちゅ…レロレロ…ちゅぱ……くちゅくちゅ……」」


 愛の籠ったキスをボクからしてあげる…。

 遊里さんは待っていたかのようにボクのすべてを受け入れる。

 身体をくねらせ、ボクのキスを受け入れつつ、身体に絡みついてくる。

 シーツの少しひんやりした感じとお互いの身体の火照った感じが変に混ざり合う。


「今日の遊里、すごくエロいキスするんだね…」

「だって、朝はしてくれないし、昼のも中途半端だし、凜華のも見ちゃったし…」


 もう欲求不満を体現化したような感じのエロさを感じる。


「だ~か~ら~、キスくらいいいでしょ?」


 遊里さんはボクの返事を待たずに舌を絡め直す。

 でも、エロいキスをすればするほど、ボクの下半身が正常な精神を失い始めているのは間違いない。

 彼女も身体を絡めあっているから、ボクのものが大きくなっているのは気づいているはず。

 まさか、このまま生殺し状態を楽しんでいるのだろうか。

 でも、ここまでエロモードになっている彼女のことだ。ボクは確信をもって、パンツの中に手を突っ込む。


「いや! ちょ、ちょっと……あぅん……」

「そりゃそうなるよね…」

「もう、バカぁ……。今日は出来ないんだから、我慢しなきゃいけないんでしょ?」


 ごめんなさい。ボクらはやっぱりエッチでした。

 数分後、肩で息をしている遊里さんがいた。


「今日も、すっごくエロ可愛かったよ」

「何それ? メッチャ恥ずかしいんだけど…。でも、バレちゃいけない環境でヤるのって、すっごく興奮しちゃうかも…」

「その発言って変態だと思わないの?」

「うーん。冷静になるとアウトって気づくかも…。でも、今は気持ちよすぎてダメかも…」

「社会見学から帰ったらまたたくさんイチャイチャしちゃおうね」

「うん…。クラスの雰囲気も普通に戻ってくれればいいんだけどな…」

「そうだね…」


 そういうと、ボクは遊里さんと再び唇を重ねた。

 裸のまま、シングルのベッドの中でお互いの体温を感じながら、その夜は寝た。

 幸せそうに眠る彼女の顔を見るだけでも、ボクはつくづく幸せなんだと感じた。




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