第2話 プロローグ 「行列のできる繁盛店」

「座りっぱなしでも疲れるぞ。」

 ニコ(ニコラス)は牛の歩みのように進まない行列に辟易としていた。

「もう少しだよ。せっかく開店キャンペーンの日にやってきたんだ。少し我慢すれば、後は楽しめる。」

「私は無理やり付き合わされたんだぞ。自分一人で並べばいいだろうに。」

「一人きりにはできないよ。ほら、少し進んだ。あと少しだ。」

「果たして待つだけの価値はあるのかね。」

「その点は保証する。絶対来てよかったって思えるよ。」

「その予想が当たることを祈るよ。」

いささか皮肉っぽくニコは言うが、

「並んでいる人たちはよく耐えられるものだ。今は十一月だぞ。吹きっさらしの道路でよく立っていられるものだ。」

 またもや皮肉を言ったニコだが、

「よし!来たぞ!いよいよだ!」

 トムの嬉しげな口調に、付き合ってやるかと思ったのだった。












  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る