第9話 「終わりと始まりの日」

 準備はできた。後は出発するだけだ。

 入院生活を送った病院の一室で、彼は物思いにふけっていた。

 両足を失い、生きる意味を見出せず、自殺すら考えた人間がラジオタレントだなんて。

 普通ならあり得ない話だ。

 どういう運命の采配か、話を親身に聞いてくれる相棒もできた。

 一つの季節が終わり、次の季節に移り替わろうとしている。

 

 一体、これから何が始まるんだろう?


 行く手に待つのは幸福だろうか?


 今日が人生の終わりでもあり、始まりの日。

 残りの人生を神様にもらったおまけと考えれば、ずいぶん気楽だ。


 新しい生活に喜びがあるように。

 そして、人生が終わる最後の日に、



 どうか、幸あらんことを。

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