第33話 交渉成立

「アマルフィ様、どうぞ二階へ」


アマルフィはギルドの職員に呼ばれて上に案内された。


「何をやっているんだい、君も上がるんだよ」

「え、なんでだよ」

「ここに何しに来たか忘れたわけじゃないだろうね?ほら、行くよ」


慌てて俺もアマルフィの後についていく


「久しぶりだな、アマルフィ。お前がここに来るなんて珍しいな」

「久しぶりだね、グラム。壮健だったかい?」

「まあ、な。」

「どうしたんだい、いつもの元気がないじゃないか」

「それよりもお前の連れを紹介してくれよ、ずっとそこに立たしているのは俺も心苦しい」


この人、ただのアマルフィの知り合いってわけでもなさそうだけど何者なんだろう


「彼は賢聖だ、わけあって今は一緒に行動してるんだよ」

「へぇ、もういいのか?」

「それはどうだろうね、これから次第かな」


何この意味深な話方は、なんかアマルフィにあったんかな


「どうも賢聖です、よろしく」

「ああ、よろしく」


俺は握手を求めて、グラムさんが近づいてきて気が付いた。


「あったばかりで言うのもなんですが、気を悪くしたらすみません。グラムさんその足怪我したんですか」

「ほぉ、目がいいな。所見じゃわからないように訓練したんだが賢聖、お前は冒険者じゃないのに気が付くんだな」

「ええ、まあ。」


不味い、つい癖で体を見て気が付いたことを言ってしまった。

アマルフィの顔を見るが


「賢聖、ほかに気づいたことあるかな?」

「(おい、いいのか?!俺のスキルバレるぞ?)」

「(大丈夫さ、私に任せたまえ、君は思う存分この場で能力を発揮してくれればあとは私がいい方向に向けるさ)」


ここはおとなしくアマルフィの言葉を信じてみるか。仮にアマルフィが裏切るならもうとっくに裏切ってるはずだからな、ここは俺が腹をくくるしかない。それに、おそらくこれは・・・


「グラムさんいいですか?」

「ああ、構わん数歩歩いただけでは今以上のことわからんだろうからな」

「まず、足が悪いのは左ですね、変形しているように見えますね。いや、ただの関節が変形しただけではあんな風にはならない、考えられる可能性として何か怪我をしてうまく戻らなかったといったところですかね。触れば正確にわかるんですがね」


まず、歩いただけと言うがリハビリ職にとって歩くだけでなく本来の姿勢、重心の位置、立ち方、座り方すべてが情報になる。正常動作が完璧に頭に入っているからそこから外れているところに問題がある、その問題を見つけるのが仕事でありこれができないリハビリ職はいない。


少し驚いた表情でグラムはアマルフィに確認を取る


「アマルフィから聞いたのか?」

「私は何も」

「そうか、じゃあ、お前何者だ?」

「アマルフィの連れですよ」

「そうだ、せっかくだから実際に触ってもう少し正確に当ててみたらどうだい?」


絶対楽しんでやがる!

本来信頼関係がない人に隠している秘密を暴くような、こんなパフォーマンスしないさ!これでもかなり申し訳ないというか良心が痛んでるってのに


「これ以上は・・・」

「いいや、構わんよぜひ当ててみてくれ。アマルフィ外れたときは俺からの頼みを一つ聞けよ?」

「ああ、だけど当たったら私の頼みを聞いてくれたまえよ」


一息置いて


『交渉成立だな』


まて、俺を置いて賭けを成立させるな!

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