第43話 治療のお礼

エレンがひとしきり泣き終えた後にアマルフィとグラムの方に歩いていく。


「け、賢聖。怒ってるのかい?」

「す、すまない、頭に血が上ってたな」


二人とも反省の言葉を述べてくるが、俺としては別に怒ってはいないただ、会話というコミュニケーション手段を取らずに喧嘩するのは大人げないというかいかがなものかと思うがな


「二人とも怪我してるんだろ、ほら傷口を出して」


骨折はなかったもののひどい打撲と擦り傷があった。


「二人とも、反省をしてくれ。俺としてはこんなことしている時間はないんだ」

「すまない・・・」

「いいさ、でもこの部屋どうするんだよ」

「それなら心配ない、たまにこういうこともあるからな!特にエレンが絡んだ時は、だから一応呼びの部屋も準備してあるからそっちで話をしようか。ほら、エレン行くぞ!」


グラムはエレンを引き連れて部屋を案内してくれた。

そのあと、エレンは何かお礼をしたいと言ってきてくれら、ようやくここで本題に入れる。エレンに俺の置かれている状況、セリアのことを伝えた。話を聞くもの親身になって聞いて居たからきっとさっきのことがよく聞いたんだな


「加賀さん、俺はどうしたらいいですか?」

「エレン、よせ、敬語は使わなくていいよ。俺のことは加賀でも賢聖でも好きに呼び捨てにすればいい

それでエレンにはできる範囲でいいから助けてほしいんだ、セリアを救出したい」

「じゃ、賢聖さんと呼ばしてもらうぜ。あとそのセリアって女の子のことだができる範囲じゃなく全面的に手助けさせてくれ、賢聖さんは俺にとって人生を救ってくれた恩人だ、正直あのままだと冒険者は続けれなかったし右手が使えないんじゃ他の仕事もできねえ、それじゃどのみちお先真っ暗だったからな」

「本当だったらその言葉だけで十分だといいたいところだけど、力を貸してくれ」


医者は命を救う、リハビリは人生を変える。そうよく業界では言われている、確かにその通りだと思っているし人生を変えるために俺は働いていた、だから「あなたのおかげで人生が変わった」と救われたんだと言ってくれるだけで満足だ

だけどそうは言ってられない事情もあるしな、これでやっと一人見方が増えた


「グラムさん、あと今日は何人会う予定なんですか?」

「あ?ああ、今日はあと二人だ」

「その二人もエレンみたいな感じですか?」

「いいや、そんな事ねえよ。エレンは性格はあれだがあれで一応ドラゴンを討伐した凄腕冒険者なんだよ、あいつを超える奴なんてそうそういないぜ」

「へぇ、エレンってそんなに強いんですねってそうじゃなくて、気性というかコミュニケーションですよ!」

「そんなことあるわけないさ、だって私を見たまえよ、落ち着いているだろ?」


アマルフィが何か言ってるけどもうこの際無視しよう、少し反省してもらわないとな

それにしてもエレンはドラゴンを倒したのか、ドラゴンこの世界居るんだな・・・会ったらきっと死ぬのは免れないかな


「何か言いたまえよ!何も言わないなんて傷つくじゃないか!」

「アマルフィは少し反省してて」

「そんなッ!」


アマルフィはガクッとうなだれた。

そのあとの冒険者の治療はつつがなく行えた。どうもエレンのような不安定な精神状態の人はいなかったみたいだ。まあ、エレンは幼いからな


この調子で治療で仲間増やすのと実際の救出方法について考えないとな、向こうにはアナスタシアがいる、あいつに対抗できる手段を考えないことにはどこまで行っても手ずまりだ

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