第32話 みんなに大公開した罰。
今日はお姉ちゃんの誕生日会だ。
私たちの住んでいるマンションの1階下の楓先輩の家に集合になっている。
昨日は昨日で、私たちが帰宅した後にお姉ちゃんが隼さんに勉強を教えてもらっていたようで、少し遅れて帰宅した。
しかし、その時の様子がおかしかったことを私は知っている。
何だか、ちょっとボーッとした感じで、顔はほんのりと赤らんでいるようでいた。
あれがママの言う『メス』の顔なんだろうか…。
今朝、起きてきたときのお姉ちゃんは普段通りだった。別に変わったところもなかった。
ただ、お姉ちゃんの服装は、いつもよりも度を増して、エロかった。
どうして、上がTシャツで、下がショートパンツ!?
インナーは付けてるからと言って、これは男に見せれば、野獣に敢えて餌を与えるようなもの…。
まあ、別にお姉ちゃんのファッションに対しては私は不干渉なので、どういうものを着ていても問題ないんだけど、すごくそこだけは気になってしまった。
楓先輩の家はすでに準備が終わっていて、招き入れられたときには、会が始められるような状態であった。
時間になるとあっさりとお姉ちゃんの誕生日会が始まる。
隼さん、すごく計画的なんだ。それにお料理も美味しい。
楓先輩と二人暮らししているから、隼さんが家事・洗濯など多岐にわたってしてくれているんだ。
それにお姉ちゃんに対しても凄く優しいだけではなく、妹の楓先輩や、初対面の私に対しても本当に優しく接してくれている。
ゔ…。私が隼さんに何かしてもらえる度に、お姉ちゃんからの視線が痛い…。
でも、隼さんはお姉ちゃんの彼氏なんだから、奪っちゃうのはいけない…。
そして、そんなモヤモヤしている目の前で、お姉ちゃんと隼さんが惚気ているのは何だか腹が立つ!
私と同じ気持ちの理解者である楓先輩がそこに割り込み、
「「お兄ちゃん(お姉ちゃん)!
「ぬおっ!」
「きゃっ!」
遊里さんを楓が、私が隼さんを引き剥がす。
その時に勢いづけてしまい、私に隼さんが倒れこんできてしまう。
ムニュン……
(い、いやだ! 恥ずかしい!!)
目の前でお姉ちゃんが目を丸くして、ワナワナと震えている。
お姉ちゃんを羽交い締めにしている楓先輩はその後ろで、残念そうな顔をしている。
隼さんがどうやら状況を察したようで、ようやく私の方に振り替える。
「隼さん…。姉のオッパイだけではなく…、私のオッパイを揉もうとは…。これ、変態認定してもいいんじゃないかなって私、思うんですよね…」
こんな偶然があってたまるものか! 隼さんの手が偶然にも私の胸を鷲摑みしている。
「こ、これは事故だ!」
「じ、事故とおっしゃるならば、なぜ早くこの手を
「あ、ゴメン! 本当に茜ちゃんの胸には興味ないから!」
「そ、その言い方は何だか傷つきますね…」
慌てて、隼さんが私の胸から手を離し、起き上がる。
私は顔を真っ赤にしながら、服装を整えている。
「わ、私にはお姉ちゃんのような経験はありませんし、男性方との話とかも正直、1対1では無理だと思います。だからといって、いきなり、オッパイを揉まれたのは…その……運命の人なのでしょうか……」
「え…何言ってんの!? 茜!!」
「フフフ…お姉ちゃん、冗談ですよ…。お姉ちゃんの焦る表情が見れて楽しかったですよ」
「茜…性格悪過ぎよ……。そんなことでマウント取られるのは心外だわ…」
「うーん。茜ちゃんの裏の顔を見れるのは、楽しいなぁ…」
楓先輩! フルーツカクテルをモリモリ食べながら、第三者としてこの空気を楽しんでる場合じゃないですよ!
お姉ちゃん、隼さんとマジなんだ。
ママが言ってた通り、本当に一途なんだな。
こういう彼氏、本当は欲しい。
そりゃ、私は
すべては楓お姉さまに惹かれてしまった私が悪いのだ。
今日もずっと横に楓先輩はいるのに、私に対しては何もしてこない。
つまり、家では普通の妹ということなのだろう…。
じゃあ、ここで私が爆弾発言をしたらどうなる?
きっと、楓先輩の部屋に連れていかれて、いつものように
だから、私はとっておきの楓先輩ネタをここでぶち込んだ!
お姉ちゃんは私の話を聞いた後、少し頬を赤らめながら、
「中学3年生なのに…お早いこと…。茜もうかうかしてられないわね」
「いや、お姉ちゃん、楓先輩たちが早すぎるんだって…」
「最近、確かに楓のやつ、大人しいなぁって思ってたんだよな…。そっかぁ、いよいよ彼氏ができたかぁ~」
隼人さんがそう言いながら、楓先輩の
「あ~~~~~~~~~~~~~っ! もう、恥ずかしさが頂点超えちゃったわよ!! 茜…覚えてなさい……」
「ひぃぃぃっ! 私は単に事実を述べたまでですよ!」
「事実を述べていい場所ってものが分かってないようね…茜ちゃんは……。今度、部活のときに徹底的に教えてあげるわ…ね?」
楓先輩の顔は微笑んでいるけど、眼だけが笑っていない。
いつの間にか、手錠すらも外し、手の関節をコキコキと鳴らしながら、私に近寄り、首根っこをひっ捕まえる!
「ひぃぃぃっ!?」
「ちょっと、お仕置きの前払いをしてあげる…」
そういうと、私はズルズルと楓の部屋へと引きずられていった。
あ、あれ? 予想以上に本気で怒ってる!?
ちょっと、これは本当に命の危機を感じてしまっているんですけど…。
あれ? 本当に大丈夫? うん? ヤバいよね…。
「嫌だぁぁぁぁっ! お姉ちゃん、助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
「いや、そもそもあんな怖い
「ご無体なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………」
私の叫びも虚しく、私は楓先輩の部屋に連れ込まれ、ドアが私の目の前をすごい速さで空を切った。
恐る恐る振り返ると、そこには般若のそれの顔をした楓お姉さまが仁王立ちされておられました…。
私、もうダメかもしれません。
自分で蒔いた種とはいえ、ここまで死を悟ったことは本当に初めてですぅ…。
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