第32話 無言で腹パン

想像していたよりも大きい場所だった、理由はすぐにわかった。ギルドの中に酒場が併設していたからだ

アマルフィいわく、力を持った荒くれものを普通の酒場で飲ませて喧嘩にでもなったら面倒だからここで一括管理しているらしい。そのためほかの酒場よりかなり値段が安いんだとさ


「魔物を討伐したんだ、報酬をもらいたい」

「ギルドカードを見せてください」

「これだよ、どうかな?今回はかなり頑張ったはずだから報酬も弾んでくれると嬉しいんだけど」


渡された大金貨は8枚、どこが大金貨4枚程度の報酬だよ!倍じゃねーか、もしかして計算できねーのか

だとしたら哀れ極まりないな


「失礼なことを思っているだろうからやめてくれないか」

「まさか、俺がそんなこと思うわけない」

「ではどんなことを考えていたのかな?」

「偉大なアマルフィ様についてきて本当に良かったなと」


無言での腹パン


「私でも腹が立つことはあるんだよ?」


ぜひとも行動を起こす前にいってほしかったよ。

痛い、本当に。この腹パン女にはいつか仕返しをしてやりたい!知的な話し方してるけどやることが暴力的すぎる、頭のねじ絶対に飛んでるな


「で、お金も手に入れたことだし次は情報収集だな?」

「待ちたまえよ、お腹が空いていたら頭も働かないだろ?まずはご飯だよ」


何を悠長なことを、と思ったが腹の虫が大きな音で鳴いたのでおとなしく従う。

ギルドの酒場で食べるが値段は安い割にご飯がおいしい、ファストフードみたいなのかと思ってたけどちゃんとしてる。どうも、体が資本の冒険者にとってクエスト中で過酷な状況でもない限り食事は栄養がしっかりしているものを食べるらしい。

偏った食事でぶくぶく太った冒険者は真っ先に死ぬかららしい。多分過去の教訓だな、ギルドもそんな人を増やしたくないから必然的に食事は栄養重視になるってわけだ


「すげー理にかなってるな」

「食事で儲ける必要がないというのもあるしね、冒険者からすればますますここを使うってわけだよ。まあ、不味くてほかの酒場になだれ込んだ日には酒場の店主は店をたたまないといけないだろうからな」

「・・・冒険者って何やるんだよ」

「ほらそこを見たまえよ」


そこには屈強そうな男と華奢な女が立っていた。どうも口論になっているようだ


「助けなくていいのか?」

「あの男の方をかい?」


何言ってんだよ、弱いかどうかの次元じゃないだろあの女の人命の危険じゃないのか


「いや、女の方を・・・」


女は男を一瞬にして床に這いつくばらせた


「おうふ、なんとも可哀想に」


人は見かけによらないというわけか。ちなみに店をたたむ理由は喧嘩がいたるところで起きたら店が壊れて立て直しの費用が払えなくなるからだそうだ

冒険者に絡まれないようにしないとな

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