第40話 人間ジェットコースター
あれから記憶がどうなったか分からなくなるほど酔っ払った。アマルフィなんかここに来たときは敵地だとか言ってたのによほど恥ずかしかったんだろうな。
ちなみに二日酔いも【リハビリ】で治すことができる、まさに状態異常無効+体力全開みたいなスキルだよな
まあ、自分にはできないんだけど二日酔いにはなってなくてほんとよかったよ
「賢聖、急げ!」
「どうした、アマルフィそんなに慌てて」
「グラムとの約束に遅れそうだ、あれでグラムは時間に遅れるとめちゃくちゃ怒るんだ。冒険者たるもの時間に遅れるなんて何事かってね、そのせいでこの街の冒険者は時間にうるさい節があるんだよ」
「それはまずいな」
この年で時間に遅れたからと説教されるのは少々心に来るものがある。避けれるなら避けたいが
「ここからだとギリギリ間に合わないんじゃないか」
「任せたまえ、私にはスキルがあるからね」
「まさか、それって」
アマルフィは俺を担ぎそして【天衣無縫】のスキルを発動した。
天衣無縫は自分の身体能力を向上させるがデメリットとして再発動まで身体能力を向上させた分の時間がかかるものだ。
例えば自分の身体能力を5倍にしたとしよう、その場合再発動まで時間は50分だ、一回の戦闘で決めきれないとスキルがない状態で戦わないといけないデメリットがある。だがそれは俺の【リハビリ】のスキルで相殺できるわけだ、事実上最高の組み合わせというわけだ
「しっかり捕まって」
「できればゆっくり・・・」
「そんなことすれば間に合わないじゃないか」
アマルフィさん、良い笑顔ですね。
「ですよねー・・・ギャァァァァアアアア!!!!!!!!」
例えるなら安全バーがぐらぐらしていて今にも外れそうなジェットコースターに乗るようなそんな感じだ。ここまでで一番死が近かった瞬間だよ
何より、運ばれる側の俺は肩に担がれてるしあまりに情けない、というか奇声を挙げながらもう突進している女の子に担がれた男を見るとどんな風に思うんだろうな・・・
「アマルフィもう限界だ!!【リハビリ】を使うよ!」
「ああ、頼むよ、ちょうど着いたよ。何とか間に合ってよかったねって、賢聖どうしてそんなにげっそりしているんだね、髪もぼさぼさだしこれから人に会うんだせめて髪ぐらいは治せよ?」
「どうしてアマルフィの髪が乱れてないか逆におかしいわ!」
あれだけ早く移動したはずなのに髪もそうだけど服も乱れていない、アマルフィは「鍛えているんだよ」とかわけのわからないこと言ってたけど絶対におかしい
「やあ、グラム待たせたかい?」
「時間通りにくるとは珍しいな、と思ったけど賢聖の姿見たらわかった、飛ばしてきたんだな」
お前も災難だったなと、グラムは声を掛けてくれた
「ええ、本当に。でも時間に遅れてグラムさんに怒られるよりはいいかなと思ったので」
「何言ってるんだ、俺は時間に遅れてもそこまで怒らないぞ?それにアマルフィ相手だ、時間に遅れることもあると想定していたんだがな」
アマルフィめ!俺で遊びやがったな!下手くそな口笛吹きやがって
「これは昨日私をからかったお返しだよ」
俺にしか見えない角度で微笑んだ、不覚にもぐっと来てしまった
「どうしたんだい?耳まで真っ赤だよ?」
「からかうな、昨日の君も同じだったぞ」
そんなふくれっ面見せても・・・だめだ可愛いと思ってしまう自分が情けない!
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