第34話 【ヒール】の弊害
「勝手に賭けを始めないでくださいよ、たぶん賭けとして成立しませんから」
流石に自身はある、環境が違うどころか世界が違っても相手は人間である以上培ってきたものは生きてくる。
お金や名誉、地位、人間関係、これらすべては失う可能性があるものだ。だが立った一つ失わないものがある、それは知識だ。そして知識があれば失ったお金や名誉、地位は取り戻せる、人間関係も新たなものが構築できる、つまり生きていく中で最も大切なのは知識だと俺はそう思っている
だから、どんな場所でも力が発揮できるんだ
右の足にも傷の跡があるがこっちは治ってるな、左は傷跡があって下腿の骨が両方曲がってる?いやねじれてるのか、だから変な動きしてたんだな。骨の位置がずれるそれだけで筋肉の働きが悪くなるのには十分だ、この手の原因で筋肉の働きが悪くなるのは非可逆的、つまり治らない、日本でもそんな患者を診たことがある、間違いなく手術ミスといえるが患者やその家族は知識がないからいいように言いくるめられて俺のところの病院に来るなんて頃があったな。
この世界にはおそらく手術なんてする技術も知識も発達していないはずだ、自然治癒か、それか
「【ヒール】によるものか」
「もう分かったのかい?」
「まず現状だが膝の下の骨がねじれてくっついてる、普通はこんな付き方しないはずだ、だがグラムさんはついている。多分、【ヒール】で無理やりくっつけたんだと思う。外傷の原因は・・・転倒や転落じゃこんなのにはならないだろうから別の理由だと思う、仕事が冒険者ならきっと仕事関係だな」
「さて、グラムどうかな、賢聖の力は」
「アマルフィ、どこでこいつ拾ったんだよ。ああ、そうだよ賢聖の言う通りだ。アマルフィ約束だ頼みを一つだけ聞いてやるよ」
「その前に賢聖、良ければその先をやってくれないか?大丈夫、グラムは信用できる」
「本当に大丈夫なのか?」
「おい、何の話をしているんだよ」
確かにグラムとアマルフィの会話を聞く限り嫌な奴ではないのだろう。アマルフィにここは任せるか、それにこれが【ヒール】によるものなら治したい。リハビリは効果があっても骨の形や手術のミス自体を治すことはできなかった、だが今は違う。治せるなら治したい
「グラムさん、これから見ることは他言無用です」
「ま、待てって何する気だよ」
「あなたの足を治します」
「その手の詐欺は間に合ってるんだよ!」
グラムがそう言っている間にスキルを発動させた。
「もう治りました、たぶん筋肉の長さももとに戻ったはずですから走ったりできると思いますよ」
「は?何言って・・・おい、本当かよ」
グラムは飛んだり走ったりして足が完全に治ったことを踏みしめていた。
「どうだい、グラム。頼みをきいてくれるかな?」
「内容を聞いてからにしようと思っていたが、いいぜここまでしてくれたんだ無条件で聞いてやる。なにを頼みたいんだ」
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