第3話 お姉ちゃん愛してる……
(これでよしと。そうそう、ダメ押しでお母さんにも告げ口しとこう。これで完璧ね)
その後、千早は楓から部屋に呼ばれた。
「千早、ちょっといい?」
「何お姉ちゃん?」
「あなた私が家に智也連れ込んだって、お母さんにチクったでしょ?」
「知らない。なんで?」
「とぼけても無駄よ。他にお母さんの監視がまたきつくなる理由なんてないし」
「さあ?」
「千早さ~近所のガキ大将にいじめられてるの助けたり、恋愛相談や宿題見てあげた事いっぱいあったよね。恩をあだで返す気?」
「そんな子供の頃の話されても困る」
「私がどれだけ智也を気に入ってるか、あの時の声聞いてたら分かるでしょ」
「分からないよ」
「もういい。あなたはもう妹じゃないから。二度と口も聞きたくない」
「お姉ちゃん!」
千早はもうカミングアウトするしかないと思った。
「ゴメンお姉ちゃん。お姉ちゃんと智也さんは似合わないよ。別れた方がいいよ」
「私は絶対別れないからね」
「お姉ちゃん、驚くかもしれないけど聞いて欲しい事があるんだ」
「何よ?」
「私お姉ちゃんの事がずっと大好きだったの」
「私も千早の事大好きだよ」
「ううん違うの。姉妹としてじゃなくて、女として好きなの。私、男と女の両方愛せるんだ。バイセクシャルなんだよ」
「そうなんだ」
楓はあまり驚いたように見えない。
「お姉ちゃん驚かないの?」
「知ってた。それに私もバイだから。あなたの事女として大好きだよ」
「それって……」
「だって、あなた私がこっちにいた時、一人エッチしてる所ずっと
「知ってたんだ」
「わざと部屋の鍵を閉めないでいたからね。あなたに覗かせたかったから」
(そんな……すごい恥ずかしい……)
「本当?」
「あなたに見られてるって思うとすごく感じたよ。あなたが自分でしてるの横目で見てた。とってもセクシーだったよ」
(もう死んでもいい。好きです。好きです。好きですっ……)
「お姉ちゃん……愛してる……」
「私も……」
楓は千早にキスをし、押し倒した。
千早は楓にキスで口をふさがれ、いやらしい声を出したいのに出せなくて、かわりに大粒の涙がポロポロとこぼれてきた。
声にならない声がもれてくる。そして気が遠くなり、あとは楓のなすがままとなった。
楓は東京にいた頃にも、親友でありバンド仲間である木下恵と付き合っており、超絶レズテクの持ち主であった。何と楓もバイ&ポリアモリーなのだ。
恵は、楓との恋の邪魔者である智也を、楓から引き離すためにモーションをかけていた。
「恵、あなたどういうつもり?」
「何の事?」
「とぼけないで。あなたが智也にちょっかい出した事、私が気づかないとでも思った?」
「えへへ。バレたか」
「この浮気者っ!」
「いいじゃんそれくらい。本命はあなたに決まってるでしょ」
「もう~」
楓と恵はいつも以上に熱いキスと抱擁をし、お互いの身体を重ね合わせた。
千早は中学生にして既に非処女だった。でも、レズ経験が皆無であり、楓に翻弄されるがままであった。
千早も楓も、大きな声で叫んでしまった。
楓のテクで体力の限界まで絶頂を味わった千早は、もう智也との事に何も口出ししないように言われても、逆らう事は出来なかった。
それだけではない。千早は母親からの電話に出てアリバイ作りに協力する事まで確約させられたのである。
「智也さん、この前は失礼な事を言って本当に御免なさい。お姉ちゃんの事ぜひよろしくお願いします」
(くやし~、心にもない事言わなきゃいけないなんて)
「いいよ全然気にしてないから。こちらこそよろしく」
千早は智也が勝ち誇ったような顔をしているように感じて、ますますムカついてきていた。
しかも、毎週のように智也は楓に会いに来ている。おそらく東京から通っているはずである。よくそんなしょっちゅう来られるな。
でも、千早はそれ以外の日は楓と愛し合っていた。幸せだった。
(私の方がアイツよりずっと多くお姉ちゃんと愛し合ってるもんね)
楓はその後妊娠した。楓を愛している千早はすぐに異変に気付いた。
「お姉ちゃん赤ちゃん出来たでしょ」
「何言ってるの。そんな訳ないじゃん」
とぼける楓だが、千早はかすかな体臭の変化やわずかなお腹のふくらみ、つわりで苦しんでいる様子を見逃す事はなかったのだ。
そして千早は、胎児の父親が智也であると思い込んでいた。
楓はその後しばらくして胎児を流産した。母親に妊娠した事がバレてきつくお叱りを受けた。
◇◇◇◇◇◇
読んでいただきありがとうございました。
次はいよいよ最終話です。千早と楓の愛の行方は? そして智也がとった行動とは? いったいどうなるのでしょうか? お楽しみに。
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