第29話 行動の理由

「さあ、賢聖、君の番だ。だけどこのまま話してもらうのは不安なこともあるだろう、だから誓うことにするよ、ここで話したことは口外しないし悪用もしない、これでどうだい?」


アマルフィは恐らく気が付いている、これは俺への配慮なのはわかる、でも実は教会に所属する人間だった場合は俺は詰む


「ちなみに話さないという選択肢は?」

「君がそんなに不誠実だとは知らなかった、そうだなもし仮にそんなことを言おうものなら君をここにおいて私は先に行くことにしよう。」


それに私はスキルについて話しただろ?アマルフィはそう言うがそもそも話したのは勝手にやったことだろ!そうは思っても槍もってニコニコしながら変なこと言えば刺すぐらいのこと平気でやりそうだな


「誓うって何に誓うんだよ」

「私のたった一人の恩人に誓うよ。私はこの人を裏切るようなことをすれば死ぬと決めているんだ」


その言葉は自然と疑う気になれない、そう思わせるほどの言葉に重みがあった。もし仮にこれが嘘だとしたら騙されてもいいほどの信念を感じさせる。


「わかった、それじゃ、最後に聞くがアマルフィは教会の関係者か?」

「どうしてそんなことを聞くのかい」

「大事なことなんだ、答えてくれ!」

「冒険者の中で教会にいい思いを持ってる人はいないよ」

「冒険者の常識ではなくアマルフィのことを聞いているんだ!」


ここだけは絶対に外せない、教会への警戒が足りなかったばかりに今までの騒動が起きてるんだ。平和ボケしてると言われればそれまでだ、だけどこれからはそんな意識は変える、変えなきゃならない


「賢聖にとってその質問が大切なのはわかったよ、私は教会関係者ではないよ」

「さっき言った恩人に誓えるか」

「そう軽々しく恩人を出したくないが、大事なんだろな改めて誓おう、私は教会関係者ではないしここで聞いたことは口外しないよ」


真っ直ぐ俺を見て答えてくれた。


「ありがとう。」


そこから一息置いて話始めた。俺のスキルのこと、そして今の状況、セリアのことを

本当はそこまで話す必要がなかったのは分かってるがアマルフィならもしかして助けてくれるかもという淡い期待があったから。それと何より一人で抱えきれなかった心の弱さもあった。


「賢聖、そこまで話してくれなくてもよかったのに。もしかして話すことで巻き込もうとしてるね?」

「それは否定しない、俺には力がないからな」

「力がないというのは冗談だね、賢聖のそのスキルは強すぎるよ、【ヒール】がかすんで見えるほどの強さだ、そして賢聖には使えるその知識がある。だけど確かに教会には狙われそうなスキルだな、でもそれならなぜ私を助けたんだ」

「理由はいろいろあったが一番は目の前で救える命があるなら救うのは当然だからだ。これが俺を突き動かす根幹だよ」


リハビリ職、理学療法士になったのもそれが理由だ、助けたかったそれだけだ。

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