第31話 聖人の街

「街に入る前に何かかぶったらどうだい」


確かに顔を隠す方がいいがあいにく持ち物には何もない、と思ってたら黒いマントをアマルフィが投げた


「これを使ってくれ」

「いいのか、アマルフィのものなんだろ?」


街に入ってすぐ捕まるよりはいいだろ、と。確かにそれは困る。それにしても正直俺の情報がどこまで名で回っているんだろうな


街の名前はシンテルクというらしい。この街の特徴はなんと聖人の居る教会があるんだとさ


「おい、まさかその聖人ってアナスタシアじゃないだろうな!?」

「よくわかったね、そのまさかだよ」

「なんでそんなリスクを取るんだ!」


頭わいてんのか!と思ったがさすがにそんなこと言わない、なにせ大人だからな。


「確かにリスクがあるけれどリターンも大きい、まず教会にセリアが捕まっていた場合ここにいるだろうし捕まっていなかったら別の場所を探せばいい、何ならこの川沿いでもいい、今一番恐れるべき最悪のシナリオは教会に捕まっていることだと思うのだが私の考えは違うかい?」


確かにそうだ、教会に捕まるそのシナリオは最悪だ、いや一番最悪なシナリオは俺もアマルフィも分かってるだけどそれは口には出さない、出してもいいことがないからな

だからあえて言い換えるのであれば生きているなかで最悪な想定だな。


「確かにその通りだ、取り乱したな、悪かった」

「いや、君がここまで追い詰められた現況のもとに行くんだその反応は正しいよ。それじゃあ入ろうか」

「俺怪しまれないかな」

「顔隠してれば大丈夫だよ、それに冒険者の付き添いってのは意外とすんなりなもんだよ」


門番にギルドカードを見せて俺がアマルフィの連れだということを説明すると歓迎されて入れた。

冒険者というのは基本的に歓迎される、冒険者が多い場所は豊かであることが基本だからだ、冒険者の魔物討伐のお金が街が負担している以上、街にお金がなければ冒険者が来ない冒険者がいなければそれは街にお金がないことを意味しているから、というからくりらしい。


「本当にすんなり入れた」

「言っただろ?冒険者にもこのぐらいのことがないと続けれないよ。さてまずはギルドに行ってお金をもらおうか、何をするにも先立つものが必要だからね」


金銭的なもので俺は全く役に立たない、いや、お金はあったんだ。ただセリアが管理してただけでな


「冒険者って儲かるのか?」

「賢聖は仕事してた?」

「仕事というか、まあスキル使ってお金稼いでたな、確か数日で大金貨三枚とかだった気がするな。」

「それ普通の人より余裕で稼いでるじゃないか、でも、冒険者はものによるが一日でそのぐらい稼ぐもんだね、もちろん毎日働くわけじゃないし怪我をすればその分働けないからね、トータルの稼ぎがいいかは腕次第といったところかな」


俺から振った話だけどよく考えてみるとそれが多いのかどうかわからんな、ただ逆に言えば数日で同程度稼げるのは割りがいいほうなのか

でもまあ、魔物には襲われない代わりに教会のせいで命の危険なんだけどな

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