§1 イチャラブなバカップルってボクたちのこと!?
第1話 陰キャと陽キャの恋模様
【神代遊里side】
「は~~~~……」
私は誰もいない屋上入口に繋がる階段でふっか~~~~~~いため息をついた。
(なんで…。なんでこんなことになったんだろう!?)
私は今、猛烈な悩みを抱えている。
それは私が今在籍している、「聖マリオストロ学園高等部」の2年3組で起こった問題だ。
今はもう5月―――。
ゴールデンウィークが明け、そろそろ新しいクラスが馴染み始めるころ。
しかし…ウチのクラスは違ったんだな~~~(涙)
私はおもむろに、スマホを取り出して、辞書で「ある言葉」を検索する。
陽キャ――。
陽気な性格の人を意味する俗語。「陽気なキャラ」あるいは「陽気キャラ」の略語とされる。スクールカーストの文脈においては、実際の性格が陽気かどうかをさほど重要な条件とせず、スクールカーストの上位に位置する、いわゆるクラスの「イケてる」人やグループの総称として用いられることも多い。
「う~~~ん……」
そして、もう1つの「ある言葉」を検索する。
陰キャ――。
陰気な性格(キャラクター)の人を意味する俗語。「陰気なキャラ」「陰気キャラ」を略した若者言葉である。
スクールカーストの文脈においては、実際の性格が陰気かどうかをさほど重要な条件とせず、スクールカーストの下位に位置する、いわゆるクラスの「イケてない」人やグループの総称として用いられることも多い。また陰キャは、コミュニケーション能力のない人、社会性の低い人という意味で使われる場合もある。他人を見下すニュアンスでも使われる。ここ数年ほどの間に、大学生などの間で多用されるようになった。
ひところ流行った「ネクラ」「ネアカ」といった言葉と、ニュアンス的には似ている。同様の類語としては「非リア充」「リア充」といったものも挙げられる。陰キャが、キャラ的なものであるのに対して、非リア充、リア充は、実際の生活実態によるところが大きい。陰キャの使用例としては「あの子は陰キャだから友達が少ない」「研究で定評のある大学だから入学してみたら、じつは、陰キャ大学だった」など。
「なるほど…」
私は検索結果を見て、さらに私は頭を抱えた。
私は髪は「とある事情」で金髪。服もシャツの一番上のボタンは外したままだし、スカートも織り込んで短めにしている。と、まあ少しハッチャけた感じで着こなしている。お年頃の悩みってわけじゃないけど、出っ張った膨らみ…胸元が目立つのがあんまり好きじゃないから、セーターやベストを着て、
(と、この姿だけでもきっと、「陽キャ」認定されるだろうな……
日サロ行って焼いてないといえども)
今、「聖マリオストロ学園高等部」の2年3組で起こっている問題――。
それは、「陰陽派閥闘争」――――。
「なんで、私はこんなくだらん争いのトップになってしまったんだろう…。
しかも、このタイミングで…。
嗚呼、普通の高校生ライフを送りたいだけなのにな!
は~~~~……」
また、ひとつ深いため息をついたとき、5時間目の予鈴のチャイムが廊下に響き渡った。
【清水隼side】
ゴールデンウィーク明けの授業ほど、かったるいものはない…。
とはいえ、ボクは大学への指定校推薦を考えている関係もあるので、学校にはきちんと出席しているし、学内テストでもトップ10には入っている。
ただ、何というか…友達が少ない。
いや、ボッチじゃない! それは誓って嘘偽りのないことだ。
ボクの横にいる
遊ぶって言っても、ゲームしたり、漫画鑑賞会したり…とインドア派だ。
「今年の前期のアニメもなかなか有望作が多いんじゃないの?」
翼がどこから出したのか、iPadでアニメ雑誌を見せてくる。
前期で放映されるアニメがズラリと並んでいる。
それ見せつつ、興奮気味に話し始める。
「俺は、近年の「ゆるふわ系」アニメにモノ申したいね!
こんなにも「ゆるふわ」ばっかりだったら、世の中の人間が腐りきってしまう!
今こそ、SF《サイエンス・フィクション》という原点に戻るべきだ!」
「いや、腐んないから…」
ボクはすかさず突っ込む。
こんな感じの会話がずっと続いている。
きっとアニメや漫画、ゲームとかに興味のないヤツは、本当につまんないんだろーなー。
その時、ふわっと何だか甘い香りが
「清水くん、次の授業の準備で、佐竹先生が荷物を職員室に取りに来てほしいんだって、一緒に来て!」
声の主は、神代さん。
彼女は、クラス1美人で出るところは出て、引っ込むところは引っ込むというボンキュッボンという目を奪われてしまう
「ビッチ」だの、「セフレ」がいるだの…彼女の周りには陽キャ全開な噂が躍っているけど、そんな真意の定かじゃない話なんてボクにとってはどうでもいい。
まあ、神代さんはボクにとっての「高嶺の花」で、告白しても振られるRTAが成立しそうなので、告白する勇気なんて持ち合わせていない。
ボクにとっては、こうやって1年、2年と2年間も「社会科係」を一緒にして色々と話ができているだけで、心が満たされて幸せってこと。
それでいいじゃないか。
ボクは負ける
「あ、うん。分かった。すぐ行くよ!」
「やっぱ、神代さんは美人だよねぇ…。僕の麻衣ちゃんも可愛いけど、神代さんは、可愛いじゃなくて美人だね」
「ああ、そうかもしれないね」
「告ったりとかしないの?」
「え!?!? そんな! 告白なんて無理だよ! 明らかに月とスッポン!」
「そうかなぁ…。神代さんって身なりはあんなだけど、学内テストでもいつもトップ30にはいるよね。成績優秀コンビ、さらに隼もカッコいい…うーん、どちらかと可愛い…かな。だから、不釣り合いはないと思うんだけどね」
「あはは…。あ、そう。じゃあ、待たせたら悪いから行ってくるね」
階段を2階から1階に降りると、そこに神代さんはいた。
いつも話をしているグループに摑まったのか、色々と話を振られている。
神代さんはグループのリーダー的な存在で、遊ぶときなんかは彼女が声をかけると、みんな付いてくるそうだ。
確かに周りの子たちは、神代さんよりも派手に着崩している子もいるよなぁ…。
てか、職員室行かなきゃいけないんじゃないの!?
「神代さん、ごめん、遅くなって…」
「何かちっこいのが、ユーリのこと呼んでるよ」
髪を縦ロールに巻いた女キャラが、話を切ってくれて、神代さんはボクの方を振り返った。
てか、「ちっこいの」ってゆーな!!! ちょっぴり気にしてんだぞ!
「ようやく来たわね。さあ、職員室に行こっ!」
職員室に行くと、社会科の佐竹先生が仁王立ちで荷物の前に立ちはだかっていた。
ワーキングノートとか配布プリントとは色々あって、かなりの重さが予想される…。
悪態の一つでも付きたくなった…。
もちろん、成績のためにそんなことは一切しませんけどね!
神代さんもさすがの量に無言になってしまう。考えることはおんなじって感じですかね…。
「じゃあ、コイツを教室まで頼むわ…。ちょっと重いかもしんねーけど、まあ、二人いれば持てるだろ…」
佐竹先生は、さも当たり前のようにそう言い放ったのである。
いや、絶対に多いから…。
これ、二人でギリギリって感じだと思うんだけど…。
※次は12月25日12時に更新します!
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