第30話 命の価値

「君は自分の命より他人の命が大切なのかい?」

「どうだろうな、命を天秤にかけたことがないからわからない。だけど救えるなら俺は動くと思うよ」


アマルフィは少し驚いた顔をして


「賢聖は変わっているね、ここじゃみんな自分のことが大切で他人のために命を懸ける人なんてそういないだろうに」

「だとしても俺の考えはきっと変わらないよ」


そこからいろんなことを話した。一番はスキルについてで、アマルフィのスキルにはデメリットというか使用制限があった。身体能力を挙げた分、再発動まで時間がかかるらしい


「例えば、身体能力を2倍にすれば次の使用まで20分かかるんだよ」

「発動時間は?」

「5分、意外と短いもので使いどころに困るんだ。スキルを発動してない状態でもそこそこ戦えるが魔物相手だと分が悪いかな、でも賢聖のスキルと合わせると再発動までのデメリットがなくなるんだから相性が良すぎるね」


【リハビリ】はゲームでいう回復能力と状態異常回復が状況さえ把握できれば行えれる、だけど回復能力に関しては専門知識が必要になるからこの世界の人は使えない、状態異常もスキルによるものであればそのスキルを把握できれば無効にできる。これは教会の聖人アナスタシアでも効果が発揮したものだ

つまり、アマルフィのスキルはデメリットなしで使える強力なものになった。ちなみにデメリットがあるスキルの方が少ないから誰とでも俺のスキルは相性がいいわけではないらしい、例えばアマルフィのスキルが発動中に【リハビリ】をつかえば能力向上というスキルの効果がなくなったからだ

まあ、向こうにしたからといって俺は勝てないけどな


あれから数日が立ち街にようやく入ることができた。


「アマルフィここまでありがとう」

「これからどうするんだい」

「まず、セリアのことを探そうと思う、教会にバレないようにだけど」

「一人でかい?」

「頼る人もいないからな」

「隠れながらだとうまく進まないだろ?それにばれたらお終いだね」

「だからといって探さないという選択肢はないからな」

「よし、それなら私が手伝ってあげよう」

「いいのか?自分でいうのもなんだが面倒だぞ?」

「退屈していたからちょうどいいさ、時に目的もない旅だったからね」

「払える報酬がない」

「君のスキルで私の命を救ってくれたからね、いわば命の恩人ってわけだよ。それに私は戦うのは好きでよく怪我をするんだいつもなら怪我が治るまで休むんだけど賢聖なら治してくれるんだろ?」


対価は俺のスキルということか、アマルフィは強くて頼りになるし助けてくれるならありがたいか

それに俺は人探しなんて素人だしすぐに教会にバレる可能性あるかもしてないしな、その点冒険者のアマルフィなら安心か


「願ったり叶ったりだ、これから頼む」

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