第35話 大人のエロさを醸し出す来訪者。
遊里さんはこちらに振り替えると、ホッとした表情を浮かべる。
「隼くん! 実はお話したいことがあって、玄関先で待たせてもらっていたの!」
「ええっ!? 話ですか!? 遊里も落ち着いてよ。今、鍵開けるから…」
「あ、ありがとう」
あれ? 何か違和感を感じるんだけど…。ま、いっか。
ボクは遊里をリビングに招き入れ、先に座っていてもらう。
ボクは今日の晩御飯の生ものを先に冷蔵庫に入れておかないといけない。
それを見ていた遊里が、
「あ、ごめんなさい。晩御飯作らなきゃいけない時間帯よね」
「え? ああ、まあもう少し時間はありますから大丈夫ですよ」
「そ、そう? じゃあ、良かったわ…」
ボクは買ったものを冷蔵庫に入れると、リビングに戻り、彼女の横に座る。
遊里は少しビクッと驚く。
「ん? どうしたの?」
「え? いや、急にこっちに来たから
「それはすみません。いつも通り横に座って驚かれたら、こっちも困りますよ。で、お話って何ですか?」
ボクが彼女の横で目を合わせると、遊里は顔を赤らめながら固まる。
あれ? 付き合い始めた初期のころのような反応…。
「あ…。うん、えっとね…。学校でさ、私と隼くんが付き合ってるって噂がチラホラ聞こえてきちゃうんだけど…」
「ええ!? 結構、学校内では分からないように過ごしているのに…。何ででしょうね…」
「そ、そうなのよ…。別に私は何も言ってないわよ…」
そりゃそうだ。
お互い学校では、友人知人にまだ秘密の状態で付き合っているのだから、せいぜい知っていると言ったら、ボクと遊里さんの家族関係くらいなものだ。
それなのに、どうして学校でバレ始めているんだろう…。
「だからさ、その…それに対する対策を練りたいと思って来たのよ!」
「そうだったんですね…」
ボクは神妙に頷く。
遊里さんの顔がオロオロと不安そうにしている。
「そんな顔しちゃダメですよ」
ボクは、彼女の頭を撫でてあげる…。
遊里さんはいつも頭を撫でると落ち着くからね。
「もしもバレちゃったら、それはその時ですよ。その時は堂々と付き合っちゃえばいいじゃないですか。もしかしたら、派閥闘争なんて気にしなくても良くなるかもしれませんよ。もしも、遊里が攻撃されてもボクが守りますよ! まあ、腕っぷしは強くないですけどね」
「え…、隼くん…素敵すぎるよ……」
遊里さんが両手を胸の前で合わせて、ウルウルと瞳を潤ませる。
ええ!? そんなに感動すること言ったかな…。
「そ、それとちょっと話は変わるんだけど、最近の私ってどうかな?」
「えらくまたふわっとした質問ですね…」
ボクは少し考えて、話し始める。
「そうですねぇ…。すごく勉強に真面目に取り組んでますよね…。ベスト10入りは伊達じゃないですよね」
「そ、そうよね」
「あと、その…本人には言いにくいことなんですけど…」
「え? 何なに!?」
えらく食いついてきますね、遊里さん。
遊里さんは急に目を輝かせながら、こちらに振り替える。
「そ、その…最近…少しエッチ過ぎませんか……?」
「え? え――――――――――――――っ!? そ、そうかしら…?」
「いや、まあ、ボクもいけないのかもしれませんけど、あんな雰囲気を作っちゃってるのは間違いなくボクなので、ボクに原因の一つがあるというのは間違いないと思います…。で、でも、かなり『エッチ好き』になってますよね…? ゴムなければ、サクッと子ども出来ちゃうくらいのエロさです…」
「は、隼くんの子ども…!? そ、その私のどんなプレイがいけないのかしら…!?」
「ええっ!? そこは詳しく聞きたがるんですね? 今日の遊里、何だかおかしくないですか?」
「え? 失礼ね~。何もおかしいことなんてないわよ!」
「そうですか…。でも、プレイっていうか…濡れ方とかですかね…」
「ゔ…。なかなか凄いところ突っ込んでくるのね…」
遊里さんは顔を紅潮させながら、若干下に
まあ、でも本当のことだからなぁ…。
「あんなに濡れて何度もイっちゃっても身体に問題がないのかボクは心配ですよ…。そのうち死んじゃうんじゃないかって…」
「だ、大丈夫よ! これでも丈夫だから…」
いや、訳の分からない自信を持たれても…。
ボクはいい加減突っ込むのが面倒くさくなってきた。
てか、何だか今日の遊里さんって雰囲気というか話し方というか行動というか、どれをとっても違和感が少しずつ感じるんだけど…。
まず、ボクの違和感を整理してみよう…。
①遊里さんはボクのことを「くん」付けで呼ばない。
②ウチの家の合鍵を持っているのに、外で待っていた。
③質問がどれもふんわりとしている。
うーん。何だか、おかしいんだよなぁ…。
あ、そうだ…。ちょっと確認できる方法があるじゃん。
「遊里…。ボクさぁ、キスしたくなってきちゃった。えへ!」
「えっ!? 今!? 今ここでキスしちゃうの!?」
「う、うん。だって、まだ楓が帰ってくるまで時間も十分あるよ」
「そ、そうね…。キスかぁ…。今、私ちょっとそんな気分じゃないかも」
「ええ!? 珍しすぎる!! キス魔なくらいキス狂いな遊里が、キスしたがらないなんて!!」
「ええっ!? そこまで!?」
やっぱり怪しい。
どうしてそんなにキスを拒むんだろうか。
いつもならボクの誘いにホイホイと乗るのに。(遊里、ゴメン!)
「そ、そんなことより…キスよりももっといいことしようよぉ…」
遊里さんはボクの口を左手で
―――――――っ!?
キスはダメなのに、そっちはいいの――――――――っ!?
遊里さんはそのままボクの上に乗り、カッターシャツのボタンを外し始める。
見えてくるブラジャーが黒っていやらしすぎませんか!?
いつもは白じゃん! 何で、そんなエッチな下着付けてんの!?
遊里さんはハァハァ…と息を弾ませながら、前ホックのブラジャーをプチッと右手で器用に外す!
たわわな胸がプルンと重力に身を任せるようにブラジャーからこぼれる。
「隼くん、君がいけないのよ! 君が色々とエッチな話をするから、私までイヤらしい気持ちになってきちゃったのよ…!」
「ええっ!? 意味が分かんないですよ! それなのにキスがダメとか意味が分かんないし!」
「うるさいわよ! さあ、大人の味を知りなさい!」
こ、この人誰!?
絶対に遊里さんじゃない! 遊里さんのそっくりさん!?
え、このままじゃ本気で襲われるよ!
あ――――――――っ! そこ、握らないで―――――――――っ!!
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